8月3日にブルーレイとDVDが発売となった古屋兎丸コミック原作の映画「 ライチ☆光クラブ 」を観たので感想レビューを書いてみようと思います。レトロ×残酷描写がセンセーショナルな作品です。
ライチ☆光クラブ とは
古屋兎丸によって2006年に刊行された同名のコミックが有名ですが、元をたどると1985年の東京グランギニョルによる演劇が原作だそう。(ボクが生まれる前の作品だ…!)
コミック化されるにあたって原作とは少し内容が変っており、さらに今回の実写映画化で細かい設定の変更があります。が、コミックと映画の内容は概ね同じです。
過去に何度かリメイクで舞台化もされているようですが(東京グランギニョルのもとのは別物)、ボクは舞台の方は見たことがありません。
あらすじ
工場地帯が広がる「螢光町」を舞台に、廃工場をアジトにした「光クラブ」でおきるお話。
8人のメンバーを従えた「光クラブ」の支配者・ゼラは、大人を醜く忌むべきものと定義し、残酷な処刑行為を繰り返しては自分たちの歪んだ正義を噛み締めていた。
「子供」こそ美しく、穢のない存在と信奉していた彼らは、ロボット「ライチ」を作り上げ「美しい少女」をさらってくるように命令する。
「美しさ」の意味を理解できないライチは「美しいもの」を持ち帰ることに何度も失敗する。
見かねたゼラはメンバーのデンタクに「美しさ」を教えるようにと命じる。デンタクはライチに「美しさ」を教えることに難航するも「私は人間である」という概念を植え付けることで、結果的にこれに成功する。
いっぽうでゼラの残虐で理不尽な行いに疑問をもつメンバー「タミヤ」。
もともと「光クラブ」を結成したメンバーである「タミヤ」「カネダ」「ダフ」は光クラブをぬけようと話をするのだが…。
新たな概念を植え付けられたライチが連れ帰ったのは美しい少女「カノン」だった。
ゼラはカノンを「光クラブ」の新たな光・象徴だと崇め、メンバーの誰も触れる事のないように名をくだす。しかし女子に慣れていない男子中学生のメンバーたち。そのなかで「ダフ」は禁をやぶりカノンに触れて自慰行為におよぶ。
それがゼラにバレてしまい処刑されることに。処刑執行人は「タミヤ」。
タミヤは拒否するも、光クラブを抜けようとしていたことを捕まれ、更にカネダを人質にとられてしまう。タミヤを想うダフは自らタミヤに殺すように諭し、タミヤはダフを殺してしまう。(人質にとられていたカネダも結局ライチに殺される)
一部始終をみていたカノンはライチに「人間を殺してはいけない」と教える。自分が「人間である」とインプットされたライチは、自身の選択で連れてきた「カノン」の助言を受け入れる。
タミヤの背信を快く思わない心酔者・ニコはタミヤの粗探しをしようとタミヤの後をつける。
するとゼラが大切に育てたライチ畑に火の手が上がる。そこにはタミヤの姿が…。タミヤが放火の犯人だと確信するニコは火の中でタミヤともみ合いになる。二人とも重症の火傷を追い、ゼラはタミヤを糾弾、ニコはその過程で力尽きる。
ゼラはライチにタミヤ抹殺を命じるもカノンの言葉を思い出したライチは自身を緊急停止させる。
ライチに余計なことを吹き込んだカノンに激昂し、ゼラは翌日彼女を薔薇のプールに沈めて殺すことにする。
その夜、ライチとカノンはかろうじて息のあるタミヤを逃し、ふたたび心を通わせた。
しかし、ゼラはそれを目撃して激昂しカノンを殺し、ライチのプログラムをリセット。リセットされたライチはゼラの命じるままカノンを薔薇のプールに沈めて殺そうとする。(実際には死んでいない)
気絶したカノンを見て我を取り戻したライチ、カノンを殺してしまったことを嘆くあまり暴走してしまう。
ヤコブ、雷蔵、デンタクを次々と殺し、ゼラに手を出す寸前で燃料切れとなって停止する。
ゼラがカノンに手を出そうとした瞬間、逃げたタミヤが現れゼラを攻撃。追い詰めたかに見えたが、既の所で背後からジャイボが現れタミヤを殺害。
すべての企みはジャイボが裏で行っていたことを白状し、美しい少女・カノンではなく自分を見て欲しいとゼラに懇願する。が、ゼラは拒絶。
その隙に生きていたカノンは一粒だけ持っていたライチの実を「ライチ」に食べさせ、ふたたびライチが起動する。
ジャイボを殺し、ゼラに止めを刺したライチは自壊プログラムによって機能停止する。
(何故か)爆発して崩壊していくアジト、そのなかでライチの巨体はカノンを守るように抱きかかえ、最終的にカノンひとりが生き残ったのであった…。
登場人物(ほぼ)全員死亡?
