すこし前の話になるのですが、アメーバブログ(アメブロ)に記事の削除依頼を申請した際のお話を備忘録として残しておこうと思います。
似たようなケースはあまりないかもしれませんが、もし削除申請などでお困りの方がいたら参考までに。
アメブロ 削除 に至る コトの経緯
ボクは、アーティスト活動をしている知人のホームページ制作などをお手伝いすることがあるのですが、以前そのお手伝いしている方の著作物が違法にアメブロに転載されていた事がありました。
具体的には↓こんな内容。
- 著作物そのものの違法アップロードサイトへの誘導リンク
- 著作物の違法コピー(データのダビング)交換を持ちかける掲載
音楽ファイルなどの違法アップロードは近年問題視されていて、知らない方は少ないかも知れません。
単純にデータをダウンロードさせるだけでなく、動画にしてYoutubeなどに勝手に公開したり、有料ストレージにアップして小金稼ぎをする人までいるそう。
ひと昔まえにはダビ交(ダビング交換)などと称して、アーティストの楽曲をコピー交換する文化があったらしいのですが、今回のケースはそれの現代版てところでしょうか。
グループとして活動されていたそのアーティストさんですが、法律にもネットにも明るくなく、対処の仕方がわからないということで、ボクがグループの代表者として対処を任されました。(ちなみにボクは法律には詳しくないです)
投稿者に連絡してみる
ひとまず、件の違法投稿をしているブログへ直接連絡してみることにしました。
アメブロのプロフィール欄からメッセージを送ることができるため、ひとまずアメーバのアカウントを作成し、投稿者にコンタクトを取ってみました。
内容は端的に、「こちらの著作物の権利侵害をしている投稿を削除してくれ」と。
まあ、これで素直に対応してくれていれば、この記事を書くには至らないわけで…。
案の定、相手からは梨の礫。仕方なく次の段階にすすむことに。
アメーバに通報
ブログ主の文体がちょっとアレだったので、まともな対応は望めないだろうな〜…とは思っていたのですが、そのとおりでした。
しかたなくアメブロ運営へ通報。
「お問い合わせ」から「違反報告・通報」の「権利者向け窓口」へすすみ、フォームに必要事項を入力して、通報しました。
「権利者であることを証明できるWEBページのURL」という項目への入力が求められていますが、
権利元がアーティストなどの場合は、公式ホームページや著作物の販売ページ(CD販売や楽曲配信のページなど)が提示できれば問題ないかと思います。
※個人でもネット上で公開されているものであれば、そのURLで良い気がしますが、個人制作物の場合、権利者であることが明示的に確認できないケースもありそうなので、ココちょっとむずかしいかも…?
アメーバからの返信
通報から2日ぐらいで返信がきました。思っていたよりも仕事が早い。
Amebaカスタマーサービスでございます。
ご連絡をいただいた記事を確認いたしました。
Amebaでは客観的に見て違反行為が確認できた投稿の削除を行うことが可能です。
ただし、お問い合わせのみでは違反行為か否かの判断ができない場合には、法令に沿ったご申請を頂戴し必要な手続きを経て削除の可否を判断いたしております。
本件については後者に該当すると考えておりますため、削除請求を希望される場合には、以下のヘルプページをご参照の上、依頼書及び必要書類一式を記載の住所までに送付いただきますようお願いいたします。
・削除請求(送信防止措置の申出)
http://helps.ameba.jp/faq/others/delete_info/post_533.html
※以下のヘルプページをご参照の上、依頼書内[1]に該当箇所をご記入いただきますよう お願いいたします。
http://helps.ameba.jp/post_22.html
※手続きには2週間程度お時間をいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
文面から読み取る分には、今回のケースは「アメーバには違反行為か否かの判断ができない」ととられたようですね。
そこだけでも「ええ?!まじかよ、これだけハッキリ違法的な掲載されてても、判断付かないの?」と思ったんですが、法令に沿った申請をすれば対応して貰えそうなので、そうすることに。
削除請求(送信防止措置の申出)
上記URLを参考に、削除請求をおくります。
これはネットのフォームからではなく、郵送で必要書類を送らなくてはなりません。
(個人での申請の場合は)アメーバ側で用意されている「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」というPDFを印刷し、必要事項を記入します。その他に下記の書類を用意しなければなりません。
- 押印と同じ印影の3ヶ月以内の印鑑登録証明書
- 住民票、パスポート、運転免許証、保険証等の、ご本人様であることを証明できる公的書類の写し
印鑑登録証明と住民票…め、めんどくせぇ…!!
というか、印鑑登録なんてこれまでにとったことねえぞ(記憶の限りでは)。ただ代表者として依頼されていることもあり有耶無耶にできないので、しかたなく書類をとりにいきます。
ボクの場合は最寄りの市役所に行き、その場で印鑑登録を済ませて書類をゲット。(しめて手数料600円)ついでに提出用の住民票の写しゲット(手数料300円)。
これらと、上記の「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」をあわせた3点を、(株)サイバーエージェント内のアメーバカスタマーサービス宛てに郵送します。
もちろんきっちり郵送証明ができたほうがいいので、レターパック(信書OK)で郵送。(普通郵便とかじゃダメ!)送料510円。
個人情報への危惧
ここで気になるのは、やっぱり個人情報の取扱について。
アメーバへ送った書類に対する、サイバーエージェント側の個人情報の取り扱いはもちろんですが、アメーバからの返信にはこのような内容が含まれていました。
・削除請求(送信防止措置の申出)
http://helps.ameba.jp/faq/others/delete_info/post_533.html
「3.情報発信者への意見照会」を行う場合があり、その際は依頼書内の[1]~[4]の内容を示した上で発信者の意見を聞きます。
※氏名等は希望がない限り発信者へ開示いたしません。
なお、依頼書内[1]~[4]の記載内容により依頼者を推測される場合はあるかと存じます。
あらかじめご了承いただきますようお願いいたします。
要は、削除申請をおくって、アメーバ側でやっぱり判断がつかないときは「件のブログ主に情報を公開して意見をききますよ」ってことらしいです。
どこの誰かも知らん違法ヤローに個人情報差し出すんかーい!
