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ハンターハンター33巻が発売されたので感想・ネタバレを含む雑記してみる。

ハンターハンター 33巻

昨日いよいよ [hxh33_2] が発売になりました。今年に入り連載再開した本作、単行本としてはじつに3年5ヶ月ぶりの新刊です。うひょー。

このブログでは毎週、本誌連載のレビュー記事も投稿してしますがせっかくなので[hxh33]収録部を読み返しおさらいしてみました。
また、少しですが挿絵も追加されていたためそこからの考察もちょっくら交えてみようと思います。

ハンターハンター33巻 “厄災”

発売になった[hxh33]は暗黒大陸編・導入部 No.341 “厄災” から連載再開後の第1話目 No.350 “王子” までが収録されています。いまげんざい連載中のヒソカvsクロロ戦は未収録。次刊もちこしです。
暗黒大陸についての説明、ビヨンドの捕獲、クラピカとレオリオの十二支ん入り、ジンがビヨンド組参加、十二支んの中の裏切り者、カキンの王位継承戦、と伏線もりだくさんです。未刊のまま3年以上放置されていた部分なので、そんな話だったっけ?って状態の人、いっぱいいるんじゃないでしょうか。

▼ちなみに過去記事で暗黒大陸編についての記事も書いているので、呼んでいない方はぜひ。

最新350話に向けてHUNTERXHUNTERをおさらいしてみた【341〜349話】

33巻収録部での再考察①:アイについて

冒頭話 “厄災” では主要キャラを除いて厄災についての説明が様々なされています。この「厄災」ですが、すでにネットなどでも厄災についての伏線がいくつか噂されています。また、[hxh33]挿絵に各厄災の危険度を示した比較表があるのでこれも併せて検証してみましょう。

ガス生命体・アイ

五大厄災のひとつ「欲望の共依存 ガス生命体 アイ」と紹介されている生物。会長選挙編で登場したアルカの別人格(?)・ナニカの正体がこの「アイ」ではないか?という噂です。

黒く落ち込んだ目。特徴的な鳴き声とその名前、これらの特徴は確かにナニカと共通しているようにみえます。
またアイを説明する二つ名として「欲望の共依存」という表現があります。

少しこじつけ臭いですが、「欲望」はナニカの「お願い」によって叶えられる人間の欲望、ひきかえに「おねだり」を要求するという、アイと人間の「共依存」関係がなりたっているように思えます。ので、この二つ名の説明がナニカがアイと関係があることを示唆しているように思えます。

そして今回、[hxh33]の挿絵で決定的ともいえる描写が…厄災説明話(341話)の直後に差し込まれた挿絵。
これだけで断定はできませんが、アイが暗黒大陸からやってきたという説を強力に裏付ける描写ではないでしょうか?

ゾルディックの人間はナニカを「どこかからきた」と表現しており、暗黒大陸から持ち帰られた「アイ」が、アルカ誕生の際になんらかの理由・方法でアルカの体に転生(もしくは入り込んで?)することで多重人格のように体に共存することになったのかもしれません。

危険生物 評価ランク

凶暴性

[hxh33]の挿絵で掲載された、暗黒大陸の生物の危険度ランク表によれば、アイの凶暴性はA-2。「その生物の生態や行為が大多数の人間の命を危険にさらす」と表現されています。これはまさに「おねだり」の代償ととれますね。

数、繁殖力

数と繁殖力は「?」表記で不明。自発的に増えることができるのか否かでその危険性や対策はだいぶ変ってきそうです。

破壊力

破壊力はA〜B。回避条件は確定している(回避が困難なケースもある)が失敗すると非常に高い確率での死、生涯残る後遺症を伴う。これはナニカの「お願い」からもわかりますが、望んだことをそのままかなえられるだけのパワーがあり、更に「おねだり」失敗時に大量の人間を縄状にねじり殺す結果からみても、抗う術がない程の破壊力といえるでしょう。

総合

A。早急に殲滅させる必要があるが方法が確定していない。この表現からするとナニカ以外にも現存するアイが人間世界内にいるのでしょうか?

33巻収録部での再考察②:その他の厄災について

その他の厄災のうち、特務課の地下施設に保管されている描写が確認できるものをおさらいしてみましょう。

パプ

「快楽と命の等価交換」人飼いの獣。
ベゼロケ連合国が1000人規模の調査団を送り、7名の帰還者が持ち帰ってしまった厄災。
メビウス湖の北東部沿岸の山脈一体を縄張りにしている。メビウス湖沿岸ということは人間世界から見て比較的浅い地域に生息しているということでしょうか。
※メビウス湖についてはこちらの記事を参照してみてください

二つ名「快楽と命の等価交換」から推測するに、快楽をあたえて人間から養分を吸い取っちゃう、とかそんな感じでしょうか?「人飼い」って表現から人間を操る?その結果生気を吸われる、とか?

