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ハンターハンター360話を読んでみた【ネタバレあり】

今週もジャンプ本誌掲載のハンターハンター最新 360話 のレビューをしてみたいと思います。ついにカキン王子達の “守護霊獣” たちが姿をあらわします!いよいよ王位継承戦もおもしろくなってきたああっ!と思っていた矢先…悪夢ふたたび

ちなみに前回のレビュー記事はコチラ。

ハンターハンター359話を読んでみた【ネタバレあり】

360話 “寄生”

ワブルの警護が立て続けに5人殺されたことで疑心暗鬼に陥ったクラピカ、銃を手に残る9人のワブル従者を問いただします。
協専からやってきたハンター3人と侍女たちは王位継承戦のこと自体知らなかった様子ですが、残るカキン王家からの警護2名は王位継承戦について知っていました。念能力自体には未だ半信半疑のようですが、クラピカのダウンジングはブラフではないと感じたのか観念して白状します。
この2名と先に殺された5名の警護たちはそれぞれ、上位王子の母親(つまりオイトを除く7名の上位王妃)から監視として送り込まれたスパイだったのです。

ただしそれぞれが暗殺目的に潜り込んでいたわけではなく、あくまで監視としての潜伏であり本人たちも実際に殺し合いが起こるとは思っていなかった様子。
念能力の存在と実際に殺された警護たちを見て、彼らは「王子達本人同士での殺し合い」こそが「王位継承戦」だと考えました。

「壺中卵の儀」によって王子それぞれが授かった守護霊獣たちは王子達本人すら自覚することなく、それぞれが自立して行動(殺し合い)をするというのだ。

協専ハンターのビルとクラピカそれぞれの目的の違いから警護方針で言い争う中、新たな被害者が…。おなじく協専のハンター・サイールドが残りの警護たちを刺しクラピカたちに襲いかかってきたのだった…!

壺中卵の儀 と 守護霊獣

ようやくカキン王子達の守護霊獣が登場してきました!現国王の守護霊獣があまりにもエグい見た目だったのでおぞましいのばかりかと思ったんですが、今回登場した5種類の守護霊獣たちはおもったよりも可愛らしいヤツもいたりして…笑

どれがだれの守護霊獣なのか(そもそも王子1人につき守護霊獣1種類なのか?)。1匹だけのやつもいれば、同じ形のが複数匹いるものもいます。
前話で血液を吸い取られて死んでいた警護達は、イチバン右のやつにやられたんじゃないかと予測。なんか吸い付きそうな形状をしているんですもん。

王子達に守護霊獣の卵をうえつけた「壺中卵の儀」ですが中国に伝わる「蠱毒」という呪術をモチーフにしています。壺の中にさまざまな毒虫をいれて殺し合いをさせ、生き残った虫の毒が最強!みたいなことですかね、簡単にいえば。
まさに今回の王位継承戦と同じ構図ですね。

寄生型の念・念獣

今回新たに登場した念能力の設定「寄生型」能力。
ビルによる説明では、宿主(対象)のオーラを利用して能力を発動させるタイプで具現化系に多い。宿主に自覚はなく操作もできない。宿主を守るものも攻撃するものもいる。宿主が念能力を使えなくても問題ない。

推察するに、操作ができないというのは対象だけでなく能力者本人もであろうと考えます。一定の条件化において自立動作する能力。これまでに登場した表現でいうならば、自動型(オート)と遠隔操作型(リモート)の念獣があったように、この前者でしょう。
対象のオーラを利用する、という部分はツボネの大和撫子七変化(ライダーズハイ)にも見られるメカニズム。

気になったのはこの守護霊獣(念獣)たちが非念能力者たちには見えていない点。
ビルは、具現化系に多いと語ったが「具現化」はオーラを物質化する能力。クラピカの鎖が非能力者にも見えているように、この念獣たちが具現化されたものならば、非能力者にもみえていないと道理が通らない。

