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【映画レビュー】ザ・ギフト を観てきた

ザ・ギフト

全米が戦慄したサイコ・スリラー映画「 ザ・ギフト 」を観てきたので感想がてらレビューしてみます。衝撃のラストで明かされる“恐怖の贈り物”の真実とは?

ザ・ギフト THE GIFT とは

2015年に制作、キャストとしても出演しているジョエル・エドガートンが監督、脚本、製作を務めたされたアメリカのサイコスリラー。

低予算で制作されながらも、それを一切伺わせない見事な仕上がり。
派手な演出はありませんが、しっかりと練られた脚本構成に最後まで惹きつけられ、リアリティあふれる恐怖に魅入ってしまうこと間違いなし…!

「華麗なるギャツビー」「ブラック・スキャンダル」「ジェーン」などで活躍する俳優ジョエル・エドガートンの長編初監督作品で、「パラノーマル・アクティビティ」「インシディアス」といった人気ホラー作品を手がけるジェイソン・ブラム製作によるサイコスリラー。

新たな転居先で幸せな生活を送る夫婦の前に、夫の同級生と名乗る男・ゴードが現れた。再会を喜んだゴードから、2人に1本のワインが「ギフト」として贈られる。しかし、徐々にゴードからのギフトはエスカレートしていき、度を越していく贈り物に2人が違和感を覚えはじめた頃、夫婦のまわりに異変が起き始める。

エドガートンは監督、脚本、製作を務め、ゴード役で出演。
ゴードに狙われる夫婦の夫役に「宇宙人ポール」のジェイソン・ベイトマン、妻役に「トランセンデンス」のレベッカ・ホール。

映画.com より

登場人物

サイモン

新たな転居先に越してきた夫婦の夫。
仕事も家庭も順風満帆そうだが、引越し先で旧友・ゴードと再会したことから、彼の日常は徐々に壊れていく…。

演じているのは[actor][name]ジェイソン・ベイトマン[nname]([altname]Jason Bateman[aaltname])[sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm0000867/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2017/01/6d3222592800c506dab4bc035cb622d0.png”][aactor]
いわゆる大作系への出演はあまりないのですが、ディズニー映画「ズートピア」などで声優としても出演しています。個人的には出演作の映画「泥棒は幸せのはじまり」が面白くて好きでした。

ロビン

サイモンの妻で元デザイナー。
過去に流産を経験し、引っ越しを機に自宅で仕事をするようになる。

演じているのは[actor][name]レベッカ・ホール[nname]([altname]Rebecca Hall[aaltname])[sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm0356017/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2017/01/24bc462670d839b4837f1e79e2a95794.png”][aactor]
イギリスの女優さん。映画の出演作が多く近年の作品だと「BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」「トランセンデンス」「アイアンマン3」など。

ゴード

サイモン&ロビン夫妻が越してきた先で再開したサイモンの旧友。
引越し祝いにワインを贈ったことを皮切りに、彼から次々と贈り物が届くようになるのだが。。。

演じるのは[actor][name]ジョエル・エドガートン[nname]([altname]Joel Edgerton[aaltname])[sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm0249291/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2017/01/18c323fb8aa73e960458ee3ec8588e89.png”][aactor]
オーストラリア出身の俳優さん。「スターウォーズ」シリーズではオーウェン・ラーズ役(アナキンの義父の息子)を演じている。近年だとレオナルド・ディカプリオ主演の「華麗なるギャツビー」や「エクソダス:神と王」に出演。ちなみに本作が監督としての長編映画デビュー作である。

ルーシー

サイモン&ロビンが越してきた家のお隣さん。子持ちであり、流産を経験したロビンを気遣う。

演じているのは[actor][name]アリソン・トルマン[nname]([altname]Allison Tolman[aaltname])[sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm2798112/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2017/01/9c3bd0800c9eeb94da94a7acb4786c3b.png”][aactor]
日本での公開作品には殆ど出演作がないのですが、ドラマ「ファーゴ」や人気作である「プリズンブレイク」にも少しだけ客演しています。