主要キャラクターは少年9人と少女1人(とマシンのライチ)。
とくに9人の少年は古屋兎丸のコミックではそれぞれ個性的な特徴設定があったので、実写化にあたっての配役はとくに注目されたポイントでもありました。そのキャラクターたちをまとめておきます。
※登場人物(ほぼ)全員死亡、という稀に見るバッドエンドもこの作品のポイントでもあるのですが、各キャラの死亡要因も添えておきましょう。
ゼラ / [actor][name]古川雄輝[nname][sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm3792199/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/08/cast_img2.jpg”][aactor]
光クラブを支配する少年。実質的にリーダー的な存在ではあるのだが、原作でも映画でも「リーダー」は別の人物だということになっている。光クラブでは「ゼラ」と名乗っているが、本名は「常川寛之」であり、クラブのメンバーも学校では「常川」と呼ぶ。
最終的に暴走したライチに殺される。(原作では暴走したライチは燃料切れで停止し、隙をみせたところで生きていたニコによって腹を貫かれる)
ニコ / [actor][name]池田純矢[nname][sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm3065236/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/08/cast_img5.jpg”][aactor]
光クラブのメンバーで「1」の称号をもつ。本名は「石川成敏」。
ゼラに心酔おりゼラのいうことは絶対という信条を持つ。映画版ではゼラの名に従い自ら右目をえぐり取った。原作と映画とでは亡くなるタイミングが異なる。
ライチ畑を焼いた炎で全身火傷となり後に死亡。(原作では火傷では死なずに、自分を利用していたゼラと心中する)
雷蔵 / [actor][name]松田凌[nname][sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm6030368/?ref_=ttfc_fc_cl_t6″][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/08/cast_img6.jpg”][aactor]
光クラブのメンバーで「2」の称号をもつ。本名は「市橋雷蔵」。
原作での描写は美少年的で言動も中性的…というかオカマちゃん。ストーリー上ではさほど重要なポジションにいないのだけどキャラクターの濃さ故、すごく印象にのこるキャラ。死に際で「顔はやめて!」というセリフを残しますが、原作と映画版で死に方が若干異なる。
暴走したライチによって顔を潰されて死亡。(原作では顔の下半分をひきちぎられる)
カネダ / [actor][name]藤原季節[nname][sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm6691848/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/08/cast_img9.jpg”][aactor]
光クラブのメンバーで「3」の称号をもつ。本名は「金田りく」。
子供時代に「タミヤ」「ダフ」と3人で「ひかりクラブ」を結成した初期メンバーでもある。根暗気味で臆病。原作と映画版では死に至る経緯が若干違う(原作では「タミヤ」「ダフ」が去った後の背信行為で、映画版では「タミヤ」による「ダフ」の処刑強制のための人質として)
原作とほぼ同じく、ライチによって体を真ん中から折られて死亡。
デンタク / [actor][name]戸塚純貴[nname][sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm4579365/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/08/cast_img7.jpg”][aactor]
光クラブのメンバーで「4」の称号をもつ。本名は「須田卓三」。
インテリ少年。ライチの製作に大いに貢献し、機械であるライチに「私は人間だ」という概念を植えつけた人物。この行為こそがゼラ曰く「真の裏切り者」である、と。
原作とほぼ同じく、暴走したライチによって上半身と下半身を分断され死亡。
ダフ / [actor][name]柾木玲弥[nname][sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm5192948/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/08/cast_img8.jpg”][aactor]