守護霊獣たちが念能力者(協会員)にしか見えていないということから、この念獣達そのものは具現化されたものではない。
ホイコーロの言葉によれば、ビルが示した大元の能力者=初代のカキン王は具現化能力者であり、壺中卵の儀に使われた壺を具現化した。子孫繁栄を願う思いから死後強まる念として現世に存在し続けることになったこの壺はカキン血族に憑く守護霊獣(念獣)を生み出す。壺自体は具現化されたものだが、壺が生み出す念獣は具現化されたものではない、ということなのでしょう。

この「具現化」についての解釈は、作中で何度かひっかかる点があったのですが、今までなんとな〜く読み流してきてしまったボクですが、改めて考えてみてこういう結論に至りました。
漫画の表現として実線できっちりと型取りをされていても、それはあくまで表現上のもので念の区分としては具現化ではない、ということだと考えます。
これは念獣に限らず、念で作り出したアイテムや能力発動時の付加要素全般にもいえることで、明示された説明がない場合は非能力者が視認できているかどうかという描写がないと「具現化」かどうかハッキリしない、ってとこだと思います。

そう考えると今まで見た能力も、ちょっとちがった見方ができる。

  • カストロのダブル
    ウィングも具現化を示唆していましたが、分身が観客に見えているので具現化。
  • ギャラリーフェイク
    オークション参加者や天空闘技場観客がコピーを視認できているので具現化能力。
  • シズクの掃除機(デメちゃん)
    一般人に視認された描写はない、デメちゃんで人を殴り殺しているシーンはあるが仮に具現化でなければ、一般人には透明の何かをもって殴られたように映るのか?ただ具現化系能力者と明示されているのでこれを拾うのが妥当か。
  • ゴレイヌの念獣
    G.I.編でのみ使用しており、G.I.内にいる人間はすべて能力者のため(一般人からの視認がない)ゴレイヌの念獣が具現化を伴うかどうか不明。
  • アベンガネの念獣
    ゴレイヌと条件は同様。ただ念獣に取りつかれている際に上から着用した服にまで形が反映している(物理的に形をなしている)ので物質としての実態があるのか…?(除念能力自体は特質)
  • ボマーのカウントダウン
    同じくG.I.内使用のため視認による判別不可。ただ具現化とは真逆の範囲性(放出要素)を持っていたことから放出系だったと考えると合点のいく点が多い。
  • ナックルのポットクリン
    一般人に視認された描写がないため具現化を伴うかどうかは不明。
  • ノブのマンション
    「空間を具現化」という説を聴いた事があるが、物質じゃないものを創りだしてもそれは具現化じゃない。そもそも遠隔使用できる能力であることから放出の可能性のほうが高い。
  • ピトーの能力
    ピトーの他人操作用の人形はどうか。先導していた兵士を操っていたが人民がそれに気付くことがなかったため具現化ではない。

念獣や能力でうみ出された造形物たちの持つ効果が、放出系や操作系など、具現化系と相性の良くない要素を伴う能力についてもコレで説明がつく点が多いからです。

サイールドを操ったのは守護霊獣(念獣)か?

今回の終盤で、協専ハンターのひとりサイールドが仲間の協専ハンターひとりとカキン警護2名を刺殺(刺しただけで生死不明?)。
ビルに「なぜ」と問われると「ヒマだったから」と。苦笑

守護霊獣たちが登場した描写部分から、しきりに「おヒマ?」と尋ねてくる念獣がいたのですが、こいつに頼まれたということでしょうか。
この念獣がハナからサイールドに問いかけていたかは不明ですが、サイールドはこの問いかけに応答してしまっています。これが能力発動の条件を満たしてしまった、とか?

