前回、作品全体をとおしてのおさらい記事を書きましたがもう少し掘り下げて書いてみようとおもいます。
[hxh32]までに「会長選挙編」が終わり「暗黒大陸編」導入1話までが収録されています。4/18発売の少年ジャンプに掲載予定の最新話 350 話までに9話分(341話〜349話)がまだコミックス化されていないので、この機会に一緒におさらいしてみましょう。
既刊32巻までの おさらい
ハンター協会の新会長選挙で十二支んのパリストン=ヒルが第13代会長に選ばれるも、お遊びで参加していたパリストンは当選直後にこれを辞退。
副会長に指名されたチードル=ヨークシャーが第14代ハンター協会会長に就任(13代はすぐに辞任したパリストン)。
就任後、北東のアイジエン大陸に位地するカキン帝国から声明がだされます。
前会長の息子・ビヨンド=ネテロを筆頭に、その行為自体が世界的にタブーとされている新世界(暗黒大陸)への渡航を宣言します。
当然、他国はこれを阻止しようと考え、協定を結んだ5大陸同盟・V5(ブイファイヴ)からハンター協会へ「ネテロをハント(狩る)せよ」との依頼が届きます。そして、時を同じくしてジンとパリストンが十二支んから脱退します。
ここまでが[hxh32]までのおはなしです。
暗黒大陸 とは
そもそも暗黒大陸とはなにか?
現在知られている「世界」は各大陸が海で囲まれてるわけですが、その海は実は大きなひとつの湖である。
これを「メビウス湖」とよび、さらに大きな大陸である暗黒大陸の中央にあります。
つまり「世界」は暗黒大陸にある湖のなかに浮かんでいる島々にすぎない、というのです。
「世界」を取り囲む海(湖)のうち普通に行き来ができる領域を「限界海峡線」とよび、そこを超えるには「案内人」と呼ばれる亜人種の協力を得ないとなりません。
過去になんども「新世界」へ向けて渡航が挑戦されていますが帰還できた生存者は28名。
いまも存命なのはビヨンド=ネテロのみです。
人々はなぜそんな危険なところへ行きたがるのか。
それは暗黒大陸でしか手に入らない「リターン」があるからです。
ジン曰く、
・ビーズ一粒程度で1日約2万kw発電する、水に沈めると発電する鉱石 無人石
・あらゆる液体の元になり得る・三原水
・究極の長寿食・ニトロ米
・万病に効く香草
・錬金植物・メタリオン
などハイリターンとなる資源が豊富に存在しているからだといいます。
これらを求めて各国が何度も渡航を試みましたが、だれひとりとしてその恩恵を持ち帰ることは出来ませんでした。その代わりにもちかえってきてしまったモノが…
5大厄災とよばれるモノ。
未刊部の冒頭は暗黒大陸への渡航を許可するV5の機関・特別渡航課 特務課の施設から始まります。
そこには過去に各国が新世界へとわたり、持ちかえってしまったさまざまな「厄災」が保管されています。
これ以上の厄災を持ち帰ることがないように、5大陸同盟・V5(ブイファイヴ)は「新世界」への渡航を条約で禁じたのでした。
しか、これの条約を無視してビヨンドをリーダーにすえ、独断での新世界渡航を決めたのがカキン帝国のナスビー=ホイコーロ国王です。
数十年前まで国王制だったカキンはV5に加盟しておらず、渡航を禁ずる条約に縛られていません。
V5の面々はあせります。
渡航に失敗し新たな厄災を「世界」に持ち帰ってきたら?
万が一、渡航に成功しなんらかの「恩恵」を持ち帰ったら、それをカキンに独占させてしまうのか?
