CSチャンネル・AXNで海外ドラマ CHILDHOOD’S END -幼年期の終り- 第6話 「子供たち」後編(最終回)が放送されたのでレビューしてみます。“来るべき日” を迎えた地球、カレルレンは最後のメッセージを地球人に残し…。
前回のレビューはコチラ。
CHILDHOOD’S END -幼年期の終り- 第6話 「子供たち」後編 あらすじ
原題は “The Children”
死期の迫るリッキーはアナベルの幻覚とともに例のフォーシーズンズホテルの部屋で目を覚ます。過去のふたりの時を思い出していた。
カレルレンはアナベルとともにいられるその空間を “贈り物” としてリッキーに贈ると提案するが、リッキーは「これは本物じゃない」とその提案を拒否し部屋を消すように頼む。
現実にもどってきたリッキーはフラフラと家を出て地面に倒れ込む。
かけよるエリーに「誰よりも愛している」と語りかけふたりで夜空を見上げ会話を楽しみ、そしてリッキーはそのまま静かに息を引き取った。
ニューアテネにやってきたジェイク達は家族団らん、映画館で古い映画を楽しんでいた。
そこでジェニファーがとうとうに「はじまるわ…」とつぶやく。映画が中断されスクリーンにはカレルレンが映し出される「地球の皆さんこれが最後のメッセージです」と。
日が沈むように、人類の黄金期も終わりを迎えると語るカレルレン。この先、地球で子供が生まれることはない、と語り大人たちは余生を好きにまっとうしろと告げる。そして世界中の新生代の子供たちを連れ去る。
ジェニファーをはじめ子供たちは宙に浮かび天に登っていく。大人たちはくちぐちにこの名を叫び慌てふためく。やがてすべての子供の姿が消えると大人たちが呆然と立ち尽くす姿だけが残された。
ジェイクの息子・トミーはジェイクに引き戻され地上にとどまった。
ジェイクは子供を取り戻すためオーバーロードと戦おうと考え、ニューアテネの市長・ジェリーに声をかける。
しかし既に希望を失ったジェリーは「死ねば子供たちに会えるかも」と自暴自棄に。核の時限爆弾を作り全てを終わらせる覚悟をつけていた。
トミーはエイミーに告げる「お別れするために時間をもらった、けどもう終わり」と。エイミーはトミーに残るように説得するが、トミーはそれには応じず天に登り姿を消す。
トミーが消えた後エイミーは覚悟を決めジェイクと出会えたことに感謝を伝え彼も彼女に感謝する。そして爆弾が起動しニューアテネごと吹き飛ぶ。。。
オーバーロードの宇宙船に潜伏していたマイロは機内で目を覚ます。
しかし覚醒直後にカレルレンとは別の個体のオーバーロードに発見される。彼曰く、カリーナ星系を回る六番目の惑星がオーバーロードの故郷・ジェンジェダ。
ジェンジェダ到達間近にして既に片道で40年の時間が経過したことをしったマイロは地球のその後を問う。
彼はその問には答えず、「地球で起きたことははるか昔から決まっていたこと」だと語る。すべてはオーバーマインドと呼ばれる存在が決める。オーバーロードたちは10万年間、オーバーマインドと対話しそれをただ実行してきたのだという。
マイロはオーバーマインドを見せてくれと懇願する。
煙が立ち込め溶岩が流れるジェンジェダに降り立つ宇宙船。光の柱が地表から天に登る光景が目に映り、それが「オーバーマインドと繋がっている状態」なのだという。
次の瞬間、光に飲み込まれたマイロはオーバーマインドと対話する。
「わたしはすべて、全宇宙の意識の統一体」と語る。マイロは人類の先行きを不安視し問うがオーバーマインドは問いには答えず、レイチェルの姿に変わってみせる。
マイロは目覚め「地球に戻りたい」と懇願。
ふたたび長い眠りについたらしいマイロは目を覚ます。
カレルレンはマイロに声をかける、あれからさらに45年の月日が経過し地球の近くまでもどってきた。地球は既に色あせた星と化していた。
カレルレンは「レイチェルを宇宙船につれてきた」と語りマイロに会わせる。既に亡くなりミイラのようになった彼女、首飾りをひっぱると身体は粉々に砕けてしまった。
マイロはカレルレンにレイチェルの行きた痕跡は残るのか?と問うと彼女を想うマイロ自身がそうだと答える。意識とは心の集合体である、と。その答えでは到底納得出来ないマイロ。