推測するに、この守護霊獣の能力は問いかけに応答した者を対象に取り憑き、ヒマかどうかを問い掛け続け、ヒマだと答えた時点で強制的に操作される、とかではないでしょうか?
そもそも問いかけに答えない か ヒマか尋ねられてもずっと「ヒマではない」と答え続ければその間は能力が発動せず回避できる。とか。
能力発動までに2段階の前提条件を踏んでいるため、問いかけと頼まれただけで操作されるという効果も、発動リスクと効果のバランスがとれているように思えます。

遠隔操作による意思の上書きではなく、オートによる条件付加での操作なので本人の意識は失わず、強烈な暗示のような状態で操作されてしまうのかな〜?と思いました。

ただ、気になったのはサイールドが仲間に「(念獣が)全部消えたか?」と聴いた際に方に取り付いていたコイツを、仲間のハンターが認識できていない点。単純に見落とした可能性もあるし、「問い掛けへの応答」によって「対象以外に見えなくなる」とかいう段階設定があるのかも?とも思えました。

ビルの言う策とはなにか

協専ハンター・ビルとクラピカは各々の目的の違いから警護方針で対立します。

ビル含む協専ハンターは暗黒大陸へ渡った後の探索が目的であり、王子警護はその過程での渡航手段にすぎません。とはいっても途中の任務を蔑ろにはしない、と言っていますが。
パリストンの送り込んだであろう協専ハンター達の目的についてはコチラの記事に考察をまとめました。

パリストンの強制二択と伏兵についてを考えてみる

いっぽうクラピカは、第4王子・ツェリードニヒとの接触が目的であることを話しています。
正直、ここでビルやオイトにも自身の事情を話しているのが驚きました。緋の眼についてまで話したかどうかはわかりませんが、クラピカが自身の事情を打ち明けるとは考えづらかったですから。
このことから考えるとクラピカが十二支ん入りしたことは、未だ公になっていないのでは?と感じます。オイトはともかく協専のハンターがクラピカのことを十二支んメンバーだと認識していれば、もっと萎縮しそうなもの。ましてや、自身の個人的な事情を警護のうえで遂行しようとしていることを知ったのなら、もっと咎められそうなものだからです。

新大陸(仮)への上陸から先は、協専員含むビヨンド側の人間にとっては自分たちの「本来の目的」のスタートになるわけで、そこから先は知りません関係ありません、ではオイトにとっては問題。クラピカはそこを指摘し王位継承戦そのものからの離脱策を考えているようですが、ビルは既にその方法を3つ用意しているといいます。

この策、おそらくはビヨンドもしくはパリストンに何らかの形で助力をこう方法ではないかと考えます。
彼らが単独で何かの能力をもっていて、それが継承戦離脱に使える、ということも考えられます。が、協専およびパリストンが事前に王位継承戦のことをしらなかった以上、パリストンの指示で潜入しているビル達が独断でワブル離脱に助力するとは考えづらいです。

ビルの言う「我々」は警護内の協専員3人のことではないでしょう、十中八九ビヨンドチームもしくはパリストン一派をさしている、と考えられるのではないでしょうか。あくまで、バックの人間(ビヨンドやパリストン)に頼れるという可能性から導き出した策だと考えます。

ワブル離脱への助力、という既成事実がなんらかの形でビヨンドの捕縛状態離脱に役立てられるなら、これを利用する意味も生まれます。
ビヨンド本人にこのお伺いを立てるすべはないでしょうし、これまでパリスの行ってきた根回しも全部パリスの独断で行われてきたような描かれ方をされていますから、ビルがパリスにワブル離脱への助力を報告し、パリスがこれをビヨンドの解放に利用するのではないか?と邪推してみました。

みたび、休載へ…

そして今週掲載分の最終ページに衝撃の記載がありました。

また休載…

二度ならず三度までも…とがしぃぃぃぃっ!!
否、咎死!

連載再開から11話しかもちませんでした…嗚呼なぜ…。ようやく面白くなってきたところだったのに、これでまた数年お預け食らうんでしょうかトホホ…。

あとがき

守護霊獣の登場、寄生型の念能力という新しい設定、とようやくお話が加速しだした矢先の再休載宣言…。
残念でなりません。いやむしろ富樫先生にしてはよくがんばったほう…と言うべきでしょうか。今回の休載が行ったどれ位続くのか、期間が明示されていませんから、もうイヤな予感しかしません。

ここんとこ毎週のっけてた本誌レビュー記事も書けなくなっちゃうなあ…(´・ω・`)

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