しかも今回の場合、最初の返信の段階で「アメーバには違反行為か否かの判断ができない」とされていることから、情報開示される可能性も無きにしもあらず…解せぬ。
法を犯している側の情報は一切わからないまま、法を侵された側の個人情報が公的書類にのっとって正確に提供されるなんて…!
日本の法律のおかしな点を肌で感じて、戦慄。
それでもやるしかないので、書類を郵送しました。
当該記事は削除。しかし…
書類郵送から10日ぐらい過ぎた頃に、ふたたびアメーバから連絡をもらいました。
それによれば、「件のブログ主が自主的に該当記事を削除した」とのこと。
つまり、危惧していたとおり、アメーバ側では削除作業はせず、ブログ主に個人情報を提示したうえで、意見を聞こうとしたところ、相手側が「やべ!」と自主的に記事を削除した、ということでしょう。
情報提示されたのはやっぱり解せないけど、まあ記事が消えたので目的は達しました…
…と、おもいきや!
そのブログ主、こともあろうか、翌日にはすぐに同じ内容の記事を投稿していたのです!
削除申請は記事のURL(http://ameblo.jp/◯◯◯/entry-◯◯◯.html とか)単位で申請するため、該当記事を削除してもまったく同じ内容の記事をURL違いで投稿したら意味ないんです。
なんじゃこのクソボケカスっっっっ…!
確信犯だなコイツ、と思いすぐにアメーバに連絡。
するとふたたび削除申請をするように促されます。こちらとしては、書類取得と書類作成で半日ぐらいの時間と1500円近くかけてるのに、これを申請ごとに毎回せなならんのか?とちょっとお怒りモード。向こうがその度に記事上げ直したら無限ループや!
で、どうにかならんのか?とお伺いたてたところ、「書類はすでに受け付けているのでこれを元に、メールで削除申請お受けします」とのこと。
ほっ、よかった。。。
しかし、その返信に気になる一文を添えられてしまいました。
なお、本件に関しましては弊社において現時点では違反投稿であるとの判断には至っておりません。
(先の回答の通り、意見照会を経て発信者による自主的な削除がなされております。意見照会は申立人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由の存否が明らかでない場合に行っております。)
予測していたとおり、アメーバ側ではこの件が「違法投稿」とは判断していない(少なくともこの段階では)らしい。
具体的なことを書いてしまうと、このブログは先述したように、所謂「ダビング交換」の情報交流所のように使用されているようなのです。
投稿されている記事すべてが、ダビ交にまつわる情報(所持データのリストや交換希望のデータリストなど)で、それはもう見て明らかなんです。それをもってしても違法性を判断できないのだとしたら、アメーバの法務およびカスタマーにまともな倫理感はないと言わざるおえないでしょうね。いいすぎました。
繰り返す再投稿
で、メールに寄る再削除申請を経て、ふたたび記事は削除されますが、また数日後には同じ内容の記事がアップされます。
もうほんとにループです。
以後、この流れを何回か繰り返します。そのたびにアメーバにメール連絡し、過去の経緯を添えて、メールでの削除申請を受け付けてもらいます。
むこうさんももう、なんとなく理解してるみたい。
ご依頼の件ですが、大変恐縮ながら先のお手続きについても発信者への意見照会をし自主的な削除が行われた経緯がございます。
本件についても、同様の削除請求をいただいた上で所定の手続きをとらせていただければと存じます。
なお、直近で必要書面・添付書面一式をいただいておりますので、今回のご依頼に関しては、本メールのご返信に請求内容を記載いただだき、その内容をもとに手続きをとらせていただきます。
相手も違法なことやってるのはもちろん承知のうえでしょうが、それにしても節操がねえな、という感じ。
これ、埒が明かないやと思い、ブログそのものの削除はできないのか?と打診しましたが、相手が「自主的に削除」したら「ブログの削除」までには至らない、というニュアンスの返信をされてしまいました。。。
や く に た た ね え っ !
顛末
この間、約2ヶ月をまたいでこの件に対処してましたが上記の通り繰り返すループなのでずっと対処し続けるのも難しくしばらくして放置。
どの段階でそうなったのかは確認していませんが、事の発端(昨年夏ごろ)から半年以上たった現時点では、該当の記事が削除されているようです。
ちなみにそのブログ自体は現在も健在。堂々と違法ダビング交換の内容を掲載しています。
依頼されたアーティストさんには、逐一報告をしてとりあえず現状でよしとしよう、という流れになったのでボクからの対処は終えました。
(かかった手数料分ということではないですが、手続き云々のお礼にお酒をおごってもらっいました♪)
んー、実質的な解決にはなっていないのですが、結局こういうケースの場合は後手後手の対処しか方法はないですよね。。。
相手が節操なしにやれば、やりたい放題だと思います。アメーバのコンプライアンス的にはこういうのありなんでしょうか…?