最近ボクはあんまりテレビを観ないんですが(BGM的に流しておくことはあります)、CS放送をつけていてたまたま始まるタイミングでチャンネルがあったので映画を1本みたので感想をレビュー。
ペネロペ・クルス主演の ボルベール <帰郷>という映画です。おおまかに、あらすじを追ってレビューしてみます。
ボルベール 〈帰郷〉あらすじ
ペネロペ・クルス演じる主人公・ライムンダは娘のパウラと、無職でパウラの義理の父親・パコと暮らしている。
パコは娘・パウラとは血のつながりがないため、酒を飲んだ勢いでパウラを襲おうとする。とっさに抵抗したパウラはパコを包丁で刺して殺してしまう。
キッチンに倒れたパコの死体を見て驚くライムンダ。
事の経緯を説明するパウラ。真相を知り娘を抱いて涙を流すライムンダ。娘を守るためにパコの遺体を処分することに決める。
床の血を掃除し、ひとまず遺体を冷蔵庫へ押し込める。
そこへ近所のレストランの店長が訪れる。ライムンダが昔働いていたレストランだ。
焦る親子。ライムンダは平静を装って応対する。
店長は「店じまいして引っ越し、店は他の人に譲るのでそれまで店のカギを預かってくれ」というもの。
この設定もだいぶ不自然だけど、まあ外国の話なのでそういうこともあるのかな〜って感じ
応対するライムンダの首元に拭きそびれた血が…!
店長「ケガしたのか?」
ライムンダ「女にはいろいろあるのよ…」(月のモノのこと…?)
なんとか店長をやりすごした。
登場人物が数えるほどの人数だけど、ペネロペだけがずば抜けて美麗なルックス…!それに比べて娘役のパウラや姉のソーレの凡庸なルックスたるや…(写真だとそんなに悪くなくみえるけど)。というか人種すらちがう感じに見えるので血縁関係の設定に無理があるような…。
娘・パウラが足をおおっぴろげにソファーに座りパンツ丸出しになったところをパコが凝視するシーンがあるが、正直このルックスにムラつく心理は理解できないなあ…。
ライムンダは思いつく。
預かったカギで店を開け店に遺体を隠すことを。
遺体を毛布に包み真夜中、親子二人でレストランまで遺体をひきずってゆく。大柄の成人男性、80〜90kgはあるだろうか?女性二人で運ぶには大変そうだ。
店につくと娘に見張りを頼み、店の奥へ。業務用冷凍庫に遺体を押し込みカギをかけた…。
叔母の他界
悪いことは重なるのか、一人暮らししていた叔母が亡くなったとの連絡が姉のソーレから電話が入る。
葬儀には参加できないと伝えるライムンダ(それどころじゃない事態だからだ)。
姉・ソーレは叔母の葬儀に参列し不思議な話を聴く。
叔母が死ぬ間際に、近所に住む女性・アグスティナの家の扉が開き、名前を呼ばれた気がした、と。
虫の知らせか、叔母の霊か。駆けつけると叔母はすでに亡くなっていたらしい。臆病なソーレはその話を聴いてビクついてしまうが、葬儀から帰り車を降りたとき自分を呼ぶ声に気付く。
おそるおそる声のする方へ、車のトランクを開けてみるとそこには、数年前に火事で無くなったはずの母親がいた。
驚くソーレ。幽霊なのかと疑うが、母は実は生きていて隠れて叔母の面倒をみていたのだという。今思えば、目の不自由な叔母がよく一人暮らしできていた、と腑に落ちたソーレ。
周りにはこのことを隠し、妹のライムンダにも隠し、しばらく2人で供に暮らそう、ということに。
死んだと思われていた母親・イレーネは最初、白髪のロングヘアーで登場する。演出なのだろうけどちょっと不気味な印象。
隣人の女性・アグスティナは抗癌治療をしている設定のためかスポーツ刈りのようなベリーショート。なんとなくウォーキング・デッドのキャロルを彷彿とさせた(…単純にベリーショートってだけかも)
レストランを利用して…
一方のライムンダ。
隠した遺体が気になり冷凍庫の様子を見に来た際、偶然店に入ってきた男に目撃されてしまう。男は近所で映画の撮影をしている撮影クルー。撮影が終わるまでしばらくこの店で料理を出してくれないか?とライムンダに打診する。
遺体のことがバレてなくて安心したライムンダ、同時にひらめいた…!
