あらすじ
デトロイトに暮らすアレックス、ロッキー、マネーの3人は空き巣に入っては金を稼ぐ生活を送っていた。
アレックスは、父の経営する住宅警備の仕事を利用し、警備用に預かっている家の鍵をこっそり盗み出しては空き巣に利用していた。
ロッキーはダメな母親の元で貧しい暮らしを強いられ、幼い妹とふたり親元を離れて暮らすことを夢見ている。マネーは空き巣で得た盗品を横流しし小銭を稼いでいたが、身入りに不満な彼は仲介業者から「現金を盗め」とアドバイスされる。
マネーは、デトロイトの郊外過疎地にひとりで住んでいる老人がいる、との情報を仲介業者から得る。老人は数年前に事故で娘を亡くし、その示談金をたんまり溜め込んでいるというのだ。
マネーは意気揚々盗みに入りたがり、ロッキーも家をでるため金がいる、と決意。慎重派のアレックスは「万が一捕まった時に重罪になる」と拒むが、想いをよせるロッキーのために、と盗みに参加することに。
3人は老人の家に忍び込む。
老人が起きないようマネーは寝室に向かい催眠ガスを部屋に仕掛けようとする、手元に目線を移した一瞬で起き上がる老人。
マネー旋律。しかし老人は盲目のため、息を潜めてその場をやりスゴす。ガスを設置し安心したマネーは、厳重に施錠された扉を発見。金はここにある、と考えた3人はドアをこじ開けようとするがビクともしない。マネーは施錠を壊そうと、銃を取り出す。
銃を見たアレックスは態度を急変。
慎重派のアレックスは「銃を持って押し入ったら、撃ち殺されても仕方がない」(アメリカの法律?)とビビリ、俺は降りる、と家を出て行ってしまう。
マネーはロッキーとふたりで作業を続けようとするが、その刹那、彼の後ろに老人の姿が…!
感づかれたと焦るマネーは老人に銃を向け威嚇射撃。しかし退役軍人故の手さばきでマネーは壁際に押さえつけられ、持っていた銃で撃ち殺されてしまう。ロッキー衝撃。自分の存在がバレないように息を殺して立ち尽くす。
異変に気づいたアレックスはすぐさま家の中に引き返す。盲目のはずの老人は見えてるかのごとく家のなかを歩きまわり、扉に施錠し、マネーの遺体をどこかに運んでいく。
息を殺して老人をやり過ごしたアレックスは、クローゼットに隠れていたロッキーを見つけると外へ逃げようと諭す。が、彼女は老人が壁の中に隠していた金庫を見つけ、中から大金を盗みカバンに詰める。
施錠されていた扉が開いていること気づいた二人は扉の先の地下室に逃げ込む。
そこで二人は拘束され監禁されていた女性を発見する。アレックスは女性を放って逃げようとするが、ロッキーは彼女が「老人の娘を死なせた事故の加害者」であることに気づく。ロッキーは彼女を解放して一緒に逃げようとする。
地下室から家の裏に通じる地下扉をこじ開けるアレックス、しかし扉があくとそこには先回りした老人が立っていた。マネーの銃をアレックスに向けて発砲。
アレックスは耳を負傷、さらにもう一発が監禁されていた女性に被弾し彼女は命を落とす。アレックスとロッキーは慌てて地下室に舞い戻ると、老人は女性の遺体を抱いて泣き叫ぶ。ひとしきり泣いた後、老人は扉を施錠して家のブレーカを落とす。
真っ暗闇の中、アレックスとロッキーは手探りで地下室のなかを逃げまわる。
暗闇の中アレックスは老人に捕らえられこめかみに銃をつきつけられるも弾切れ。老人の不意をついて逃げ出したアレックスはロッキーを連れて1階に駆け上がる。
するとそこには老人の飼い犬である猛犬が。。。そのまま二階に逃げるふたり、部屋に籠城するも追いつめられてしまう。体の小さなロッキーは排気口へ逃げ込むが、犬に追い詰められたアレックスは窓から転落、一階の天窓へ落下し気を失う。
次いで犬は排気口に入ったロッキーを追う(賢すぎ…!)。
気がついたアレックスは割れかけた天窓からおそるおそる身をどかそうとするが、ふと見上げるとそこには老人が銃を構えていた…!発砲、窓が割れ1階に床に叩きつけられるアレックス。
猛犬に追われるロッキーは必死で逃げ、排気口の中を1階まで落下してしまう。
老人はアレックスの元へやってって来る、アレックスも決死の覚悟で応戦するがボコボコに殴られた挙句、老人が剪定ばさみを振り上げ…。
落下したロッキーは痛む体を引きずりながら排気口の外へ出ようともがく。が、老人に見つかり部屋に引きずり込まれる。足を潰され、顔をボコボコに殴られたロッキーは気を失い…気がつくと女性が監禁されていた地下室で拘束されていた。
老人は事故で娘を奪われ、金で罪を免れようとした加害者を許せず、「子供を奪われたから、もらうことにした」と語る。加害者女性を監禁し老人の子供を妊娠させていたのだった。女性が死んだことで再び子供を失った、と語る老人。責任としてロッキーに子供を産んでもらう、と語る。戦慄するロッキー。
宙吊りにされ、ズボンを裂かれ、老人は保存しておいた自分の精子を巨大なスポイトに詰めてロッキーに近寄る。泣き叫ぶロッキー。
すると背後から老人の頭にハンマーが振り下ろされる。…アレックスが生きていたのだ。
アレックスはロッキーを救出、老人を拘束して逃げようと諭す。ロッキーは与えられた恐怖への怒りが収まらず警察につきだそうとするが、盗みに入っている自分たちの立場が悪くなる、とアレックスはここでも慎重。
しぶしぶ逃げ出すふたり、玄関の扉をあけて外へ…と思った瞬間、アレックスが首に被弾。拘束を解いた老人が銃をもって追いかけてきた!