光クラブのメンバーで「5」の称号をもつ。本名は「田伏克也」。
子供時代に「タミヤ」「カネダ」と3人で「ひかりクラブ」を結成した初期メンバーでもある。ゼラの禁を破り、カノンに触れ自慰行為に及んだことで処刑される。比較的良心が残っているタイプの登場人物で「タミヤ」を思い自ら死(処刑)を懇願する。
「タミヤ」によって処刑され死亡。(原作ではパチンコ、映画版では杭打ち機で額を撃たれる。また原作では厳密には植物人間となり「死亡」とはされていない)
タミヤ / [actor][name]野村周平[nname][sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm3825121/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/08/cast_img1.jpg”][aactor]
光クラブのメンバーで「6」の称号をもつ。本名は「田宮博」。
子供時代に「ダフ」「カネダ」と3人で「ひかりクラブ」を結成した初期メンバーでもあり、ひかりクラブのリーダー。しかしリーダーとは名ばかりでゼラによる支配下に甘んじている。予てからゼラの行動を疑問視しており、反旗を翻そうとするも失敗。「ダフ」と「カネダ」の死亡後、「ニコ」とともにライチ畑の火災に巻き込まれ前身火傷を負う。
ちなみに原作では「タミヤ」の妹「タマコ」が登場し人質にされた挙句、陵辱される。映画版ではこの部分がカットされ、人質のくだりが「カネダ」と差し替えられている。
原作とほぼ同じく、ライチの暴走後ひとりになったゼラを追い詰めるが背後から「ジャイボ」に襲われ死亡。
ヤコブ / [actor][name]岡山天音[nname][sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm5140520/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/08/cast_img10.jpg”][aactor]
光クラブのメンバーで「7」の称号をもつ。本名は「山田こぶ平」。
他のメンバーほど緊張感を感じさせないキャラクターでちょっと頭の足りていない描写がある。映画版ではライチ製造の過程でデンタクに作業のやり直しを命令されるシーンも。
美少年が多く在籍するクラブの中でも、明示的に「ブサイク」と表現されている人物でもある。
原作とほぼ同じく、暴走したライチによって壁に叩きつけられて死亡。
ジャイボ / [actor][name]間宮祥太朗[nname][sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm3860014/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/08/cast_img4.jpg”][aactor]
光クラブのメンバーで「8」の称号をもつ。本名は「雨谷典瑞」。
美少年という設定でゼラを愛している(男色)。原作、映画版ともにゼラとの性的描写がある。またあらゆる「裏切り」行為を影でおこなっていた真犯人であり、その理由はゼラを独り占めしたかったため。そのためカノンに嫉妬心をいだいている。
原作と同じく死に際でゼラへの愛を叫ぶも、直後ライチによってダブルスレッジハンマーを喰らいミンチになって死亡。
カノン / [actor][name]中条あやみ[nname][sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm5170969/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/08/cast_img3.jpg”][aactor]
ライチによってさらわれてきた少女。
光クラブに監禁されている間、ライチと心をかよわせることとなり「人を殺してはダメ」と教える。デンタクによって再洗脳されたライチによって薔薇のプールに沈められて気絶。ライチはカノンを殺してしまったとおもい嘆き暴走する。
最終的に生き残る唯一のキャラクター。
ライチ / 杉田智和(声の出演)
光クラブによって作られたロボット。「美しい少女をつれてこい」という命を受けカノンをさらってくる。
ゼラの命令するがままメンバーをつぎつぎと処刑するが、植え付けられた「私は人間だ」という概念とカノンの言葉によって一時的に人を殺さなくなる。
が、再インプットされた際に命令されるがままカノンを薔薇のプールに沈めて殺そうとする。我を取り戻したライチはカノンを殺してしまったことを嘆き暴走し残りのメンバーを次々と殺す。
映画版ではゼラにとどめをさし、それと引き換えに製作者を攻撃したことによる自爆プログラムで破壊される。(原作では途中で燃料切れで停止しゼラにとどめを刺すのはニコ)
燃料はライチの実。映画版では右目はえぐりだされた「ニコ」の目が使用されているという設定。
実写化にあたって “配役” はどうったか?