ライムンダはカギを預かっているのをいい事に、店を勝手に開いて料理を出すことに決めた。幸いこの店で働いていたこともあって勝手もわかっているし料理もできる。
急遽ありったけの食材を集めるため知人をあたり、お金を借り、食材を集め始める。キッチンに立って手早い包丁さばき。スパイシーな食材を使った料理を存分に振る舞うライムンダ。
このシーンを観て、そういう作品に慣れている人達は同じ推測をたてたんじゃないかと思う…。
「もしかして…冷凍した遺体を料理として客にふるまい証拠隠滅する気じゃ…?!」悪趣味な展開の映画に慣れると即座にピントきてします。
そう考えると包丁でパプリカを刻むシーンもどこか不気味だ。
イレーネとパウラの出会い
その頃、姉・ソーレとともに暮らし始めた死んだはずの母・イレーネ。
自宅で美容室を営んでいたソーレの助手として働くことに。髪を黒く染め直すと見違えるように健康的なおばあさんに。正体を明かさないために、言葉の通じないロシア人女性と偽り働き始める。
髪を染めたイレーネは最初の印象とガラリと変わって健康的。ぱっと見、フジ◯ヘミングみたいです。
ライムンダとパウラがやってくるも、母の事は打ち明けられず(口止めされてる?)。イレーネはベットの下に潜り込んでやり過ごす。
ところがイレーネが亡くなった叔母の持ち物を、トランクに詰めて持ってきていたのを、ライムンダが偶然見つけてしまう。ライムンダは葬儀に乗じて姉・ソーレが盗んできたのだと勘違いして憤慨。パウラを連れて飛び出していってしまう。
ソーレは妹に勘違いされたわ…と落胆。イレーネも申し訳無さそうな複雑な表情。
依然レストランは繁盛している模様。
姉・ソーレは叔母の持ち物を持ってライムンダの元を訪れる。「盗んだわけじゃない…」とだけ釈明しライムンダも「言い過ぎたわ…」と仲直り。
おいおい、あっさりすぎやしないかい?仲直り…。
客のひとりがギターを奏で、歌のうまいライムンダは客前で歌を披露することに。それを見守るソーレとパウラ。ソーレの車に同乗してきていたイレーネも、車の中からこっそりそれを眺める。
料理の評判は上々、売上を受け取り上機嫌。
そこへ叔母の隣人・アグスティナから電話が入る。話があるから来てくれ、と。明日も料理の準備があるからと断るが、自分は癌だということを打ち明けるアグスティナ。断り切れないライムンダは娘・パウラを姉・ソーレの家に預けて病院へ向うことに。
正直、料理の正体が気になってストーリーどころじゃない…。
死に際でいろいろぶち込んでくるアグスティナ
病院をおとずれたライムンダ。
病床のアグスティナにお願いごとをされる。
アグスティナの母は数年前に失踪。どうやらライムンダの父(イレーネの夫・火事で死亡)と不倫していた過去がある。
アグスティナが察するに、イレーネは火事で死んでおらず、父と一緒に火事で死んでいたのはアグスティナの母親ではないか…?という疑問をもっていた。そしてイレーネはどこかで生きている、生きているなら事の真相を本人の口から聞きたい、みたいなニュアンスの話。
話がめちゃめちゃぶっとんでる!