アレックスは即死。ロッキーはとっさに外に逃げ出す。盲目では追ってこられまいと高をくくったロッキーだが例の猛犬が追いかけてくる。焦るロッキーは車に逃げ込むがキーがないので逃げられない。
犬を車内に誘い込み、入れ替わりに外へ逃げ出したロッキー。安心したのも束の間、背後にせまった老人に気づかず、殴り倒されてしまう。
道を引きづられて再び家の中につれてこられてしまったロッキー。決死の思いで家の警報を作動させ、警笛に老人が怯んだ瞬間工具を振りかざして老人に襲いかかる。ボコボコになぐったあげく、地下室の扉から老人を蹴り落とすロッキー。地下室の床に倒れ込んだ老人からは大量の血が…。
ようやく恐怖から逃れられたロッキー。
手に入れた金と妹を連れ、遠くへ旅立とうと列車を待つ。待合室で流れていたニュースでは、老人宅に強盗が押し入り強盗2名が死亡。襲われた老人は病院に搬送され命をとりとめ、回復したという…終わったと思っていた恐怖が実は終わっていなかったことに不安を覚えながらも、ロッキーは妹と旅路につくのだった。。。
あとがき&感想
[rating]
いわゆるお化けや怪物等はいっさい出てこない(老人の目の表現は多少それっぽいけど)、対人間のお話なのに畳み掛ける旋律の連続。
盲目であるが故に “静寂” を利用した緊迫のシーンがすごく効果的に描かれている。存在をバレさせまいと息を潜めた沈黙が、次にくる恐怖の瞬間を予兆させて衝撃も倍増。暗闇の中で静かに虚空を見つめる老人の様はホントに不気味そのもの。
中盤で証明が落とされて、逃げるふたりと追う老人を暗視カメラでとらえた映像は新鮮かつ、ゾワゾワとした気味の悪さを演出していた。音とニオイ、それと触覚をたよりに、住み慣れた家を縦横無尽に行き来し、逃げ惑う彼らの前に突如現れる老人、その恐怖ははもはや怪物の域では…。
後半で明かされる老人の秘密については確かにサイコな感じなのだけれど、哀しみ故に壊れてしまったのだろう…とちょっとかわいそうにも思う。(老人が “子供をつくるため” の手段にレイプを選ばなかったのはサイコ故なのか、フェミニストへの配慮、か…?)
そもそも盗みに入った主人公たちは完全に悪だし、本来は「いい気味」な展開のはずなのだが、老人の圧倒的迫力を前にもはや「悪」は老人側か…と見えてくる。終盤でアレックスが老人を殴り倒したり、ロッキーが老人を突き落としたりして、結局ハッピーエンド的な展開に至るのか?と思いきや、それでも老人は生きていた…!というあと引く恐怖。
不幸な生い立ち故とはいえ、強盗に入った側のロッキーだけが幸せになるんじゃ正直、腑に落ちない。最後の最後でロッキーの心に不安な影を落とした「後味の悪さ」には「そうでなくっちゃ!」と拍手をおくりたい。スッキリハッピーに終わってしまったらホラーの意味がないじゃない。笑
個人的には普段ホラー作品を好んでは見ないため、見慣れてなさ故にちょっと甘目の評価かもしれません。
が、内容も絵面も新鮮で衝撃の連続。ボクは、脅かそうとしているシーンでもれなく「ビクッ」と肩を震わせてしまったのでちょっと恥ずかしかったです。苦笑
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