ハンターハンター[hxh33]で、ジンと パリストン の会話。その中に登場した【強制二択】。原作の流れを読んだだけではちょっとわかりずらかった部分をおさらい&まとめてみようと思います。
また彼がハンター協会の飛行船を使い回収したという5000体のキメラアント半獣人の繭。すでにすべてが孵化して念を持った兵隊としてパリスが所有しています。彼はこれをいったいどう使うつもりなのか…考察してみようと思います。
協専のハンター
[hxh32]で十二支んを脱退後、カキンに集結したビヨンド・ネテロの渡航チームに参加していたパリストン。[hxh33]ではすでにチームの中でNo.2のポジションに座しています。
というよりも、そもそもこのチーム編成と計画はパリストンが先導しているようです。ビヨンドは何十年も前からこの渡航を計画していたようなのでパリスは後乗っかりで参加し具体的な策を提供したのでしょう。
現にビヨンドチームとして集結していたメンバーたちもパリストン経由で招集された協専のハンターです。※つまり全員ライセンス持ちのプロハンターということですね
協専というのは要は自身で何かをハントする目的をもっているわけでなく、協会経由で回されてくる仕事をこなすハンターのこと。「協会専任」とかそういう意味合いでしょうか。プロハンターのあいだでは「協専」であることは蔑称とでもいうのか、あまり誇れることではないようです。
一般的には自分で偉業を成し遂げるほどの実力のないハンターという烙印にも近い称号ですが、ジン曰く彼らは「なんらかのスペシャリスト」であるといいます。
もちろん協専全員が、という意味ではなくビヨンドチームに参加している協専ハンターが、ということでしょう。彼らがハンターになったことすらも、ビヨンドの暗黒大陸渡航の計画のためだったというのです。
ビヨンドが何十年も前から計画を立てていたのであれば、年齢的に考えてもそれぞれがビヨンドの計画遂行を目標にハンターになったと考えても時間的な矛盾はありません。
選挙開始時の協会員数は661名(ヒソカやイルミに多数殺されているので選挙終了時には635名に減っています)。
チードルのセリフからすると教会内部で協専に属しているハンターは120名ほど、パリストンが副会長時に牛耳っていた執務部のスタッフ30名というのも、会長選挙時の投票券があったことからハンターで構成されているようです。この執務スタッフも仕事として執務をこなしているということはハンターとして活動しているわけではありませんが実質的には協専メンバーと同じような立ち位置なのでしょう。そう考えると教会内部に150名前後、協専メンバーがいることになります。
ジン曰くバランス要員が200名とされていることから、若干数のズレがありますが、だとしても1/3近くがパリスの配下に置かれている状態にあるわけです。
ただし、協専メンバー=ビヨンドやパリスに服従、ということではなくあくまで協専はパリスとギブアンドテイク。パリス曰く「弱者」。つまりさほど強くないハンター達に協会経由の適当な仕事をまわしてやることと引き換えに、選挙などを含む有事の際のコマにしていたわけです。※これらの仕事の報酬からパリスはピンハネをしていたようですが、これって結局はビヨンドの渡航計画に使われた資金に回されたのでは…?
ビヨンドチームに参加しているハンター達はこの協専メンバーに紛れて教会内部に潜伏していた、というほうが正しいかもしれません
また、パリストンを副会長の座に置きネテロ前会長から協会の実務的な部分を奪うことで、前会長が亡くなるまでに整えておくべき渡航準備をスムーズにさせることができたのかもしれません。(前回張本人や協会からの妨害監視などをうけずにすむため)
そのためにはパリストンを副会長に座らせ続けるために教会内部に協専員を保持しパワーバランスを保つ必要があったわけです。
そう考えると、パリストンすらもビヨンド計画のために協会入りした可能性すらあります。つまりアイザック(前会長)以前にビヨンドに興味を示していたため、計画の一部としてハンター協会に入った、と。
前会長にも多大な興味を抱いていたパリストンですが、それはビヨンドの血縁だから尚更、彼にとっては面白いと感じる人物だったのかもしれません。
パリスが副会長になったのは選挙開始時から数えて3年前。
何十年もかけて準備をととのえ、パリスを立てて前会長の逝去の時を待っていたのでしょうか…。
ミュヘルは非ハンター?マッシュルは?
