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【映画レビュー】ミュージアム を観てきた

11月12日に公開された 映画 ミュージアム を観てきたので感想がてらレビューしてみたいと思います。同名の漫画原作の実写化で、小栗旬や妻夫木聡など豪華なキャスト陣で制作された本作。予告トレーラーを見ただけでも期待度たかかったので、楽しみにしてた作品です。

映画 ミュージアム とは

講談社の「週刊ヤングマガジン」で2013年35号から2014年10号まで連載された同名のマンガ「ミュージアム」が原作。雨の日にだけ現れ、残虐な猟奇殺人を続ける「カエル男」と、それを追う警視庁捜査一課の刑事・沢村久志を中心としたサスペンスホラー。

  

過激な描写と緊迫のストーリー展開で人気を博す巴亮介の人気サイコスリラー漫画を、これが初タッグとなる小栗旬主演×大友啓史監督により実写映画化。雨の日だけに起こる猟奇殺人事件を追う刑事の沢村久志。犯行現場に残された謎のメモや、見つけられることを前提としたかのような死体から、カエルのマスクを被った犯人像が浮かび上がる。通称・カエル男と呼ばれるようになった犯人を追い詰めていく沢村だったが、カエル男の仕組んだ残酷な罠にはまり、絶望的な状況に追い込まれてしまう。主人公・沢村役の小栗、沢村の妻を演じる尾野真千子はじめ、野村周平、大森南朋ら豪華キャストが共演。

映画.com より

登場人物

沢村刑事

カエル男による連続殺人事件を追う刑事。
仕事に謀殺されるあまり妻・遙と息子・将太を顧みず、ふたりを手放してしまう寸前。

演じるのは[actor][name]小栗旬[nname][sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm1040419/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/11/ca0-300×261.jpg”][aactor]

霧島早苗(カエル男)

雨の日にだけ現れる連続殺人鬼。
日光アレルギーを患っており、外に出るときはレインコートとカエルのマスクを着用。

演じるのは[actor][name]妻夫木聡[nname][sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm1070494/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/11/ca9-300×261.png”][aactor]

沢村遥

 

沢村の妻、仕事にかまけて家庭を顧みない夫に愛想を尽かし息子と家を出る。
3年前にとある事件の裁判員に選定されていたのだが…。

演じるのは[actor][name]尾野真千子[nname][sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm0648762/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/11/ca1-1-300×261.jpg”][aactor]

西野刑事

 

沢村の後輩刑事。
殺人の現場になかなか慣れないながらも、懸命に沢村を支える。

演じるのは[actor][name]野村周平[nname][sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm3825121/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/11/ca2-300×261.jpg”][aactor]

関端刑事

沢村の先輩刑事。

演じるのは[actor][name]松重豊[nname][sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm0559647/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/11/ca8-300×261.jpg”][aactor]

橘幹絵

映画版オリジナルのキャラクター。霧島の居所を沢村に教える。

演じるのは[actor][name]市川実日子[nname][sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm0406732/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/11/ca5-300×261.jpg”][aactor]

あらすじ

ある雨の日、廃墟で女性の遺体が発見される。
拘束され、腹をすかせた大型犬に襲われ無残な姿で発見された女性の遺体、犬のいの内容物からは「ドッグフードの刑」とかかれたメモ用紙が見つかる。刑事の沢村は残されたメモ書きからこれが私刑による犯行ではないかと推測する。

別の雨の日、第2の事件が起きる。
ひきこもりの男性が体の肉を削ぎ取られて殺されているのが発見される。遺体の近くにはまたしてもメモ書きで「母の痛みを知りましょうの刑」。
現場の痕跡、状況から綿密に用意された処刑スタイルの連続殺人であることを確信する沢村。

警察が2人の被害者の接点を探ると、3年前に起きた猟奇殺人の裁判が浮上する。
ある男が少女をアクリル樹脂に沈め固めて殺した猟奇的な殺人事件。その裁判において容疑者に私刑を求めた裁判員に、被害者の2人も含まれていたのだった。
連続殺人犯はこの事件の容疑者の知り合い?その報復に裁判員たちを殺しているのか?だとしたら、裁判員達が危ない…?