そんな少年マンガらしからぬ、政治的な思惑からV5はカキンの新世界渡航を阻止するべく、ハンター協会に「ネテロのハント」を要請したのでした。
しかし、いまや唯一の「新世界」からの帰還者であり、前会長アイザック=ネテロの息子であるビヨンド=ネテロが動き出した以上、どのみち渡航は決行されてしまう、と察したV5。
それならばと、カキンを同盟に誘い入れてV6として再構築し、ハンター協会の監視のもと「新世界」へ送り出そう、と考えます。
ビヨンドの拘束
ビヨンドのハントを命じられたハンター協会ですが、動き出す前にビヨンド自ら十二支んのもとを訪れます。
まるでここまでの流れを想定していたかのように、思いを語り、無抵抗のままハンター協会に拘束されます。その思惑どおりか、V5はカキンを招き入れV6に再編、拘束されたネテロに協会監視のもと新世界へ向かうことを契約させられます。これをビヨンドが承諾。
彼は渡航に必要な4つの条件のひとつ「許可」を得ました。
このセリフ、じつは前にも登場しています。ゴンとジンが世界樹のてっぺんで再開した際の会話で、おなじくジンが「新世界」を目指す夢を語るシーンですね。
ジンとパリスの思惑
同じころ、ビヨンドが渡航のために招集したハンターたちがカキンに集います。その中には十二支んを脱退したパリストン=ヒルの姿も。
おなじく十二支んを脱退したジンも来訪し、ビヨンドのチームに加わって新世界を目指したいことを告げます。水と油のジンとパリストンですからここでもぶつかります。
前々章「キメラアント」編・終盤に、ハンター協会が回収したとされる「5000体のキメラアントの繭」ですが、どうやらこれをパリストンが私物化しています。パリストンはハンター協会がビヨンドの思惑通りに動かなかった時のための切り札としてコレ(5000体のキメラ半獣人)をもっていたようですが、ジンはそれも見ぬいていました。
現在はパリストンにある「チームNo.2の座」を自分に譲れ、と参加メンバー全員に「ビヨンドが約束した額」の倍の報酬を払うと約束します。
この過程でジンの戦うシーンがありますが「会長選挙編」でレオリオが見せた能力を真似して見せます。なんでも「打撃系の能力は一回くらうと大体マネ出来ちまう」「ただの才能」だそうです。
紆余曲折ありつつも、ジンは参加メンバー全員の了承をうけ、晴れてNo.2の座を手に入れます。
このくだりではビヨンドチームのキャラクターがたくさん登場していますが、349話までに名前が判明しているのはジンとパリストン以外に下記の面々です。
ちなみにジンが面々を見渡したとき、「一番偉いのは…」と声をかけたがのマリオネだったのも注目すべき点ですね。「パリスの思惑」ていどのふれ方でサラっと流されてしまいましたが「5000人のキメラ半獣人」も 350 話以降の伏線として登場するのか…楽しみです。
クラピカの帰還(あとレオリオも)
話は並行して進んでおり、おなじころ十二支んにレオリオが加わります。
ジンとパリスの欠番を埋めるようなカタチで参加することになるのですが、レオリオはもうひとつの席にクラピカを推薦します。「グリードアイランド編」「キメラアント編」「会長選挙編」とほとんど作中に姿を表さなかったクラピカが帰ってきます!