[hxh33]においてハンター協会は、暗黒大陸渡航のための人員を臨時のハンター試験によって募ることにしました。
ビヨンドチームに参加していた傭兵・ミュヘルもこの試験に応募しましたがクラピカのダウンジングによって試験を落とされています。つまりミュヘルはハンターライセンスは持っていないということです。
コレに対し、前項でとりあげたビヨンドチームのメンバーはおそらく協専ハンター(ライセンス持ち)です。
ミュヘルは傭兵傭兵として働いており、服装やそれぞれの言動からさっするにマッシュルやモヒカンの兵士などはミュヘルの配下にあたる兵士であると推測できます。マッシュルは協専のハンターであると自ら言っているため、傭兵の中にはプロライセンスを持つものとそうでないものが内在し、ミュヘルは立場的には上官ですがプロライセンスはもっていない、ということでしょう。
協専員として協会内部に潜伏しておくのはバランス要員としての頭数扱い的な部分もあるので、上官であるミュヘルが実力的に他の準備や任務に適しているのであれば、わざわざ協専員として潜伏しておく必要もなかった、ということでしょうか。とくに戦闘に長けた能力者であれば日和見を演じて潜伏するよりも協会外部にいたほうが有用な気もする。非戦闘型の「スペシャリスト」たちこそ協専として潜伏していたほうが自然に思えます。
またチーム内のゴレムは、パリスが副会長に就任した頃(3年前)にミュヘルと出会っており、ミュヘル配下のモヒカン達はゴレムのゴレムの相互協力型(ジョイントタイプ)能力の「弾」として連携を組んでいるであろうことから、ミュヘル配下の傭兵のひとりと考えられる。
ゴレム自身も協専員なのか、ライセンスの所持についても不明。
パリストン の強制2択
ジンがパリストンに対して放った言葉の中に登場する「強制二択」。これについて整理してみましょう。
今回の騒動はお前お得意の強制2択だろ
協会がビヨンドの挑発に応じれば世界中に…そして応じなければハンター協会に、5000体の兵隊(キメラ)を送り込む
[hxh33] No.342 “布告” より
パリスの2択の意味
本題のパリスの強制2択について。作中の記述を読んだだけでは、なんだか複雑でチンプンカンプンな方も多いと思います。この部分をボクなりにまとめてみました。
パリストンの判断基準は常に自分が楽しめそうか、面白いと思える相手かどうか。つまり強制2択の意味はどっちに転んでも自分が楽しめる状況にするために蟻を使う、という駆け引きを内包しています。
まず、1個目の選択肢。
協会がビヨンドの思惑に乗っかって素直に同行することになったら、パリストンにとってそれは「中庸で退屈」。
それならば別の標的(面白いとおもえる相手)を探しだすために、キメラを世界中に拡散する。そうすればキメラアントレベルの危険生物の対処にはそれなりの実力者が対応しないと歯がたたないため、おのずと実力者、ひいては面白いやつが炙り出せる、という算段。
次にもう2個目の選択肢。
逆にパリスが言うように、協会がV5に従わず独断で渡航をするという決断をするのならば、パリストンにとっては協会は「まだまだ捨てたもんじゃない」。それならハンター試験を通して協会内にキメラを送り込み、再度協会を牛耳ってなにかおもしろいことをする、する価値があるという算段。(その先何をするかまではジンにもわからない、と書かれています)
「どんな者」でも試験にうかりさえすればハンターライセンスを得られるようなので、たとえ異形の半獣人であっても試験合格は可能、ということでしょうか。
選挙後にチードルに対してパリスが言った「貴方の協会が退屈なものだったら、次は本気でおちょくりますから」というのは、まさにこのことだったのでしょう。チードルに対して暗に「退屈な選択(1個目の選択肢)をするなよ」と脅しをかけたわけです。
もちろんこの時点ではチードルは理解していなかったでしょうが…。
世界中から炙りだした猛者、もしくは、蟻で掌握したハンター協会、どちらを手に入れたとしてもこれはあくまでパリス個人の興味の対象でしかないように感じますね。並行して渡航計画が進んでる以上、これらを計画にからめてくることまで考えていたのか…
ビヨンドを逃亡させることへの助力にはなるかもしれませんが、ジン曰くその場その場を楽しんでいるだけというフシもあるので先のことまで緻密に考えてはいない可能性もありますね。
パリストンの興味は “ジン” へ…