沢村に戦慄が走る。彼の妻・遙もまたその裁判で裁判員を担っていたからだ。
タイミング悪く、家庭を顧みず仕事に明け暮れる沢村に愛想を尽かした遥は息子を連れて家を出てしまっていた。妻子と連絡が取れない沢村は取り乱す。

遥の行方を探す一方で、第3、第4、第5の事件が起きる。
いずれも猟奇的な方法で件の裁判に関わった者たちが殺されていく。沢村は遥の友人・秋山佳代の元を訪れ行方を知らないか尋ねる。

同じ頃、警察も遥の携帯履歴から秋山の存在を掴み、彼女の事情聴取に訪れる。
あいにく彼女は夜勤中だったため、交際相手の男が応対。彼女の職場を聴いた警察がやってくると先にやって来ていた沢村とハチ合わせする。
遥が事件に巻き込まれている可能性がある、と警察が話すと秋山がようやく口を開く。
家を出た遥は秋山の元に身を寄せ、夫が来ても絶対に居場所を教えるな、と伝えていた。そのため秋山は口を閉ざしていたのだが、警察の口から「彼女の家で応対した交際相手の男性」を聴き秋山が戦慄する。秋山に交際相手などいなかったのだ…。

彼女の家にいた男こそ、犯人…警察が再び秋山の家を訪れるが時すでに遅くもぬけの殻、遥と将太は連れ去られてしまった後。部屋には「お仕事見学の刑」というメモが残されているだけだった。
秋山宅へ向かう途中、すれ違ったレインコートの男に違和感を覚えた沢村は警察の車を奪い男を追う。レインコートの男も車で必死に逃げ、沢村は事故を起こし男を取り逃がしてしまう。

怪我を追いつつもなんとか無事だった沢村は、後輩の西野の協力を得て独自に捜査を続けようと試みる。
彼は「報復目的の事件」ではなく「3年前の事件と今回の事件は同一犯の犯行」ではないのか?という疑念がわく。するとそこに犯人=カエル男が唐突に姿をあらわす。

必死で追いかけるふたり、しかし西野がビルの上で男につかまってしまう。
男は「自分がアーティスト」であり「自分の殺人は芸術」「3年前の事件も自分の犯行」と語り「自分の芸術(殺人)をほかの容疑者の犯行だと思われてしまった」ことに憤りを覚えていた。それ故に、関係ない人物を犯人にしたてた裁判関係者を殺していたのだ。

さらに男は「沢村刑事、君が必要だ」と告げる。
同時に降っていた雨があがり太陽がさすと男は「また迎えに来る」と告げ、立ち去ろうとする。ビルの上で立たされていた西野を突き落とし、男は姿を消した…。

西野を亡くし、聴取のため拘束される沢村。
犯人が自分にまた会いに来るということを警察に伏せたまま、沢村は逃亡を図る。

独自に犯人の手がかりを追う沢村は、ビルの上での出来事を思い出していた。
雨がやみ日が指した途端、男は態度を変えた。しきりに首元を掻く仕草…沢村は男が「日光アレルギー」なのではないかと推察する。
付近一帯の病院をあたり、症状と背格好に当てはまる人物を洗い出す沢村。そのなかで橘幹絵医師の元に該当する患者がいることを突き止める。男の名前は「霧島早苗」。
沢村h橘に銃を突き付け、霧島の居所を聞き出し彼の元へと向かう。

 

霧島宅に侵入する沢村だが、霧島の反撃をくらい捕らわれてしまう。
小さな部屋に監禁された霧島、部屋から出るためにはパスワード式の電子ロックを解除しなければならない。パスワードの手がかりとなりそうなジグソーパズルが部屋に用意されている。わずかに差し入れられるハンバーガーとジュースを糧にパズルを解く沢村。
完成したパズルの柄は、息子・将太の描いた絵。幾つかのピースが足りずに抜け落ちた部分がアルファベットの形を成していた…「E A T」と。

「EAT」の単語と差し入れられたハンバーガーが視界に入り、嫌な予感がよぎる沢村。
パスワードを入力すると電子ロックが解除され部屋の扉が開く。となりの部屋は台所のようなところ。ハンバーグを作った形跡と冷蔵庫には遥と将太の写真が貼られている…。
沢村がおそるおそる扉を開くとそこには、ふたりの切断された頭部が…!

 

泣き崩れる沢村。
それを監視カメラで見てはしゃぐ霧島。霧島の後ろには、おびえた遥と将太の姿が。冷蔵庫の中に用意されたふたりの頭部はフェイク。精巧に作られたものですぐには気づかない、と霧島。

自身の芸術の最後の仕上げと称し、霧島は行動に出る。
沢村の前にカエルマスクで姿を表した霧島、憎しみから霧島を殺そうと追いかける沢村。屋敷の中を駆けずり回り、霧島は自分と同じくカエルマスクを被らせた遥を沢村の前に差し出す。沢村は彼女を打ちそうになるが、恐怖のあまり泣き崩れた遥に気付き、踏みとどまる。死んだと思った妻が生きていたことに一瞬安堵する沢村。
沢村に遥を殺させようとしたのに策がハズレた霧島は、将太の頭に銃をつきつけ再登場。遥を殺すように命令する。

同じ頃、警察は沢村の足取りをおって、おなじく橘の元へ行き着く。
先輩刑事の関端は、霧島早苗が過去に起きた猟奇事件の被害者の子供であることをつきとめ、おなじく霧島の元へ。