グレッグ

サイモンの旧友。
ゴードとの過去を話したがらないサイモンに不信感を抱いたロビンは、当時の友人であるグレッグを訪ねる。

演じているのは[actor][name]デヴィッド・デンマン[nname]([altname]David Denman[aaltname])[sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm0219292/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2017/01/1b18c1a193661f3f5ae51c5d2b104d0d.png”][aactor]
ドラマ映画ともに出演作多数ですが、個人的には海外ドラマでちょくちょくみる俳優さん。「パーソンオブインタレスト」「私はラブ・リーガル」「殺人を無罪にする方法」「グレイズアナトミー」などに客演。2016年の新作ドラマ「アウトキャスト」などにも出演していました。

あらすじ

サイモンロビンの夫婦は、サイモンの地元の新居に引っ越してくる。

新居用の買い出しにでかけた店でサイモンは男性に声をかけられる。男は「君を知っている」と声をかけ、話を聞くとサイモンの同級生だったゴードだった。
名前を聴くまで彼のことを思い出せなかった様子のサイモン。連絡先を交換しひとまず別れる一同。

後日、サイモンの家に引越し祝いのワインが届く。
ゴードはサイモンを訪ねて度々家に訪れる。ロビンはゴードを招いて夕食会を開くが。。。

ゴードとサイモン、ロビンの3人で夕食をとる。酒の進んだゴードはサイモンの成功を喜びつつも自身の身の上を疎む。ゴードが帰宅するとサイモンは彼を不気味がり、もう夕食には呼ぶな、とロビンに伝える。

その後もゴードからの贈り物は続く。庭の池用に鯉を贈ったり。。。
サイモンはゴードと仲良くすることを嫌がり始めるが、ロビンは人の良さそうなゴードを無碍に出来ない。ある日、サイモンの留守中にテレビの配線作業を手伝ったゴードは冷蔵庫に貼ってあったメッセージボードを目にしてしまう。そこにはサイモンがふざけて書いた「ブキミなゴード」(ゴードの学生時代の悪口)が書かれていた。

それを目にしたゴードは血相を変え家を飛び出していく。彼の様子に気づいたロビンは、メッセージボードの内容にも気づいて心を痛める。
ご近所の夕食会でその話が出てもロビンは相変わらず申し訳無さそうにしているのだが、対してサイモンはそれをネタに彼を笑い者にする。しかし、家を飛び出していった後、ゴードはサイモン夫妻を夕食に招待する連絡をよこしていた。

悪口を目にした直後に、夕食に招くなんて奇妙だ…と思いつつもふたりはゴードの家を訪ねる。

やってきたゴードの家は、サイモンの新居とは比較に成らないほどの豪邸。驚く夫妻。
家の中に招かれた直後、ゴードは誰かに電話で呼びだされ夫妻を家の中に残したまま外へ出て行ってしまう。「不用心だろ」と思いつつもサイモンは家の中を創作しようと嬉々とする。ロビンはそれを止めるのだが。。。

結婚はしていない、と聞かされていた夫妻だったが家には女性物のクローゼットや子供部屋まで用意されていた。
何かおかしい…と感じ始めた時ゴードが家にもどってくる。サイモンが疑問をぶつけると、ゴードは「実は離婚調停中で子供は妻が連れて行ってしまった」という。豪邸も妻の実家の持ち家で、自分自身が金持ちなわけではない、と。
離婚のドタバタの最中、サイモンと再会したため本当のことを明かしづらかった、と語るゴード。

話をひと通り聞くと、サイモンはロビンを外に出しゴードに食って掛かる。彼をブキミがって「もう自分たちに近寄るな」と罵る。

サイモンがゴードを拒絶すると、贈り物は届かなくなる。
代わりに、池の鯉には毒が与えられて死んでしまい、飼い犬のボージャングルの姿も見えなくなる。ゴードの仕業だと怒り狂ったサイモンは彼の家に向かうが、再び訪れたその豪邸には別の人が暮らしていた。

不安になった夫妻は警察に相談。警察のしらべでは、
豪邸は別人の家出あり、ゴードはその家から車をリースして借りていた。そのため彼は出入りが可能であり、住人の旅行中を利用して夫妻を招いたらしかった。
ゴードが犬を連れ去った、という証拠もないことから警察は動けないという。