危険生物 評価ランク

凶暴性

アイと同じくA-2。積極的に人を襲うというより縄張りに入った人間を餌としている、ということでしょうか。

数、繁殖力

数と繁殖力は「?」表記で不明。描写から確認できるのは人間の死体部分のみ。姿形が不明です。

破壊力

B-1。回避条件は確定されているようです。が、前項のように本体が確認されていないのに回避方法だけはわかっているのでしょうか…?

総合

A。せん滅方法不明、本体が未確認ならば方法不明というのも納得ですが…。

ゾバエ病(患者)

「希望を騙る底なしの絶望」不死の病。
クカンユ王国がビヨンド=ネテロを同行させて渡航した際に持ち帰ってしまった厄災。
「メタリオン」という錬金植物を持ち帰る過程で、予定していたルートをはずれたことで同行メンバーが感染。ネテロ、感染した者を含めて6名のみ帰還、結局植物は枯れてしまった。

施設に保管されているゾバエ病患者、おそらく彼がネテロと同行し帰還した「感染者」であろう。自給自足で50年間生きているとされている、描写から推測するにおそらく自身の血を吸って養分とし生きながらえているのでしょう。

危険生物 評価ランク

凶暴性

ゾバエの凶暴性はC-1(≒A-2)。Cが人間単体の危険度とされているのでさほど凶暴性は高くないのでしょうか。ただこれもニアリーイコールでA-2とほぼ同等と表現されているのが。作者がどういう意図でニアリーイコールを使っているのかが気になります。。。

数は最低ランクのE。「単体」と表現されていることから「帰還した感染者」1個体のみを指していると思われます。

繁殖力

B-2。条件がそろうとA並みに増殖する(爆発的に増える)。「病気」と表現されていることから個体から個体へ感染する可能性が高いのかもしれません。条件がそろうと、と表現されていることから感染に至るための条件があるのかもしれませんね。

破壊力

B-2。障害にわたって完治困難なダメージを受ける、つまり治らない(治療法が見つかっていない)ということでしょうか、しかも不死。永遠に続く苦しみといったところでしょうか…。

総合

ハイコスト、ハイリスクではあるがせん滅する方法は確定している模様。「せん滅方法がある」ということは「不死」はあくまで自然死しない、ということで有効な手段で殺せば死ぬということなのでしょう。
感染者をせん滅せずに施設で保管しているのは研究のためか?

ブリオン

「謎の古代遺跡を守る正体不明の球体」植物兵器。
サヘルタ合衆国の特殊部隊が無人の古代都市に踏み入り、2名の帰還者が持ち帰ってしまった厄災。

 

球体が首の部分に乗っかっている描写があるが、「正体不明の球体」ということからこれがブリオンでしょう。ブリオンが首に取って代わり、はずれた首なし遺体はブリオンの被害者でしょうか。
また、死体の手の形状は植物に侵されているようにも見えます、「植物兵器」という表現からこれもブリオンの被害者かもしれません。
球体部分が「ブリオン」と称するならば、パプと同じく本体は持ち帰っておらず被害者の遺体だけが保管されているのでしょう。

危険生物 評価ランク

凶暴性

凶暴性はB(≒A-1)。条件次第で積極的に襲ってくる可能性がある。「古代遺跡を守る」という目的格が表現されていることから遺跡に踏み入ったり何かを持ち去ろうとすると襲ってくる防衛機能的なモノなのかもしれません。

数はC。10〜数10体ということから少なく感じますね、おそらく守っている古代遺跡にのみ生息しているためでしょう。

繁殖力

B-2。条件がそろうとA並みに増殖する(爆発的に増える)。過去の渡航で確認した段階では数10体であったが、侵入者の数や必要に応じて自発的に増殖できるのかもしれませんね、植物ですし。

破壊力

A-1。非常に高い確率で死にいたり回避が困難。

総合

ハイコスト、ハイリスクではあるがせん滅する方法は確定している模様。せん滅方法が確定されているということは少なくとも1体は倒した記録があるのでしょう。

ヘルベル

「殺意を伝染させる魔物」双尾の蛇。
メビウス湖南東方面の沼地に自生し、1000名超えのオチマ連邦・渡航隊が99%殺され帰還者が11名。
5大厄災の中でもっとも描写が少ない厄災です。蛇そのものもヘルベルの被害者と断定できる遺体も確認できません。