実写化作品が公開されるたびについて回るのが、配役問題だとおもうのですが、個人的にはこの作品の配役は良い線いってたのでは?と思います。(同人とかやるレベルのコアファンからするとどうかわかりませんが…)
ボクは事前に原作を読んでいましたが、各キャラクターとの違和感はほとんど感じませんでした。
正直、かなり女性ファン層を意識した配役だと感じるんですが、ご覧になった女性の方からするとどうでしょうか?
強いて言うなら、ゼラ役の古川雄輝くんは幼顔すぎてゼラの印象とはちょっと違ったかな〜、ってとこ。
あとジャイボ役の間宮祥太朗くんはどちらかというと男らしい顔立ちなので、もっと中性的な俳優さんのほうがあっていた気もしましたが。
ですが、どちらも演技でしっかり補完されていた感はあったので概ね良かったと思います。
個人的にはダフ役の柾木玲弥くんが草食感というか、すごくいい味を出していたと思いました。まあ草食感とは言いつつも、おもいっきりオ◯二ーかましてたんですけどね…笑
そして男性目線で見るなら、やはりカノン役の中条あやみさん!
めちゃめちゃ可愛い!
こんなによく出来た顔もあるんだなあと画面をまじまじと見てしまいます…うん。「キレイ」と「かわいい」を両方兼ね備えているというか。
エロ・グロ・ナンセンス系の作品て、ほっとんど美女がつき物だったりするのですが実写作品でこれをやる場合、やはりオファーが難しいのか中途半端な容姿レベルの方が演じることが多いように感じるんですよね(失礼)。
けど、中条さんはほんと文句なしというか。きっちり美しいので残酷描写のなかにめちゃめちゃ映えるんです。
これぶっちゃけカノン役の女優さんがアレだったら、すっごい叩かれてたと思います。それくらい中条さんの配役はポイント高いです。
テーマ曲『メルヘン☆ジャック』もおすすめ
余談的におすすめしたいのがED曲になっている「メルヘン☆ジャック」。
ヴィジュアル系バンド・ペニシリンのボーカルとして有名なHAKUEIさんが率いている企画物ユニットの『ライチ☆光クラブ』名義でリリースされている楽曲です。
本作の上映以前にも活動されていて楽曲もだしているようなんですが、本作用に書き下ろされたこの曲がめちゃかっこよかったのでオススメ。
※YoutubeにMVとか上がってないかな〜と探したんですが、ありませんでした…。
映画の世界観とあっているか、と問われると正直ビミョーなんですが苦笑
ボクはペニシリンというと「愛にきづいてくだっさいい〜」ぐらいしかちゃんと聴いたことないんですが、この曲かっこいいな〜とおもってHAKUEIさんのソロ・アルバム「Virgin Vibration」買っちゃいました。
あとがき
[rating]
映画としてどう、というよりコミック原作の実写化作品としては良い方なんじゃないかな〜ってことで星4つ。
ストーリーはまあアレなんですが、コミック原作のファンタジーというところですし。
精神性とかエッセンス的な要素よりも、エロ・グロ・ナンセンスな世界観、レトロっぽさみたいなところに対しての評価もだいぶあります。昔から多くのファンのいる作品なので賛否両論は必然だとおもいますが、ボクは好評価したいところですね。
※ただ映像の質感はヒジョーに現代的なので作品そのものにレトロ感を求めてみると的外れ、だとは思います。
残酷描写の加減については、まあこれくらいが妥当だろうといった感じで。
ゴア作品好きの方からすれば物足りないんでしょうが、あるていどのネームバリューで揃えた配役とそれを見越した一般公開作品なので、これぐらいの加減が丁度いいのでは、って感じです。
あんまりやり過ぎるとストーリーとか全部飛んでしまってそこにばかり言及されかねないですし、これより表現が軽いとなおさら原作ファンには反感を買ったでしょうし。
いっても血しぶきと臓物系はけっこう表現されてますしね。(苦手な方は注意です)
https://www.youtube.com/watch?v=0thc43QvYYA
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