不安な日々を送るなか、ボージャングルは唐突に家に帰ってくる。
さらにゴードからは一連の行動を詫びる手紙が送られてきた。その手紙には「全てを水に流そうと思っていた」と意味深な文章が。。。ロビンはその文章が気になって仕方がないが、サイモンは心当たりがないと言いはる。

それ以降、どこか気がかりが残ってしまったロビンは不安な日々を送り続ける。
お隣さんルーシーの家で、精神安定剤を見つけたロビンはそれをくすねて飲むようになっていた。家の中のささいな物音にも過敏に反応するようになってしまったロビン、ある日、恐怖と緊張、そして薬の過剰摂取から倒れて気絶してしまう。。。

目覚めたロビンは自分が限界に来ていることを告げ、サイモンにゴードときっちり和解してくれ、と頼む。
しかし自分は何も悪いことはしていないと拒否するサイモン。すると手紙の一節を挙げて、何か隠しているはずと責めるロビン。口論になった挙句、サイモンはロビンをなだめるだけで問題解決にはいたらなかった。。。

時が経ち、ロビンは妊娠する。
過去に流産を経験してから待望の妊娠だっただけに嬉しさも一入。しかし、お隣さんルーシーとマタニティ服を選びに出かけたロビンは街で再びゴードを目撃。またもや不安にかられるようになる。

自分で事態解決を図ろうと考えたロビンは、サイモンの妹・ジョアンに「ゴードについて何か知らないか?」と訪ねる。
彼女は学生当時、ゴードが街でとある事件に巻き込まれたことを語り出す。ある日、ゴードは上級生の男に車で性的暴行をうけ、それをサイモンと同級生のグレッグが助けたのだという。その噂は小さい街に瞬時に広がり、サイモンは「ゲイだ」と罵られるようになった、と。

ロビンは真相をつきとめるため、サイモンの友人・グレッグを探しだし話を聞こうとする。

グレッグを問い詰めるロビン。
重い口を開いた彼は「(ゴードが上級生に襲われたという)事件はそもそも存在しなかった」と語る。サイモンがゴードをからかうためにでっちあげた作り話で、それが元で彼はいじめられるようになった、と。グレッグはそれに付き合ったのだった。
しかし、噂話が広がったせいでゴードの父親は憤慨し、ゴードと焼身自殺を図ろうとしたらしい。結局は未遂に終わったがゴードの父親はそれが原因で刑務所送りになった、と。

とんでもない事実を聴かされショックを受けたロビン。その事実をつきつけサイモンに「ゴードに謝罪しろ」と強く要求する。
後に引けなくなったサイモンはしぶしぶサイモンの元を訪れ、謝罪(とは呼べないような態度だったが)をする。しかしゴードは「ロビンに言われたから来たんだろ」とお見通し。彼の上辺だけの謝罪を受け入れない。その態度に逆ギレしたサイモンはゴードを殴る蹴るの暴行。

挙句、家に帰り「ゴードは謝罪を受け入れた」とロビンにウソをつく始末。

ようやく心の平穏をとりもどしたかにみえたロビンだったが、ご近所との夕食会の最中、サイモンの家に石が投げ込まれる。
驚いた一同、またもやサイモンの犯行か?と思いきや、物陰から飛び出してきた犯人を取り押さえると、それはまったく別の男性だった…。男はサイモンの職場の人間で、サイモンの狡猾なやり口によってサイモンにポストを奪われた人物だった。彼はご近所さんの前でサイモンを口汚く罵る。

そのときショックのあまりか、ロビンは破水し病院に運ばれる。

病院に運ばれたロビンは無事に男の子を出産する。
喜びの瞬間も束の間、サイモンのもとには1本の電話。先程の男の件が伝わり彼は職を追われてしまう。さらに彼の冷酷な内面を思い知らされたロビンはサイモンとの関係に区切りをつけるつもり、それを薄々悟りながらもサイモンは一旦家に変える。

家に着くと玄関の前には、ふたたび贈り物が…。
「あいつ…」と息巻くサイモン、贈り物を開けると中には「出産祝い」とベビーベッドが贈られていた。さらに「1」「2」「3」と書かれた小箱が…。