霧島は語る。
「エンディングは3つあった」
「ひとつは君が奥さんを殺して息子と二人生き残るエンディング」
「もうひとつはボクの隙をついて殺し家族三人が助かるエンディング」
「最後のひとつは家族3人とも死んで天国で暮らすエンディング」

踏ん切りの付かない沢村に霧島が発砲、沢村は被弾しその場に倒れこむ。遥の悲鳴が響くなか、絶体絶命の沢村、そこへ駆けつけた警察が突入。
霧島に発泡し、被弾した霧島は逃げ去る。「こんなところで終わるものか」と逃げる霧島が玄関の戸を開けると外は晴天。
日光に皮膚を焼かれ血だらけになりながら、負け惜しみの口上をたれた霧島は気絶し逮捕される。

 

逮捕後、意識不明の霧島は入院。
そこへ橘幹絵が面会に訪れる。実は橘は霧島の生き別れの姉弟だった。両親が殺害された後、医者の家に引き取られていったのだった。
橘は、ベッドに横たわる霧島の点滴に薬品を混入し、霧島を死なせる。

斯くして、事件は終息を迎えた。
家族を顧みるようになった沢村は、遥とふたり将太の運動会に足をはこぶ。将太の勇姿をホームビデオに収め満足そうなふたり。
しかし、ビデオに映しだされた将太はしきりに首元を掻きむしっている…それはまるで霧島と同じように…。

原作からの改変はわずか

ボクは鑑賞する前に原作コミックは未読で、鑑賞後にその足で原作購入して読んでみました。

その感覚で評価させてもらうと、原作からの改変はごくわずか。
コミック原作の実写化作品ではベース設定の根幹から改変されてしまうような作品もあるので、そういう作品に比べると原作に忠実に実写化された印象です。原作コミックが全3巻というボリュームなのと、既に完結していることがそれを可能にしたのかもしれませんね。

細かい描写は除いて、映画版で改変されたのは主に下記の3ヶ所。

橘幹絵の存在

映画版オリジナルのキャラクターとして登場する橘幹絵は、原作では堺幹夫という男性の医者として登場している。
「霧島の病気を治療していた担当医であり、沢村に霧島の家を教えた」という設定は同じです。しかし橘は霧島の生き別れの姉弟というオリジナル設定で登場しています。

原作では堺は、沢村との接触後に霧島に殺されてしまいます。
映画版では橘は殺されず、霧島逮捕後に入院している彼の元を訪れ、点滴に薬を混入し霧島を殺害します。

心因性のアレルギーである霧島の症状を止めるには、精神的に克服するかもしくは…(死ぬしかない)、というニュアンスで彼に死の安寧を与えるというシーンが描かれました。

霧島の顛末

原作では、霧島は逮捕後に入院。昏睡状態が続いたままお話は終幕している。
映画版では橘によって殺害される。

ラストシーン

原作では霧島の逮捕後、沢村は転職。事件から1年たった後も、事件のショックを引きずっており、霧島のせまった「3択のエンディング」が数多の中をフィードバックする、という抽象的な終幕でした。

映画版では逮捕後、霧島は死亡。
事件は無事解決となり、沢村も以前より家庭を顧みるようになったという、一見してハッピーエンドを思わせるラスト。夫婦揃って将太の運動会を訪れるが、将太には霧島のアレルギーと同じような症状が起きている描写が描かれる。

原作では明確に示されなかったものの、霧島のアレルギーも「心因性」のものとされており両親殺害の衝撃がアレルギのー引き金になった、というニュアンスだろう。
霧島による事件に巻き込まれたショックがきっかけで将太も同じような症状を発症してしまったのだろうか…。

事件が終息して尚その悪意が、息子の症状としてつきまとう、というなんともホラーチックな改変。
個人的にはこのラストシーンは、むしろ原作よりも秀逸だな、と感じました。

あとがき

[rating]

実写化による改悪もなく、原作ファンも楽しめるのではないでしょうか。
「橘の設定改変は果たして必要だったのか…?」という一抹のモヤモヤは残るし、若干の中だるみ感は否めないのだけど、程よい刺激とスピード感で飽きさせない展開でした。前述したラストシーンの改変も個人的には高評価。

 

個人的に先週、妻夫木聡出演の映画「怒り」を見たばかりだったのですが、
そちらでの妻夫木聡の素晴らしい演技で涙腺破壊されたところだったので、本作と比べてしまうと見劣りしてしまった感があったためそこが減点ポイント。

【映画レビュー】怒り を観てきた

映画の中できちんとお話が完結されているため、基本的には原作を読まずとも楽しめます。
なんとなくモヤッとした部分を払拭するためボクは原作を後追いで読みましたが、原作を読ませたくなる仕上がりでもあるかもしれません。

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