パリストン の強制2択
ジンがパリストンに対して放った言葉の中に登場する「強制二択」。これについて整理してみましょう。
今回の騒動はお前お得意の強制2択だろ
協会がビヨンドの挑発に応じれば世界中に…そして応じなければハンター協会に、5000体の兵隊(キメラ)を送り込む
[hxh33] No.342 “布告” より
パリスの2択の意味
本題のパリスの強制2択について。作中の記述を読んだだけでは、なんだか複雑でチンプンカンプンな方も多いと思います。この部分をボクなりにまとめてみました。
パリストンの判断基準は常に自分が楽しめそうか、面白いと思える相手かどうか。つまり強制2択の意味はどっちに転んでも自分が楽しめる状況にするために蟻を使う、という駆け引きを内包しています。
まず、1個目の選択肢。
協会がビヨンドの思惑に乗っかって素直に同行することになったら、パリストンにとってそれは「中庸で退屈」。
それならば別の標的(面白いとおもえる相手)を探しだすために、キメラを世界中に拡散する。そうすればキメラアントレベルの危険生物の対処にはそれなりの実力者が対応しないと歯がたたないため、おのずと実力者、ひいては面白いやつが炙り出せる、という算段。
次にもう2個目の選択肢。
逆にパリスが言うように、協会がV5に従わず独断で渡航をするという決断をするのならば、パリストンにとっては協会は「まだまだ捨てたもんじゃない」。それならハンター試験を通して協会内にキメラを送り込み、再度協会を牛耳ってなにかおもしろいことをする、する価値があるという算段。(その先何をするかまではジンにもわからない、と書かれています)
「どんな者」でも試験にうかりさえすればハンターライセンスを得られるようなので、たとえ異形の半獣人であっても試験合格は可能、ということでしょうか。
選挙後にチードルに対してパリスが言った「貴方の協会が退屈なものだったら、次は本気でおちょくりますから」というのは、まさにこのことだったのでしょう。チードルに対して暗に「退屈な選択(1個目の選択肢)をするなよ」と脅しをかけたわけです。
もちろんこの時点ではチードルは理解していなかったでしょうが…。
世界中から炙りだした猛者、もしくは、蟻で掌握したハンター協会、どちらを手に入れたとしてもこれはあくまでパリス個人の興味の対象でしかないように感じますね。並行して渡航計画が進んでる以上、これらを計画にからめてくることまで考えていたのか…
ビヨンドを逃亡させることへの助力にはなるかもしれませんが、ジン曰くその場その場を楽しんでいるだけというフシもあるので先のことまで緻密に考えてはいない可能性もありますね。
パリストンの興味は “ジン” へ…
そのような駆け引きの意味を内包していた2択ですが、結果的に言えばチードルは1つ目の退屈な選択肢を選びました。ハンター試験で人材確保をはじめてしまったのですから。
本来であればこの2択が発動し世界中にキメラアントがばらまかれてしまったのかもしれません。しかしその選択肢を用意していたところに、それを見破ったジンが現れて仲間に加わったため、パリスの興味は一気にジンに向きました。イチバン面白い奴が身近に来たわけですから。
そのため、パリスが即座に2択を実行する必要はなくなったのだと思います。
ブラックホエール出向までに蟻が登場してこなかったことが、暗にソレを示していますし、これは連鎖的に前項の「パリス個人の趣向」による2択であったことも示していると考えることができます。(渡航計画に必須な要素であったのであれば出向までに実行されていたはずだからです)
ただ、単に2択で使用しなかったというだけで、もちろん今後キメラ半獣人が登場してくる可能性はあります。なんならビヨンドチームの渡航メンバーに参加してくる可能性だってあるでしょうし。
「5000体のキメラ」なんてオイシイ臭いのする伏線をこのまま放置することはないでしょうしね。
5000体のキメラアント
キメラアント編で蟻によって選別された東ゴルトーの人民のうち念能力を発現させた者は、プフとピトーによってキメラアント半獣人へと配合され、“人葡萄”として繭にされた。この数5000。(パームがこの半獣人第1号)
前会長の自爆後、ハンター協会の飛行船がこれらを回収、その繭を手に入れたのがパリストンと表現されていることから回収に向かわせたのもパリストンでしょう。
会長選挙の段階ですでに、すべての繭が孵化しているとされ全員念能力をもった兵隊となっています。
孵化した蟻全てが素直にパリストンに従っているという点が若干ナゾですが、パリストンが協専員だけでなく非情に強力なコマを手に入れたのは事実。
ジンはパリスがこのキメラ達を次のハンター試験で使うと予告していました。
ただ、次のハンター試験=渡航メンバー選抜のことを指しているのでしょうが、この描写からすでにジンはパリスが2択を用意する動きまで察知していたのでしょう。だとしたら「でかい庭」=(元NGL自治区)はどう関与するのか…?
庭の管轄はハンター協会に一任された、とあることから協会を離脱したパリストンは庭の使用権は棄てたのだろうか?蟻だけ手に入れればよかったとか?この会話の時点ではまだ協会を去っていないし、ジンもパリスが会長職を辞任するとは考えていなかったようだし…。
また強制2択〜の会話の中で、暗黒大陸タブー視という表現が出てきます。これについてはボクの考えもかなり及び腰ですが、一般常識として黙殺されている情報だからだと思います。
キメラアントが暗黒大陸から来たことはおろか、キメラアント自体も「新種の魔獣」としてかたずけられています。(ハンターハンターの世界では魔獣は「言葉を話す獣」としてフツーに認知されている存在/例えばキリコなど)
キメラが世界中に現れ一般に認知されれば、「暗黒大陸は危険だから行かないほうがいい」とか逆に「暗黒大陸にいって危険生物を駆逐しろ」なんて騒ぎがおき情報隠蔽が難しくなります。ビヨンドを支持する声も増えるかもしれません。そうなるとV5でも情報操作による収拾がつかなくなり、結果的にビヨンドが自由に渡航できる可能性があがってしまう、ってことかと考えます。
ただこの会話の段階では、並行してV5自らカキンを迎えV6への再編、ビヨンドに制限付きの渡航を許す流れになっています。結果だけ見ればタブー視を変えて情報操作を妨害する必要もなかった、ということになったように思います。
あとがき
強制2択の解釈についてはボクは概ねこんな感じだと思っています。違った意見も聴いてみたいところ。
「蟻は生物として強いから暗黒大陸渡航でも活躍できるし、仮に死んでも内々にできるので避難を浴びない」みたいな考察もみましたが…、それはないな、と思いました。苦笑
ブラックホエールに乗船しているカキン王子警護たちに協専メンバーが参加しているようですが、この中にキメラは含まれているか…?
ん〜プロハンターを優先して雇用したならキメラが警護として乗り込んでる可能性は少なそう。そもそもパームレベルでもそれなりに異形なので、王の警護に応募しても警戒されそうですしね。
ただ5000体全員が「念能力を持っている」というゾクゾク感MAXな伏線をはったのですから、なんらかの形で本編に登場させて欲しいですよね。