幻影旅団の団員・ フェイタン について考察してみます。旅団のなかでもイチニを争う、厨二キャラ もといニヒルな彼です。
まずは基本的なスペックをおさらいします。
フェイタン
- 名前:フェイタン(英表記:HEYTUN)
※ファミリーネームなし? - 愛称:フェイ 等
- 誕生日:不明
- 血液型:不明
- 身長:155cm
- 体重:45kg
- 出身地:不明
- 念の系統:変化系
- 旅団員ナンバー:不明
※集英社発行「HUNTER×HUNTERハンター協会公式発行ハンターズ・ガイド」ほか より参照
フェイタンの原作初登場回は[hxh8]のNo.071「オークション開催!!」冒頭部です。ネオンを護送する車の脇をマチ、ノブナガ、フランクリンと徒歩でヨークシンに向かっているシーンです。
この頃は後の作画よりもさらに糸目がちで、言葉もカタコトで中華系の人種を思わせる描かれ方をしています。名前の「フェイタン」という響きもどことなく中華系のそれを彷彿とさせる点です。
フェイタン の出生について
ちなみに出生不明である事が原作およびハンターズガイドに記載されていますが、そのためか作中に彼のファミリーネームは登場しません。(ファミリーネームとはゴン=フリークス、キルア=ゾルディックなどの所謂「名字」にあたるモノ)
単純に名乗っていない、またはストーリーの進行上必要がない等の理由がありファミリーネームが登場していないキャラクターもいるのでしょうが、彼の場合はそもそも「(自分のファミリーネームを)知らない」が、正しいような気がします。
また、[hxh13]・No.119「9月4日⑱」でのパクノダのセリフから、旅団結成時のメンバーであることが語られています。このことから少なくとも結成時には既に流星街にいたことになります。
▲[hxh12]で描かれている、結成当初(であろう)の描写では、団員達がすでに青年以上の姿をしています。出生後ある程度成長してから流星街へ渡ってきたという可能性も考えましたが、[hxh11]・No.102「9月4日①」で次のように記されています。
流星街 ここには何を捨てても許される
ゴミも 武器も 死体も 赤ん坊も この世の何を捨てても此処の住人はその全てを受け入れる
一度社会に存在したことを全ての情報から消し去るのは今はまずムリ
なら結論は1つ
生まれた時から社会に存在を認められてなければいい
作中にこのような一節があることからフェイタンが捨て子である可能性を連想しました。生まれてすぐに流星街へ捨てられた、ということです。
ヨークシン襲撃後、コルトピの能力で作られた旅団員6名の“死体のフェイク”は国際人民データ機構にも登録が存在しません。このことからフェイタンのほかに少なくともクロロ、シャルナーク、マチ、シズク、フランクリンも流星街出身が確定といえるでしょう。(ちなみにフェイタン、クロロ、シャルナーク、マチ、シズク、フランクリンの6名以外の死体が見つかった、という表現は原作中には登場しません)
逆にフィンクス、ノブナガ、パクノダ(あとウヴォーも)は結成時からのメンバーではありますが、流星街出身(社会的証明が存在していない、という意味)である確証が作中に登場しておらず、前述した「ある程度成長してから流星街へ渡ってきた」可能性が捨て切れません。
その根拠は
- 上記6名以外のの出生が明示されていない
- 上記6名以外の死体は国際人民データ機構のデータと照合されていない
「旅団の出身地・流星街」と「旅団員の出身地」は必ずしもイコールではなく、それは結成時のメンバーに限ったとしても、同様です。
個人的には結成時メンバーは全員、流星街出身だと思いたいのですが「作中に明示された表現がない」という意味で書いてます
言語について
前述のとおり、フェイタンはカタコトっぽい喋り方が特徴的です。語尾に「〜ね」「〜あるね」「〜だたよ」と中華系の外国人を思わせるような描き方をさせています。
実際、キメラアント編のザザン戦では作中の標準言語とは別らしい漢字っぽい言語で喋っています。(実際に存在する漢字ではなく、これもハンター文字と同じくオリジナルの造語だと思われます)
参考:ハンター文字解読表(~noihjp’s Animation Site~)
作中の世界地図の中には日本を彷彿とさせる「JAPON」という国がハンゾーの出身国として登場しています。だとするなら、このオリジナル言語を使用する中華系の国が存在していても不自然ではありません。
流星街の広さが約6,000平方kmとされていることから、この領域内に標準語圏以外の中華系コミュニティーがあり、フェイタンはそこで育ち特有の言語・文化を覚えたのでは、と考えました。(日本で言うなら本州最南端・山口県が6,112.95平方kmで近い大きさです)
性格について
フェイタンの性格について、ハンターズガイドにはこのように記載されています。
冷酷なアサシン!