人類の文明が終わりを迎えたことに絶望を語るマイロだが、カレルレンは多くの種族がそうであった、と語る。
少ない知識で情熱をもって生きる地球人を羨ましくも想う、と語るカレルレン。マイロは幼いころクッキーアイスを初めて食べた時のことを挙げ「こんな美味いものがある文明ほかにない、なかなかだろ?」と自虐めいた冗談をとばす。
カレルレンはマイロに一緒に来るよう薦めるが、オーバーロードの考え方に同調できないマイロは地球に戻り独りで最後を見届けることを決意する。
オーバーロードの監視ロボットとともに地球に戻ってきたマイロ。(第1話の冒頭のシーンに戻る)
最後の人類としてメッセージを残す「忘れないで欲しい人類が存在したこと、多くの過ちを犯したがなかったことにしないで欲しい」と。
マイロが見据える遠くの大地ではジェニファーが地球の全てのエネルギーを吸い上げ天に昇華させていた。星の終焉を予期し、マイロは恐怖に駆られるが、カレルレンは「自然の摂理だ」と語りかける。
マイロはとっさに「人類が存在した証をなにか残してくれ」と懇願する。カレルレンはマイロの記憶の中から幼いころに聴いていた音楽の記憶を再生し、その曲を響かせる。
「ありがとう」とマイロがつぶやき、直後地球は爆発し消滅する。
カレルレンは(どういうメカニズムかは不明だけど)その曲を流し続けたままその場を去る。
「(曲は)そのままにしておく。ここを通りかかった者に聴こえるように…」と言い残して。。。
稀に見るバッドエンド?それとも…?
新世代の子供たちは別の星にうつされたわけですが、けっきょく人類は滅亡し地球は崩壊してしまう。
レイチェルとの再会を希望視していたマイロの願いもむなしく、時は流れてレイチェルは既になくなっていた。おまけに滅亡した地球を目の当たりにしたマイロの絶望感たるや。。。
一見すればバッドエンドなお話なのですが、新世代の子供たちだけは救われたというのは、ある種の救いにも思えるわけで。
お話の中で戦争、環境汚染、差別などの人類の過ちが幾度となく指摘され、そのような過ちをさんざん犯したあげく滅亡を招いた人類ではあるけれど、新世代の罪なき子供たちは大人たちの過ちの犠牲に成らずに済んだ、というのはオーバーロード、オーバーマインドの慈悲にほかならないだろうと感じました。
教訓というかアンチテーゼというか、現代社会や物質主義に対する問題提議のようなニュアンスにも感じましたね。
終わりの瞬間を迎えたリッキーやジェイクが “充足した生活” からではなく根源的に手にした “幸せ” を感じ取れたのも、各々のキャラクターにとっては幸せな最後であったのかもしれない。レイチェルがマイロを待ちわびながらどう人生を終えたか、を考えるとちょっと胸が痛むけど…。
ただ、ジェニファーや子供たちをあんなおどろどろしく表現しなくてもよかったんじゃ…と思うフシも。苦笑
(そういえば第5話で「赤い数字が終わりを告げる」と行っていたのはジェリーの時限爆弾のことだったんですね…。)
地球のエネルギーを昇華させるための当て馬にされたジェニファーはマイロ共々地球と一緒に吹き飛んでしまったと考えると、なぜ彼女だけ…?という思いはあるのだけど、その理由はオーバーマインドのみぞ知るところなのか。。。
感想&あとがき
[rating]
単純なクラシックSF作品のリブートという枠に収まらず、
宗教的、哲学的、現実的な問題提起をしつつ幸せのあり方、死生観までも考えさせられる深いモチーフを現代的でわかりやすく表現した良いドラマでした。
海外ドラマ好きを自称していて、こう言っちゃうのも何だけど
何十話もダラダラと長引かせずに、これぐらい(全6話)のボリュームでさくっと完結してくれるのも案外楽しみやすいなあと感じました。もちろん少ないボリュームにまとめるにはそれだけ脚本や構成のチカラが必要になってくるのでしょうが。
しっかりとした原作ありき故か、この作品は個人的にはヒジョーに良作だと感じました。なんなら原作の小説を読んでみようと思いましたし。
ケーブルテレビ局制作だからなのか国内では配信サイトなどでみることも出来ないようなので、観たい方は残念ながら再放送を待つしかないようです…。
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