アグスティナは件の話をテレビ番組に出て話すつもりだという。泣きながら怒り、混乱するライムンダ。
病室を飛び出す。
その頃、姉・ソーレの家に預けられた娘・パウラ。
会うべくしてというシーンか、ここで祖母・イレーネと孫・パウラが出会うことに。
そこへライムンダが迎えに現れる。
ベットの下に隠れるイレーネ。しらんふりをするパウラ。
後日、アグスティナが予告通りテレビ番組に出演する。ライムンダとソーレ、パウラが番組をみまもる。アグスティナは良心の呵責が働いたのか(不倫していたのは自分の母でありライムンダに対して半ば脅すようなセリフを吐いたため)、番組ではなにも語らず番組収録から去る。
それを観て安堵したライムンダ達。なんやかんや会話があってイレーネはベッドの下から出てくる。
死んだはずの母を前にして涙を流し、言葉にならずパウラを連れて飛び出すライムンダ。
イレーネはそれをみて「あの子は私を拒否しなかった」と感じたようだ。
なんで?拒否したっぽくも見えたんだけど…
細かい設定の話がいろいろ続くけど、
要は不倫親父とアグスティナ母がイチャコラしてるのを目の当たりにしたイレーネは、火をつけて二人を火事扱いで殺害。
さらにこの好色親父は幼き日のライムンダも犯していた。それによって身ごもったのが娘・パウラ。(パウラはこの事実を知らされていない)
娘を守れなかった不甲斐なさを恥じているイレーネ、そしてライムンダが夫・パコが死んだ経緯を打ち明け、自分も娘を守るという立場で、なんとな〜く意気投合(?)する。
加速度的にエンディングへ
このあとの結末展開がご都合主義にもとれるスピード感で、なんといったものか…。
まず、結論。
料理にパコは入ってなかった!
まあ、明示的にそんな猟奇要素は示されていなかったんだけど、制作側の意図としては少なからずそういう路線をイメージさせようとしてただろうな…って感じ。
遺体は当初の冷凍庫に入ったままでした。
レストランで設けた金を信用できる友人に払い、死体の隠蔽を図ります。大型バンを借り冷凍庫をのせて夜通し運転。
友人と川岸に穴を掘りそこに冷凍庫ごと埋めてしまいます。
ライムンダ、ソーレ、パウラ、イレーネの4人で、死んだ叔母の家で夕食を囲む和やかなひととき。とても死体を埋めた夕餉ではない…。
なぜ叔母の家にやってきたのか?
それはイレーネの思惑。死期迫るアグスティナの病床をつきっきりで看病しようと思いたったのでした。母を焼き殺したせめてもの償い、と考えているようです。
(アグスティナは死んだ叔母の隣人であったため家が近い)
アグスティナの家の扉をたたき中に入るイレーネ。
イレーネをみて驚く様子もないアグスティナ。アグスティナは予想していたとおりだった(彼女は生きていると思っていた)からでしょうか。彼女をベットに寝かしつけ編み物をはじめるイレーネ。
そこへライムンダもやってきます。「ほんとに看病する気なのか。もっと話したいことがいっぱいある。」と告るもイレーネはアグスティナの最後の時まで看病すると伝え、本編終了。
最後の展開がスピーディーに進みます。死体遺棄から仇の受け入れまで。死期迫り弱っているとはいえイレーネを迎え入れるアグスティナは度量デカすぎでしょう。。
あとがき
[rating]
最初に映画を知ったのは公開当初?ぐらいのテレビCMでした。といっても公開が2007年なのでもう10年近くたっている計算になりますが…!!
ペネロペ主演ということと、アートワークのスペイン映画らしいカラフルな配色、CMの雰囲気もちょっと洒落たヒューマンドラマ仕立てなかんじだったのでそういう映画だと思い込んでいたのですが、完全にドロドロな昼メロ展開でした。。
▼Youtubeにあがってた告知トレーラー(ボクがみたCMはコレじゃないけど)
決して悪くはないですが、良くもないかな〜という作品。
ペネロペの美しさと背景などの発色ぐあいのキレイさは昼メロ具合を中和してくれているかな。これが日本設定だったらまじで見るに耐えない作品だったでしょう。
あと、必要だったかな?っていう伏線が多すぎる気もしました。
猟奇展開を匂わせておいて、実は違った!良かった!ていう大筋の伏線だけでよかった気もします。
あげるとマイナス点が多く出てきてしまいそうですが、べつに「見て時間を無駄にした!」という感じはしません。
むしろ、「時間のある時に観るには良さそう」って感じ。
興味があれば見ても損はないと思います。
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