「殺意を伝染させる」という表現から人間の殺意を煽り殺し合いをさせるとか…?だとすれば隊は自滅に追い込まれ、ヘルベル自らに殺されたのではないのかもしれません。

危険生物 評価ランク

凶暴性

凶暴性はA-1。積極的に襲ってくる。

数、繁殖力

数と繁殖力は「?」表記で不明。

破壊力

A-2。完治困難なダメージと生涯に渡る後遺症。生き残ったとしても「煽られた殺意」は後遺症として以後も残るのかもしれません。

総合

A。せん滅方法不明。

 

厄災は「持ち帰った」「持ち帰らせた」という表現がされていますが、実際にはそれぞれの本体を持ち帰ったというよりその被害者の遺体を持ち帰っただけ、というケースが多いように思います。
ボクは、ゾバエ病(感染個体1名)以外は厄災本体を持ち帰ってはいないと考えます。

その根拠はジンのセリフ「アイとパプの犠牲者はこちらの世界でも見つかっている」。つまりヘルベルとブリオンによる被害者遺体は暗黒大陸で死んだものを持ち帰ってきた、ことを逆説的に示しているととれます。ひいては持ち帰れたのは遺体のみでヘルベルとブリオン本体は持ち帰ってはいない、のでは。

またこのセリフの言い回しからアイとパプの本体がこちらの世界にも来ているのではという示唆表現にとれませんか?ジンやV5もアイとパプの本体がこちらの世界に入り込んでいるのかもしれない、と考えてはいても本体を確保できてはいないように思えるのです。
アイによる遺体はナニカの仕業である可能性もありますが、どちらにせよナニカはゾルディック家以外には認知されていないためアイ本体を持ち帰った渡航隊はいない、と考えます。
パプについては確定的な表現が見つけられませんでした。強いて言うなら「アイとパプの犠牲者は〜」とジンが文節をまとめていることから、パプも同じく未確保状態であるように感じる、というぐらいでしょうか。。。

33巻収録部での再考察③:門番 と 案内人

暗黒大陸とは「人間世界」を取り囲む「メビウス湖」の更に外側の大陸部を指しますが、メビウス湖内から暗黒大陸側へ出入りするためには「門番」が守る入り口を通る必要があるようです。
門番の召喚する亜人種「案内人」にを同行させることが、V5による不可侵条約締結後のルールだからです。

記録が残っているだけでも149回の渡航が行われており、5大厄災を持ち帰ったそれぞれの渡航は、案内人付きで行われ、厄災を持ち帰りはしましたがこの5回で28名が帰還しました。(ゾバエ病感染者は除く)
不可侵条約締結前に行われたものを含め、残りの145回は帰還者0名ということになります。
(前会長がリンネ=オードブルらと渡航した際はお忍びであり、この記録回数には含まれていないようです)


また、暗黒大陸関連の地名や呼称がややこしいので下記にまとめてみました。

限界海峡線までが人間が自力で行き来できるエリア、それより外側(海と暗黒大陸も含む)すべてを「新世界」と称しています。
カキンが移民を送り込む、と唱っているのは限界海峡線付近の無人島(あくまで人間世界内の島)であり、これを「新大陸(仮)」としここに移民を降ろすことでカキンの体裁を保つことをビヨンドは考えています。

さらに新大陸(仮)にたどりつく手前で、サイユウを捕獲することをクラピカやミザイは計画しています。(上記地図上では真北に新大陸を配置していますが、実際の方角は未だ未確定です)

 

ちなみに現在までに掲載されている情報では門番の守る入り口がメビウス沿岸のどの地域にあるのかは確定していません。5回の渡航はすべて案内人を通しつつも方角はバラけていることから、入り口はひとつではなく複数点在している可能性もあります。
この門番と案内人という存在は少なからず知識や文明を持っている予感がするので、敵対するのか翻弄されるのか、注目ポイントのひとつですね。

33巻収録部での再考察④:クラピカ周りのあれこれ

十二支んにクラピカとレオリオが加入し、暗黒大陸をめざすことになりました。
その経過については本編を読めばわかるので改めて書きません。

クラピカの現在

ミザイが十二支ん入りを打診しにクラピカの元を訪れた際、クラピカはノストラード組の若頭になっています。美形ヤクザ…ッ!!
ヨークシン以降着実に組内での実績を積み地位を得たのでしょう。

後に登場するバショウ、センリツも変わらずノストラード組で働いているようですし、ミザイと話している組の人間…これヨークシンで一緒にネオンを護衛していたリンセンでしょうか…?

