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【音楽レビュー】浮遊スル猫 の CLUTCH GIRL を聴いてみた

暑い日々いかがお過ごしですか。ボクは暑さと湿気と職場の仕事に忙殺されています。いよいよ夏本番…やめてくれ…たすけてくれ、って感じで今日も音楽レビューをひとつ。
浮遊スル猫「CLUTCH GIRL」です。

浮遊スル猫 とは?

正直ぜんぜん知らないバンドさんだったんですが、Youtubeでたまたま動画を見て気になりCD購入に至りました。最近はネットで発掘→ハマるのサイクルで好きになるアーティストさんが非情に多い。時代やな。


オフィシャルサイトによれば、2014年から活動を始めた3ピースガールズバンド。メンバーはVocal,Guitar・さはら、Bass,Vocal・やがわいちる、Drums・おみ の3人。
ライブスケジュールをみてみたら、ツアーもやってるっぽいけど関東メインで活動されてる感じみたいです。

フロントの2人がツインボーカルをとるスタイルなのですが、2人の声質が対照的でツインボーカルが活きてる感じ。
ギタボ・さはらさんは芯があって安定したメロディライン、ベースボーカルのやがわさんはわかりやすいアニメ声、「THE 女の子」感あふれるかわいらしい声質。さはらさんよりもハイトーンよりなので主旋律と音域がかぶらず、コーラスするとすごく効果的に響く声。

ワンボーカルだと必然的にボーカルがどちらかのタイプになって方向性が決まっちゃうんだろうけど、どちらも共存してるのがなかなかおもしろい。声だけ聞いたらひとつの曲の中に同居するのは難しそうなイメージなんだけど、なかなかに馴染んで面白い心地よさがあるメロディラインになってるのがスゴイ。

グーグル検索だと「浮遊スル猫 メジャーデビュー」って検索予測が表示されて、「え、メジャーなの?!」って思ったんですがどうやらビクターのインディーズレーベルからCDがリリースされてるようですね。その割には今まで見たことがなかったんだけど、これから露出も増えていくのかな?
にしても、2014年のNAONのYAON(ギャルバンオンリーの大型イベント)に出演していたらしい…2014年から活動開始ってことは、活動初年度から出演したのか?すげえな!

聴いてみよう「CLUTCH GIRL」

Youtubeには公式MVがあがっています。
本作「CLUTCH GIRL」の収録曲「ララリラ」と「ライオン」の2曲が連作となったビデオ。まったくタイプの違う2曲がつながってるというのもなかなかおもしろい。

アルバムでも1曲目に収録されている「ララリラ」はBメロでまさに「ララリラ」というフレーズを2人のボーカルが掛け合いで歌うんだけど、前述したようにボーカルの声質の違いがココではすごく気持よく交差してる。
3曲目「支離滅裂」なんかもすごくキャッチーだけど、この「ララリラ」もなかなかキャッチーかつツインボーカル感をアピールしていてインパクトあるな、感じた。

MVが後半で流れるのは5曲目に収録されている「ライオン」。「ララリラ」とは対照的にミドルテンポでゆったり歌いあげるナンバー。掛け合いのAメロとサビのコーラス具合がとってもキレイ。ビデオはわりとポップに仕上がってるので曲のイメージとはあってるとは思わなかったけど、まあそこは連作仕様なのかな。

 

Youtubeにあがってた過去のMVもなかなか良い。ポップな中にほんのり毒がある感じがたまらない。

さらっと全曲レビューしてみる

独断と偏見で全曲レビューしてみる。

1. ララリラ

キャッチーかつMVにもなってる曲。通して聴いた後でもこれがイチバン印象に残ってる曲かな。好き。
Bメロの掛け合いからサビの流れ、サビに入ってから広がる感じの展開が聴いててサイコーに気持ちいい。後半で転調する部分もあってメジャーっぽいアプローチするなあ、って。員hヂー図ながらこのキャッチーさを持ってるのはナカナカ強いと思う。