性格は極めて冷酷で、血も涙もない。
まさに世間が抱く、幻影旅団のイメージどおりの男だ。
ゴンとキルアが旅団に捉えられた際に、ノブナガの見せた涙から「仲間のために泣けるんだね、血も涙もない連中だと思ってた」と意外そうな表現をしています。が、その直後ゴンを後ろ手に抑えて、半笑いで拷問をしかけようとするフェイタン。
これがまさに幻影旅団のイメージどおりなのでしょう。
好戦的、相手をいたぶるのが好き、という狂気性はヒソカに通ずるものがありますが、彼のソレとは若干ベクトルが違うでしょうか…。
いっぽうで、初登場シーンではゲーム(グリードアイランド)に興味を示し、実際に進んでグリードアイランドをプレイ(カードは強奪していましたが)、ザザン戦直後にはフィンクスをおちょくり逃げまわる、といった残虐性とは真逆の若干、子供じみた印象をうけるシーンも点在します。
これがいわゆるツンデレというやつか…
念能力について
フェイタンの念能力の系統については原作中に明示されているものはありませんが、ハンターズガイドには「変化系」能力者であることが記載されています。
ヒソカの能力別性格診断でいうなら、変化系は「気まぐれで嘘つき」…しっくりきます。
そんなフェイタンの戦闘シーンはヨークシン編とキメラアント編で描かれています。ヨークシン編では、手刀でマフィアの首を狩るシーンがあり、ハンターズガイドではこれについて言及しています。
鋭い手刀で敵の首をはねることから、変化形と相性の良い強化系の技も習得しているようだ。
強化よりの変化系ということでしょうか?しかし、ザザン戦で見せたフェイタンの能力・許されざる者(ペインパッカー)はどちらかといえば強化系要素は高くないように思われます。
許されざる者(ペインパッカー)
能力名「許されざる者」の由来は、おそらく92年製作のクリント・イーストウッド監督・主演のアメリカ映画「許されざる者」から。
ガンマンを主役にした西部劇ですが、仲間を殺され復讐に燃える主人公、しかし本人もガンマンですから誰かを殺しているわけで、何が「悪」であり誰が「許されざる者」なのか、というニュアンスがテーマの映画です。フェイタンにとっての「許されざる者」は間違いなく「敵」のことでしょう。
※1 2003年と2013年に同名の邦画が制作されていますが、前者はこの作品に関係性はなく、後者は92年製作版のリメイクです
※2 さらに1960年にオードリー・ヘプバーン出演の同名作がある模様。こちらも西部劇ですが内容は別物です
能力の内容を直接的に示唆している二つ名「ペインパッカー」ですが、その名の通りペイン(痛み/英:pain)をパッカー(梱包する者/英:pucker)する、つまり「痛みをまとめる」を表現しています。
「もう燃料切れ」「もう少しワタシにダメージ与えてればもと楽に死ねたよ」というセリフから、相手からのダメージを蓄積し「痛みをまとめて」反撃する準カウンター型の能力だと思われます。
ザザン戦では「灼熱に変えて」「太陽に灼かれて(ライジングサン)」という表現から蓄積したダメージを熱に変えて反撃したようですが、フィンクスの「おそらく今回使うヤツに巻き込まれたら…」というセリフ、そしてそこからカルトが察したように、熱の他にも反撃のバリエーションがあるのでしょう。
作中の言動から読み取れる念の特徴としては下記があげられます。
- 怒って発動する(発動条件/フィンクスのセリフより)
- バリエーションが複数ある(フィンクスのセリフより)
- 範囲が広い(フィンクスのセリフより)
- ダメージを蓄積し反撃する(能力名、フェイタンのセリフより)
- 変化、具現化の要素あり(描写より推測)
蓄積したダメージ分のオーラを熱の性質へ変化させて放っているものと推測しますが、この性質変化に複数のバリエーションがあるのかもしれません。
(たとえば雷や冷気など)
また、能力発動時に装束を具現化して身にまとっているため少なからず具現化要素を含んでいると思われます。が、「太陽に灼かれて」を見る限りでは、能力の性能そのものには装束はあまり意味をなしていないようにも思えます。
(或いは熱に変換したオーラは自分を含むすべてに作用して燃焼するため、自らの身を守るための防具として具現化している、とも考えられます)
そう考えると、「許されざる者」むしろ具現化よりの変化系であるとも思えます。
ただし、気になるのはフィンクスの言った「範囲が広い」という点。
変化系、具現化系ともに放出系要素を不得意としており、広範囲や遠距離をカバーする能力は不向きなはずです。旅団員ということを考慮に入れ、念能力者としてのポテンシャルが極めて高いと仮定しても腑に落ちません。
落とし所として考えつくケースは
- 強化よりの変化系能力者であり、放出要素も多少得手で範囲性が高い。
具現化された装束はあくまでポーズで、特別な効力を持たず自らの防御性も高めてはいない。 - 具現化よりの変化系能力者であり、放出は苦手。
それなのに範囲性能にメモリーを消費したため、本来の性能より攻撃性が劣る。
(それでも念能力者としてレベルが高いので強いことには変わりない)
と、いうケースを思案した。うーん…自分で考えておいてなんだが、フェイタンがカストロと同じミスを犯すとは考えにくい。そのため筆者はこう結論づけることにした。
フェイタンは強化よりの変化系能力者であり、具現化された装束には特殊な効果はない。もしくは装束に特殊な効果があると過程する場合(or バリエーションによって効果発現の有無がある場合)、誓約や発動条件によって枷を課している、のではないか。
ーと、考えられるのだがいかがだろうか。
団員ナンバー と “蜘蛛”
原作中においてフェイタンの団員ナンバーは不明である。(2015年現在)