ヨークシン編で生き残った護衛達はクラピカの部下として働いているのでしょうか。

ネオンのその後とスキルハンター

もう1点。
クロロによって奪われたネオンのラブリーゴーストライターですが、ボクの考えではクロロ除念の時点でネオンに戻ってきていると考えています。

G.I.編においてクロロ除念前の描写ではネオンの能力は使えず、占いによって生計を立てていたノストラードがパニックを起こしている描写があります。これがクラピカが若頭になっている現時点では組が貧窮しているような様子がないため金銭的に立てなおした可能性が高いのも、その要因ではないかと考えました。

もちろん占い以外のことで生計を立て直した可能性はありますし、リンセンも「用心棒と賭博が100%収入源」と言っています。ただ、これについては組外部の、しかも犯罪ハンターのミザイに対してマフィア組員が言っているセリフです。建前ととらえるのが懸命かと感じました。(だいたい特質能力保有者がいる事自体も外にもらすべきではないでしょうし)

盗まれた能力が戻ったと考える根拠

除念後、アベンガネには念獣がとりついたであろうことが予測できますが、クラピカが除念を察知した後も除念師に解除リスクを追わせ続けるメリットはあまり考えられません。除念を察知した時点で能力(ジャッジメントチェーン)解除したであろうと、考えます。
だとすれば、クロロのスキルハンターで盗まれていた能力達はどうなったのか…?

現在本誌で連載中の、[hxh33]収録部分以降のヒソカvsクロロ戦においてシャルとコルの能力を盗んでいますが、これは最終的にシャルとコルに返すと思うんですよね。今後一生使わせないというカセと引き換えに団員の能力を盗むとは考えにくいです。あとで返すという手段がないなら、ヒソカと闘うための能力を探すうえでもっと別の戦法・能力を模索したと思うんです。
だから能力を戻す方法はある、と考えます。クロロが自発的に解除できるのか、もしくは除念された際にリセットされたか。
ボクはおそらく後者だと考えています。

アベンガネによる「クラピカの念」の除念は、おそらくクロロにとっても人生初の除念だったと考えます。
スキルハンターの効果は対象の能力を盗んだ上で使用できる、のであってコピー(複製)できるわけではないですよね。いわば強制レンタルのような状態だと思います。
除念によって念がもどった時点では「盗んだ能力を維持し続ける」という機能も解除されたのではと考えました。複製であれば手元に残りつづけて不思議はないですが、レンタル状態の能力は元の能力者に戻ったと考えれないでしょうか?

だとすれば、クロロにとっても初めての事態によって得た予想外の副産物
それまでは「団員の能力を盗む」なんて描写がなかったですが、「除念でリセットできる」という新たな機能を得たことでシャル&コルの能力を躊躇なく借りることができたのかもしれません。(あとで返せることを知っているから)
アベンガネはクロロ除念後、旅団と協力関係にあると思いますし(クラピカ対策が必要な旅団にとっては除念能力は欲しいし、かといって旅団に加入させたり盗んだら意味がない)

話が戻りますが、この仮説を正しいとするならネオンの能力は元にもどっており、占いでノストラード組が生計を立て直したという説が互いに証明される、と思えるんです。

クラピカの能力

話は変って、クラピカの能力のひとつ・ダウジングチェーン(薬指の鎖)の詳細について語られています。

また王子護衛に申し込む際に、「王子を出来るだけ近くで見る」「接触できるぐらいの距離」にこだわりそれが能力の種類と制度に関わると語っています。
放出を苦手とする、具現化系であるクラピカができるだけ近い距離(射程内)に近づきたいのは至極当然のように思えますね。

「近くで見る」というのはダウジングチェーンの制度に関わることでしょう。緋の眼の在り処を問いただす上で言葉の真偽を確かめるためには必須です。
「接触できるぐらいの距離」はなんのためだろう…。チェーンジェイルは旅団専用、ホーリーチェーンは自分用、ではジャッジメントチェーンのためでしょうか?
確かに刃を指すのは近くである必要がありそうですが、そもそも刃を刺した後、手元を離れた刃が効力を放ち続けるのって放出要素の苦手なクラピカには不得手なはずですよね…。エンペラータイムで底上げしても、それは緋の眼の時のみですし。
今更ふかまる謎…。

もしくは未だ登場していない「人差し指の能力」を示唆しているのでしょうか…!?

あとがき

あらためて読み返してもやっぱり面白い。やっぱり富樫。

暗黒大陸云々とクラピカの伏線も気になりますが、やっぱりいまはヒソカvsクロロ戦がきになるところ。
年内に34巻発売に至るでしょうか…?

がんばれ富樫!負けるな富樫!