浮遊スル猫「ララリラ」 歌詞
39度の熱が入り口
現在と向こう側が混濁して
感覚を超え意識飛ばす
白い煙の中
お望みは? 求めていたい
お望みは? 愛し合いたい
お望みは? パッパッパッパララリラ
パッパッパッパララリラ ララリラ
丸ごと飲み込んだ
あの頃が首を絞める
自分の世界で
ずっと閉じ隠ってられるなら
望んだ世界で
ずっと幸せでいれるなら
こんな心潰して
生きて死んでくのが普通なら
人には愛など
埋め込まない選択が欲しいよ
Tell me why a lot of people are suffering?
丸ごと飲み込んだ
あの頃が首を絞める
息も止まる

2. 散々草々

ベースがとにかくうねりっぱなしのフレーズ。本作の中ではイチバンダークトーンな曲かな。ギターの歪具合もなんかレトロというか良い感じにハイファイな感じで好き。「みんな笑ってる みんな狂ってる」ってフレーズもさりげなく毒があっていい。

浮遊スル猫「散々草々」 歌詞
ああまた今日も家を出る時間
頭痛いとかお腹痛いとか
何でもいいから嘘をつきたいけど
どうにもならない3分間
朝から人間詰め放題
まわりの奴らはやりたい放題
日は昇って落ちて夜も深まって
足早に帰る 何処に帰る
みんな笑ってる
みんな狂ってる
自分の限界なんてたかが知れてる
弱音も吐けない環境は誰のせい?
見渡せば散々草々
赤だったり青だったりもう関係ない
死ぬ気でオーライ!
飛び込んで終わらせりゃ簡単かい?
見渡して散々 涙草々
普通以外には冷たいまわりの目
普通ってみんな同じ
ヒィヒィ言ったところで
誰も助けちゃくれないし 見捨てられる
暑い寒いは関係ない
いつだって我慢しろ頑張れって
もう散々だ 散々さ
この心臓はまだ誰にも渡しちゃいない

3. 支離滅裂

印象的なギターとベースのからみで始まるイントロ。アルバム中で1,2を争うキャッチーなナンバーでは?
2回目のAメロでは歌というよりセリフのようなくだりがあってこれも印象的。サビの主旋律はベースのやがわさんがとってます。個人的には初期のHaKUとかに近い印象をうけました。

浮遊スル猫「支離滅裂」 歌詞
いつのまにやら絶体絶命です
隙がないよりはマシじゃないですか?
君の方から帰りの身支度です
気付かない?ダイエットしてるの
明日の朝には覚えてないでしょ
しっかり脳内記憶を再生!
いつのまにやら絶体絶命です
すれ違う二人は何も見えてない
あぁ縺れる
赤い糸を
優しく手繰り寄せてみる
初めからわかってたことなんて
言う前にできること探そう
追いかけて追いかけて追い越して
追いかけて行くから
いつのまにやら号泣寸前です
なんで、如何して!?
いてもたってもいられぬ気まずい
あれ?あれ?おかしくなりそー!
そろそろめんどくさくなってきた
決裂しますか?決裂しますか?
いつのまにやら絶対絶命です
ちょちょちょちょ
ちょっとまってよね!
初めからわかってたことなんて
言う前にできること探そう
追いかけて追いかけて追い越して
もう一度向き合ってみよう

4. kirikiri

これもポップよりはダークな印象の曲。さはらさんのサビ終わりのボーカルの余韻がスゴく艶やかで「女感」でてていい感じ。2番Aメロ冒頭の低めのコーラスはさはらさんのセルフなのかな?やがわさんのハイトーンのコーラスとはまた違った良さがあった。
そして、ここまで聴いてて思ったのは、この曲にかぎらず全体的にギターの音色がファジー。曲にあってるからいいんだけどライブでもずっとファズ系の歪みなんだろうか…(耳痛くなりそう←)。

浮遊スル猫「kirikiri」 歌詞
液晶の中映し出す幻
対象の穴醸し出す悲しみ
軽く撫でただけのくせして
わかったような顔して
時間が経てば忘れてしまうのにね
変わってしまったのは一体だあれ?
Who are you,Darling?
わからないよ
きりきりきり刻んで
私のこともっともっと綺麗にして
あの子のとこへなんて
いかないでいかないでいかないで
大衆の流れに身を任せて
悪臭に涙を浮かべては飲み干した
何一つうまくいかないのは
醜いことのせいにして
痛みすらも快感に変わるほど求めている
変わってしまったのは一体だあれ?
Who am I, Darling?
わからないよ
きりきりきり刻んで
私のこともっともっと綺麗にして
何処かのお姫様みたいに
なりたいのなりたいの
きりきりきり刻んで
私のこともっともっと綺麗にして
きりきり霧の中
薄れる記憶を辿って
きりきりきり刻んで
貴方のこともっともっと傷つけたい
きりきりきり刻んだ
煩い靄を散らして
くだらない世界を切り捨てた

