【映画レビュー】ミュージアム を観てきた

映画 ミュージアム

原作からの改変はわずか

ボクは鑑賞する前に原作コミックは未読で、鑑賞後にその足で原作購入して読んでみました。

その感覚で評価させてもらうと、原作からの改変はごくわずか。
コミック原作の実写化作品ではベース設定の根幹から改変されてしまうような作品もあるので、そういう作品に比べると原作に忠実に実写化された印象です。原作コミックが全3巻というボリュームなのと、既に完結していることがそれを可能にしたのかもしれませんね。

細かい描写は除いて、映画版で改変されたのは主に下記の3ヶ所。

橘幹絵の存在

映画版オリジナルのキャラクターとして登場する橘幹絵は、原作では堺幹夫という男性の医者として登場している。
「霧島の病気を治療していた担当医であり、沢村に霧島の家を教えた」という設定は同じです。しかし橘は霧島の生き別れの姉弟というオリジナル設定で登場しています。

原作では堺は、沢村との接触後に霧島に殺されてしまいます。
映画版では橘は殺されず、霧島逮捕後に入院している彼の元を訪れ、点滴に薬を混入し霧島を殺害します。

映画 ミュージアム

心因性のアレルギーである霧島の症状を止めるには、精神的に克服するかもしくは…(死ぬしかない)、というニュアンスで彼に死の安寧を与えるというシーンが描かれました。

霧島の顛末

原作では、霧島は逮捕後に入院。昏睡状態が続いたままお話は終幕している。
映画版では橘によって殺害される。

ラストシーン

原作では霧島の逮捕後、沢村は転職。事件から1年たった後も、事件のショックを引きずっており、霧島のせまった「3択のエンディング」が数多の中をフィードバックする、という抽象的な終幕でした。

映画版では逮捕後、霧島は死亡。
事件は無事解決となり、沢村も以前より家庭を顧みるようになったという、一見してハッピーエンドを思わせるラスト。夫婦揃って将太の運動会を訪れるが、将太には霧島のアレルギーと同じような症状が起きている描写が描かれる。

原作では明確に示されなかったものの、霧島のアレルギーも「心因性」のものとされており両親殺害の衝撃がアレルギのー引き金になった、というニュアンスだろう。
霧島による事件に巻き込まれたショックがきっかけで将太も同じような症状を発症してしまったのだろうか…。

事件が終息して尚その悪意が、息子の症状としてつきまとう、というなんともホラーチックな改変。
個人的にはこのラストシーンは、むしろ原作よりも秀逸だな、と感じました。

あとがき

[rating]

実写化による改悪もなく、原作ファンも楽しめるのではないでしょうか。
「橘の設定改変は果たして必要だったのか…?」という一抹のモヤモヤは残るし、若干の中だるみ感は否めないのだけど、程よい刺激とスピード感で飽きさせない展開でした。前述したラストシーンの改変も個人的には高評価。

 

個人的に先週、妻夫木聡出演の映画「怒り」を見たばかりだったのですが、
そちらでの妻夫木聡の素晴らしい演技で涙腺破壊されたところだったので、本作と比べてしまうと見劣りしてしまった感があったためそこが減点ポイント。

【映画レビュー】怒り を観てきた

映画の中できちんとお話が完結されているため、基本的には原作を読まずとも楽しめます。
なんとなくモヤッとした部分を払拭するためボクは原作を後追いで読みましたが、原作を読ませたくなる仕上がりでもあるかもしれません。

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