クラピカは相変わらずマフィア絡みの職についているようですが、その傍ら同胞クルタ族の「緋の眼」を探し集めています。ミザイストム=ナナが十二支んに勧誘するためクラピカの元を訪れますが「私は忙しい」とつっぱねます。すかさずミザイが交渉にだしたカードが「我々は大量の緋の眼の持ち主を特定した」というものでした。
これには俄然興味を示すクラピカ。その人物を教えてもらうことを条件に十二支んに参加すること決めます。
伏線①:14人の王子による “カキン国王位継承戦”
「新世界」渡航を宣言したカキン帝国ですが、渡航を記念したセレモニーを皮切りに次期国王を決める「王位継承戦」を行うことになります。現国王のナスビー=ホイコーロは「(14人の王子の中から)今回の渡航で生き残った一名を次期国王とする」と断言します。
ネテロ、ジン、パリス、ハンター協会だけでなくこのカキン国王子たちが、今後のお話に深く関わってきそうな予感です。なぜなら、ミザイがクラピカに告げた「緋の眼の持ち主」こそ、カキン国第4王子・ツェリードニヒ=ホイコーロだったからです。
このツェリードニヒ、某救世主のような外見をしていますが快楽殺人&人体収集狂という狂人っぷり。
王子たちが王位継承のため渡航に参加することになったため、ツェリードニヒに直に接触できる可能性を得たクラピカ。14人の王子たちは決して仲が良いわけではなさそうで、骨肉の争い的な展開は必至でしょう。新世界渡航のなかで王子達の存在とクラピカの奔走も目が離せない要素のひとつとなりそうです。
伏線②:十二支んの中の “裏切り者”
十二支んに参加したクラピカは十二支んの会議である疑問をなげかけます。「協会内部にビヨンドの仲間がいるはずだが何人位、目星がついているのか」と。
ビヨンドは過去の渡航に失敗して以来、今回の渡航の機会をずっと待っていたわけですが、これだけ大規模な計画を制御し、自らハンター協会に出頭してきたからには、その自信の根拠となる有能な仲間が協会内部に潜んでいる、と考えたわけです。そのひとりがパリストンと協専のハンターでした。
「ほかにも十二支んの中に内通者がいる」と踏んだクラピカとミザイはクラピカの能力「導く薬指の鎖(ダウジングチェーン)」によって、もうひとりの内通者を見つけます…。
内通者の目的は十中八九、暗黒大陸へ到着したあとでハンター協会の監視から逃れビヨンドを自由に行動させること。クラピカたちはサイユウをしばらく泳がせてから捕獲する計画をたてます。
協会内部でも派閥と思惑が混在し、単純に「敵」「味方」とはいかないような展開が予想されますね…。
伏線③:”フリークス一族” の動向
暗黒大陸編においてはジンの動向がかなり重要になってくるように思えます。「会長選挙編」まではまったく出てこなかったキャラクターとは思えないほどメインに描かれていますからね。
逆に主人公であるはずのゴンは今後どのようにストーリーに関わってくるのでしょうか。復活後も念能力は失われたままで、345話では故郷のくじら島へ里帰りしています。暗黒大陸編ではまったく登場しない、なんてこともあるのでしょうか…?
さらに気になるのはジンの父親についてです。V5の特務課やジンがことさらに「新世界」の「恩恵」「厄災」について語っていますが、「世界」に持ち帰ったのは「厄災」だけなのに何故「恩恵」について詳細がわかるのでしょうか?
それは先駆者がいたから、です。
300年以上前にたった1人でメビウス沿岸をくまなくい探検しようとした奴がいる。そいつは自分の探検を本にした。
「新大陸紀行」の「東」と「西」だが見つかっているのは「東」だけで「西」は一冊も見つかっていない。
なぜか?
ジンの父親が生きているフラグ…!!
もうゾクゾクが止まりませんね!
“念” について描写も健在
ハンターハンターのといえば「念能力」!
未刊部分で登場する “念” についてもおさらいしておきましょう。
ミザイストム “密室裁判”
まずはクラピカ勧誘の際にミザイが使用した能力。
ゴレム “相互協力型”
ビヨンドチームの巨大ロボはゴレムと呼ばれている能力者ですが、具現化能力者によって作られた機体に放出系能力者が乗って念弾を飛ばす、複数人による協力型の能力のようです。
これを相互協力型(ジョイントタイプ)と表現しています。
過去の作中に登場したものではボマーの解除(リリース)やオロソ兄妹の「死亡遊戯(ダツDEダーツ)」などもこれに当てはまるのではないでしょうか?
