収録曲をレビューしてみる
独断と偏見で収録曲をレビューしてみます。
1,LAY YOUR HANDS ON ME
足音や水の滴るような環境音から入る表題曲。ブンブンらしい小気味いいテンポ感のビート、川島さんの声にかかるリバーブ感が気持ちいい。約6分もある曲なんだけど時間を感じさせないというか、まだ聴いていたい気持ちになるほど気持ちよく進んでいく曲。静と動の抑揚ある構成が連続していて、静から動に入っていく瞬間のゾクゾクがスゴイ…!
ただ、曲調もアップテンポだし、すごく希望に溢れた印象をうけるのに、「これが最後の作品」というファン心理と経過も相まってか寂しくも感じてしまうのも事実。
タイトル「LAY YOUR HANDS ON ME」は直訳だと「ボクに触れて」とか「ボクに手をのばして」てことなのかな。意訳したら「ボクをつかまえて」とか。
この曲はアニメ「キズナイーバー」のテーマ曲にもなっています。これまでにも数々のタイアップを担当してきた彼らですが、最後の作品となる本作もこのアニタイによって少しでも多くの人の目に、耳に届くきっかけになったらいいな、と思います。
https://www.youtube.com/watch?v=0Ep20ORL4p0
2,STARS AND CLOUDS
こちらもMVになっている曲。1曲目とは対照的にスローテンポでクリーントーン、1曲目よりもさらに空間的なボーカルと鍵盤の音が、波紋が広がるようなイメージで響く。
テンポ的にも印象的にも「静」のイメージな曲だと感じるけど曲終盤から歪んだシンセ(?)のような音が加わりサウンド的にはドンドン喧騒感ある音になっていく。が、音の壁に囲まれるような感覚がむしろ「静」のイメージを引き立てるような、そんな不思議な感覚。ヘッドホンで聞いていると尚更だ。
この曲に限ったことではないですが、川島さんのボーカルってのは「THE 川島」感がある。
声質自体は決して特徴的な方ではないと思うのだけど、音に乗っかってきたボーカルを聞くと不思議と「川島さんだ」とピンとくる、というか。新曲がCMタイアップなんかになったときに、ふと聴いたその時が初聴でも「あ、これもしかしてブンブンの曲?」ってなるというか。
これはファン補正ファン感情からくるものじゃないと思うんだけど、どうでしょう。
3,FLARE
シンセとバイオリン?ぽい弦楽器主体の楽曲、イメージ的には2曲目に近いかんじ。この楽曲も音の抑揚が何度も繰り返す。ボーカルの主旋律はない、コーラスぽい音声は入ってるけどこれも川島さんの声かな?
所謂インスト曲(ボーカルのない楽曲)になるのかもしれない。インスト曲ってフツーのアーティストのアルバムに入ってると頭数合わせというか、ちょっとしたガッカリ感があったりもするんだけど、ブンブンがやるとただの帳尻合わせじゃない作り込みがソコにあって、むしろ圧倒される。この曲もそんな印象をうけた。
4,NARCOSIS
3曲目のコーラス音に似た導入が3曲目との連作を思わせるような入り。低音で動くビートと中域のシンセが絡む。曲中盤ぐらいから環境音のリフレインのような展開にシフトする。目を閉じると心象風景が浮かぶような変な感覚。それが徐々に1曲目冒頭の環境音とシンクロしていく。いわゆる歌モノ的な曲でラストを飾らないのもなんだかすごくシックリくるから不思議だ。
そして、曲の最後の最後に収録されたブレスに何かしらの意味を見出したくなったのはボクだけではないはず…。
本作についての中野さんのコメント
僕たちの作品はここ数作品、CDの枚数を上回るほどデジタル配信の数が伸びています。この流れは必然だと思うし選択の自由はあったほうがいいのですが、今回の作品はCDを非圧縮で、できれば初回盤のハイレゾ音源を聴いてもらいたいという気持ちがとても強いです。
やはり、情報量が全く違うのです。— THE SPELLBOUND BOOM BOOM SATELLITES (@BBS_nakano) June 18, 2016
すごくよくわかる。
昭和生まれのボクはやはりパッケージ買ってこその音楽ファンだ!という古い思考の持ち主なのだ。(中野氏の言いたいことは多分そこじゃない←)
パッケージ版もすっごい豪華。
初回生産限定盤には平間至撮影の写真集、ポスター型ディスコグラフィー、「LAY YOUR HANDS ON ME」「STARS AND CLOUDS」のMUSIC VIDEOとHi-Res、MP3音源が入ったBlu-rey Discが収録されています。
オフィシャルサイトより抜粋
DVD付きのCDは昔からあったが今時分はブルーレイが付いているのか…!制作コストすごそう。そして我が家には未だにブルーレイ再生機器がないのだ!
配信ですでに購入済みなのだがパッケージ版…買いに行こかな。
あとがき
[rating]
中学生のころ周りで流行っていたメロコアとかパンクばっかり聴いていたボクは「生音こそ正義!電子音使ってるのはバンドじゃねえ!」と偏った嗜好をもっていたんですが、当時付き合っていた彼女がBBSのファンで彼らのアルバム「PHOTON」を貸してくれて、それを聴いてからというものBOOM BOOM SATELLITESにドハマりしました。自分のなかにあった音楽に対するちっちゃいジャンル感をぶっこわしてくれたのがブンブンサテライツでした。
もちろん同期系のバンドとかは当時からいたんでしょうけど、ボクの感覚では日本のロックバンドでバンドサウンドと電子音楽をいい具合にミックスしてやっているのって、ブンブンやマッド・カプセル・マーケッツとかがパイオニア的な存在に感じるんですよね。
CMソングになって大衆的にも認められる側面をもち、映画やアニメのサントラにもなって、フェスにも出て、海外でも認められていて。いろんな意味でジャンルレスな存在でしたね。
川島さんは現在、ミュージシャンとしての役目を終え、ご家族と穏やかな日常をおくっているそう。中野さんは今後はなんらかの音楽活動をするのだろうか?…いまはまだそんなことを考える段階じゃないのかもしれないけど。今後、中野さんが某かの活動をなされて、それを川島さんとともに見守ることができたら、そうできたらそう思えたらファンとしては嬉しいかな、と感じる次第です。
ブンブンサテライツ、本当にお疲れ様でした。
僕と川島は作品を作り終えて自分達史上最高の充実感を噛み締めています。
だから、どうか悲しまないで下さい。作品を手にとって貰える日が楽しみです!
— THE SPELLBOUND BOOM BOOM SATELLITES (@BBS_nakano) May 18, 2016
長い間、楽しんでくれてありがとうございました。
19年間中野と頑張ってきましたが、こんなにもひとつのことを長く続けられたのは、聴いてくれる人達が居てくれたからです。最後のライブができなかったことが残念でした。ありがとう。ありがとう。。— BOOM BOOM SATELLITES (@BBS_kawashima) June 22, 2016
追記:2016/10/11
ボーカルの川島さんが10月9日に逝去されました。
こころよりご冥福をお祈りします。ほんとうにほんとうにお疲れ様でした。
川島道行が旅立ちました。この日が来るのを何年も前から覚悟して、とっくに心の準備ができていた筈なのに、何かが僕の心を締め付けて胸が痛くて痛くてたまりません。
でも皆さん、どうか川島道行の人生のゴールを祝福してあげてください。そして長い間支えてくださって本当にありがとうございました。 https://t.co/IKVbUy3jHt— THE SPELLBOUND BOOM BOOM SATELLITES (@BBS_nakano) October 11, 2016
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