箱を順に開けていくサイモン。
1つ目の箱には鍵が入っていた。ゴードはサイモンの家の合鍵をこっそり作っていた。
2つ目の箱にはCD。サイモンがロビンと交わした会話、とくに「ゴードはロビンに惚れているから纏わりついてくるのだ」と彼を罵倒している様が録音されていた。
3つ目の箱にはDVD。映像には薬の過剰摂取で倒れたロビンが映しだされていた。そしてそれを間近で撮影するゴードの姿。彼はロビンをそっとベッドに寝かせ彼女に触れるさまが映しだされていた。

「…まさか」と勘ぐるサイモン。

そのころ病院ではゴードがロビンの見舞いにやってきていた。
彼の姿を観て一瞬すくむロビンだが、サイモンの暴行によって傷だらけになった姿をみて「サイモンにやられたのか」と察する。サイモンは出産祝いに花を贈り病室をあとにする。

サイモンは急いで病院にかけつけるが、そこでゴードから電話が入る。
「いま君が一番聞きたい言葉、ウソだと言って欲しいんだろ?」と尋ねるゴード。それは過去に彼がサイモンに言って欲しかった言葉そのものだった。

「安心しろ、彼女には触れてすらいない。…いや、触れたかもな?」とサイモンをおちょくり、真相は告げないゴード。
赤ん坊の目を見れば誰が父親かわかる、とだけ言い残しゴードは電話を切る。

サイモンは新生児室の赤ん坊の元へ向かう。ロビンが赤ん坊を抱き上げる。ロビンはサイモンの視線に気付き侮蔑の表情を浮かべる。授乳のために新生児室のカーテンが綴じられサイモンは赤ん坊の顔を確認できず、そのまま廊下にうずくまる。
そのさまを遠巻きに見届けたゴードは「復讐終了」と言わんばかりにその場を後にするのだった。。。

最後の贈り物…真相は?

ロビンが倒れた際に、家に忍び込んだゴード。
奇しくもそのタイミングとロビンの妊娠期間はちょうど辻褄が合ってしまう。それもおそらくはゴードの計算のうち。

ようやくできた子供が、実は自分ではなくゴードの子供かもしれない…という強烈な猜疑心をサイモンに植え付ける。そして苦悩するサイモンの姿をみたゴードはようやく復讐心を満たすことができた…のだろうか。。。

 

ゴードが言ったように、自分の子供かどうか、目を見ればわかるのかはともかくとしても、後々親子鑑定でもなんでもすれば真実は明らかになるだろう。
それを考えればやはり、ゴードはロビンには手を出していないんじゃないか、とボクは思う。ロビンは充分に恐怖を感じていたとはいえ、ゴードの害意は一途にサイモンにだけ注がれていたように思うし。

病院に現れたシーンではアームホルダーなんかつけて、サイモンからの暴行を誇張してみせたりもしていたけど、それはあくまでロビンを怖がらせないための予防線だったのかなあ、とも思う。

ラストシーンの時点で、とことんサイモンの精神を打ちのめしたことでゴードの復讐劇は完成したのか。。。
最後、サイモンを見つめるゴードの眼差しはそれを表しているのだと、思いたい…。

感想&あとがき

[rating]

単なるサイコスリラーとして捉えるなら、人が死ぬわけでもなく手縫い感じに思えてしまうのですが、逆にゴードによる復讐劇として考えれば、実にあっぱれな展開。
仕事を奪い、ご近所の信用も奪い、最愛の人の気持ちも奪い、そして家庭すら奪う。サイモンが他者に対して身勝手に狡猾に冷淡にふるまった報いを、これでもかと味あわせた様は「いい気味」としか思いようがない。苦笑

この映画で重きに捉えるべきなのは「サイコパスなゴード怖ぇ…!」ではなくて、サイモンのような加害者タイプの人間は自分のしたことの重みを理解せずいつの間にかなかった事にし、挙句いい歳の大人になっても本質的に変わらない、という部分であろうとボクは感じました。

なかなか先読みさせない展開と、単純に善悪として割り切れない気持ちの悪さが、なかなかに深みを感じさせる作品でした。

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