クラピカ “導く薬指の鎖(ダウジングチェーン)”
クラピカのダウンジング能力について、その詳細が言及されています。
・まず私自身がこの能力の仕組を完全には把握していない。
・「相手がどんなに訓練して隠してもその嘘を見抜ける」程度の能力だ。
・仮に私がスパイで私と同じ能力を持つものを欺く必要があるなら記憶を消すことが出来る能力者か、他人を意識レベルから操作できる能力者を探す。嘘を隠すのではなく消去するためだ。
サイユウ “念獣 ミザル・キカザル・イワザル”
サイユウも自分の能力について語っています。
・それぞれの敵への攻撃が成功すると視覚・聴力・言語を奪えるって能力
・健常者がいきなり3つもの機能を奪われたらまず能力を発動するのも維持するのも不可能だね
・強化系が一番影響なさそうなクセにパニくるかオーラの流れで動きがモロバレになる
カキンに伝わる “具現化された壺” と “守護霊獣”
またカキンの初代国王が「蠱毒」から発想を得て具現化したとされる「壺」も登場しています。この壺から「守護霊獣」が産み出されるようです。カキン国王および王子達には、現時点では「念能力」を有するという描写は見られません。この守護霊獣が王子達の周りで暗躍するのは想像するに容易いですね…。
子孫繁栄を願う者が遺した強い念によって産み出された念獣。
取り憑いた者のオーラを糧とし、その者の人となりに影響を受けた形態・能力に変貌するが、自身が創りだしたものではないため、自分の意思で動かす事はできない。
連載再開後 350 話からの予想
前回休載した349話はサイユウの裏切りをつきとめたクラピカの元へ「カキンの王子達がボディーガードの募集をしている」という連絡が入ったところまでが描かれています。ミザイやチードルがこれについて「せっかく審査ではじいたハンター(渡航に参加するハンター)が王子の援護として紛れ込んでくる」と危惧しています。
この件に関してクラピカが関わってくるのは必至でしょう。
またジンのパリストンに対しての会話の中に「ハンター協会にキメラを送り込む」という説もありました。ハンター協会から渡航に参加するメンバーはクラピカの能力によって精査されたはずですが、王子達のボディーガードとしてキメラが紛れ込んでくる可能性もあるのかも…?!
さらにツェリードニヒが「カキンの壺」による儀式をするシーンもあったことから、14人の王子達それぞれに姿・能力のちがう守護霊獣たちが憑いて登場する可能性も大です。個人的にはここらへんの「念」による描写がなにより楽しみであります。
個人的に気になった点。
344話に過去の渡航シーンの描写があります。前会長(アイザック=ネテロ)とジグ=ゾルディック、リンネ=オードブルの3人が暗黒大陸に渡航しているシーンのようです。
このジグ=ゾルディック、という名前からゾルディック一族であろうことは推測がつきます。ゼノの祖父・マハがアイザックと同い年、という記述が作中にあることと、絵柄から年齢を推測するに、ジグはマハの息子・ゼノの父親ではないか?というのがネット上のファンの見解です。作中にゼノとマハが登場するのに対し、ジグは登場していないことから既に亡くなっているものと思われます。
その下のカワイイ女性、名前から察するに「会長選挙編」で会長候補として登場したリンネ=オードブルさんの若き日の姿でしょう。
おぉ…時間の経過はなんと残酷なのでしょう…。まるでE.T.です。
そして更に悲しいお知らせです。おそらく…
リンネ=オードブルさんは既に亡くなっています。
その根拠は342話のV5会談のシーンで語られています。現在も存命な帰還生存者はビヨンド=ネテロのみ、と。
アイザック、ジグともにすでに死亡。この時点でネテロ以外の帰還生存者はいない、とされている以上、リンネさんは会長選挙落選後からV5会談までのあいだに亡くなっているものと推測されます。これに気づいて、少し悲しくなってしまいました…。
リンネさんのご冥福をお祈りします。
と、ともに連載再開を心から楽しみにしております!