5. ライオン

MVにもなってるミドルナンバー。これまでのアクティブな印象の曲とはちがって、主旋律ののびやかさも聴くことができてボーカルとしての実力が高いんだなあって実感できる。コーラスも前述曲のようなポップな感じじゃなくふわっとした印象でコレがまた効果的かかってる。最後半のリリック詰め込んだあたりがミドルテンポな曲に良い意味で店舗の変化をつけててGOOD。

浮遊スル猫「ライオン」 歌詞
浮かない顔して歩いている
君の気持ちを知っている
儚い想いに憂いている
私の気持ちを知っている
高鳴る鼓動を邪魔している
君の気持ちを知っている
抗う軌道に夢見ている
私の気持ちを知っている
Hey hey can you hear me?
Are you ready?
Hey hey can you hear me?
3.2.1.Go!!
君が笑ってくれるなら
私は何だってできるよ
君を泣かしたあいつなら
今はもう今はもう
寂しいにおいが残っている
広い部屋を飛び出して
会いたい心を殺している
全部自由にしてあげる
簡単な言葉で君を誘って
散々には終われないと自分煽って
狂おしいほどの光が差した
震える身体強く抱きしめて
いつの間にか傷が癒えてく
大丈夫もう前を向ける
Can you hear me?
Let’s go

6. 愛の海

印象的には「ライオン」と同タイプのミドルナンバー。と、おもったけどサビはバックがけっこうアクティブに動いてる。
メロディーラインと並行して走ってるギター単音のメロディーラインも割りと好き。この部分、ライブだとワンギターだから再現できないのかな?

浮遊スル猫「愛の海」 歌詞
もう少しだけ 傍に居させて
これが最後でいいから
あなたとの時間で
いっそのこと焼き尽くして
お願い
Am I wrong for you? Hey
Tell me what it is I lack.
絡めた指の嘘は苦しいだけ
好きだけど本気じゃないなんて
意地悪言うのね
I love you so much
it scares me, oh
あてもなく歩く
泣かないで今は
いつかこうなるのわかっていたよ
さよなら I do not want to say
さよなら Please, Do not go
さよなら
ありがとうなんて言わないで
後悔するからね 手離したこと
私の中から消えないこと
ずっと引きずるわ
素直になれない自分が嫌い
誰にでも優しいあなたも嫌い
ああもう涙があふれて歩けないや
夢をみていたんだ
幸せな生活を
朝が来てしまう前に
私を飲み込んで深くまで
ずっと愛し続けるから
ずっと愛してる

6曲目おわってシークレットトラックで曲目のわからない曲が入ってます。リハスタ録りみたいな雰囲気のアッパーな曲。
その昔、似たようなアプローチでTHE JETZEJOHNSONの「食神」っていうシークレットトラックのネタ曲があったんだけど、それを思い出した。完全に余談

個人的な印象の話になるけど、最近のライブハウス界隈のトレンドっぽいアプローチもしっかりと踏まえつつ、王道とか少しクラシックにもとれるアレンジや要素も内包していて聞けば聞くほど面白く感じれた。
どの曲も、同じAメロでも1番と2番で変化をつけていたりして芸が細かいなあ、って。それがちゃんと飽きさせない効果を生んでて活きている。

あとがき

[rating]

個人的にはすごく好き。ライブハウス民、バンド好き勢にはオススメ。
ほかの作品をまだ聴いてないからこのアルバムが至高!とまでは言えないけど、なんの前知識もなく聴いたのにスゴくよかった。他のアルバムも聴いてみようと思ったしね。
タイプの違うツインボーカルがいることで、かっこいい系のギャルバンの印象と、男性受けするギャルバンの印象と両方を持ち合わせていて飽きさせないし、他の似たようなバンドの中からひとつ突き抜けるインパクトを持ってる。

ついこの間までツアーで全国まわってたぽいけど、知るのがちょっと遅かった。。
次、地元近くでライブがあったらぜひ行ってみたいなあ。それまでは他の作品も聴いてみよう。

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