そのような駆け引きの意味を内包していた2択ですが、結果的に言えばチードルは1つ目の退屈な選択肢を選びました。ハンター試験で人材確保をはじめてしまったのですから。
本来であればこの2択が発動し世界中にキメラアントがばらまかれてしまったのかもしれません。しかしその選択肢を用意していたところに、それを見破ったジンが現れて仲間に加わったため、パリスの興味は一気にジンに向きました。イチバン面白い奴が身近に来たわけですから。
そのため、パリスが即座に2択を実行する必要はなくなったのだと思います。
ブラックホエール出向までに蟻が登場してこなかったことが、暗にソレを示していますし、これは連鎖的に前項の「パリス個人の趣向」による2択であったことも示していると考えることができます。(渡航計画に必須な要素であったのであれば出向までに実行されていたはずだからです)
ただ、単に2択で使用しなかったというだけで、もちろん今後キメラ半獣人が登場してくる可能性はあります。なんならビヨンドチームの渡航メンバーに参加してくる可能性だってあるでしょうし。
「5000体のキメラ」なんてオイシイ臭いのする伏線をこのまま放置することはないでしょうしね。
5000体のキメラアント
キメラアント編で蟻によって選別された東ゴルトーの人民のうち念能力を発現させた者は、プフとピトーによってキメラアント半獣人へと配合され、“人葡萄”として繭にされた。この数5000。(パームがこの半獣人第1号)
前会長の自爆後、ハンター協会の飛行船がこれらを回収、その繭を手に入れたのがパリストンと表現されていることから回収に向かわせたのもパリストンでしょう。
会長選挙の段階ですでに、すべての繭が孵化しているとされ全員念能力をもった兵隊となっています。
孵化した蟻全てが素直にパリストンに従っているという点が若干ナゾですが、パリストンが協専員だけでなく非情に強力なコマを手に入れたのは事実。
ジンはパリスがこのキメラ達を次のハンター試験で使うと予告していました。
ただ、次のハンター試験=渡航メンバー選抜のことを指しているのでしょうが、この描写からすでにジンはパリスが2択を用意する動きまで察知していたのでしょう。だとしたら「でかい庭」=(元NGL自治区)はどう関与するのか…?
庭の管轄はハンター協会に一任された、とあることから協会を離脱したパリストンは庭の使用権は棄てたのだろうか?蟻だけ手に入れればよかったとか?この会話の時点ではまだ協会を去っていないし、ジンもパリスが会長職を辞任するとは考えていなかったようだし…。
また強制2択〜の会話の中で、暗黒大陸タブー視という表現が出てきます。これについてはボクの考えもかなり及び腰ですが、一般常識として黙殺されている情報だからだと思います。
キメラアントが暗黒大陸から来たことはおろか、キメラアント自体も「新種の魔獣」としてかたずけられています。(ハンターハンターの世界では魔獣は「言葉を話す獣」としてフツーに認知されている存在/例えばキリコなど)
キメラが世界中に現れ一般に認知されれば、「暗黒大陸は危険だから行かないほうがいい」とか逆に「暗黒大陸にいって危険生物を駆逐しろ」なんて騒ぎがおき情報隠蔽が難しくなります。ビヨンドを支持する声も増えるかもしれません。そうなるとV5でも情報操作による収拾がつかなくなり、結果的にビヨンドが自由に渡航できる可能性があがってしまう、ってことかと考えます。
ただこの会話の段階では、並行してV5自らカキンを迎えV6への再編、ビヨンドに制限付きの渡航を許す流れになっています。結果だけ見ればタブー視を変えて情報操作を妨害する必要もなかった、ということになったように思います。
あとがき
強制2択の解釈についてはボクは概ねこんな感じだと思っています。違った意見も聴いてみたいところ。
「蟻は生物として強いから暗黒大陸渡航でも活躍できるし、仮に死んでも内々にできるので避難を浴びない」みたいな考察もみましたが…、それはないな、と思いました。苦笑
ブラックホエールに乗船しているカキン王子警護たちに協専メンバーが参加しているようですが、この中にキメラは含まれているか…?
ん〜プロハンターを優先して雇用したならキメラが警護として乗り込んでる可能性は少なそう。そもそもパームレベルでもそれなりに異形なので、王の警護に応募しても警戒されそうですしね。
ただ5000体全員が「念能力を持っている」というゾクゾク感MAXな伏線をはったのですから、なんらかの形で本編に登場させて欲しいですよね。