22日に発売になったBOOM BOOM SATELLITES(ブンブンサテライツ)のニューシングル「 LAY YOUR HANDS ON ME 」をレビューしようと思います。この作品を最後に活動終了することが発表されており、事情が事情だけにしかたがないのですがやはり残念でなりませんね…。彼らの最後の作品を心してレビューさせていただこうと思います。
BOOM BOOM SATELLITES とは
(もはや説明不要の域だとは思いますが)ボーカルギター・川島道行氏とベースプログラミング・中野雅之氏によるバンド。正式メンバーは2人なのでロックユニットと称されることも。
BOOM BOOM SATELLITES(ブンブンサテライツ)は、日本のロックユニット。1990年に結成され、1997年にベルギーのレーベルR&Sレコーズからデビュー。後に日本ではgr8!recordsからデビュー。
wikipediaより抜粋
CMや作品タイアップも多いのでバンドを認識していなくても曲は聴いたことあるって人は相当いると思う。キスミントのCMで起用された「KICK IT OUT」とかは聞き覚えある人も多いのでは…?
ボーカル・川島氏の病気と活動終了
以前にも脳腫瘍手術を受けているボーカル・川島さん。2015年に再発したことを受けて、ライブ活動などを休止していたのですが結果的に活動を続けるのが難しくなってしまったのでしょう。本作のリリースを持ってBOOM BOOM SATELLITESとしての活動を終了することが発表されています。
中野さんのTwitterでは昨年の活動休止以降、少しずつ本作の準備をしている過程が綴られていて時期を遡ってみていくとホントにツラそうな感じが伝わってくるモノもあって、なんともいえない気持ちに…。
それでも川島さんの現在をちょくちょくと知らせてくれるのはホントにファン想いだなあと感じさせられる。ちなみに今年に入ってからは作品リリースが近くなった高揚感もあるのかポジティブなツイートも目に見えて増えてますご安心あれ。
川島くん、メロディが覚えられなくなってきた。悔しいけどこれが現実だ。今ある曲を完成させられるか。いや、絶対に完成させたい。凄くいい曲達だからさ。
一曲のリリック書くのに2ヶ月以上かかってる。でも川島くん、諦めてない。凄いよ。 pic.twitter.com/9FEY8HSLiR
— BOOM BOOM SATELLITES (@BBS_nakano) December 1, 2015
脳の活動が弱まってきて話す事も歩く事も全てがゆっくりになってきた川島くんを見て、今彼は「一体どんな世界を見ているのだろう?」と想像するんだけど、そう簡単な事では無い。
ただ、一度ヤツが歌いたいとなれば、難しい事は考えずに録音ボタンを押す。Record=記録 がオレの仕事。
— BOOM BOOM SATELLITES (@BBS_nakano) December 28, 2015
どうしてこんなに辛い思いをしなければいけいんだろう?って魔がさす事があるんだよ。でも川島くんのほうががもっともっと何百倍も辛いだろうし、世界には苦難を受け入れている、受け止めている人が沢山いるでしょう。ってね、正気に帰ろうとしてるところ。
いい曲を届けるよ。
— BOOM BOOM SATELLITES (@BBS_nakano) March 31, 2016
44年と数ヶ月生きてきて、まだ青春の真っ只中にいる感覚があります。多分、川島くんも。何か追い求めて、追い求めているから届かなくて苦しくなって、七転八倒して、やっぱり届かないから打ちひしがれて。まるで子供です。でも何も諦めないで走ってきたから今、充実感が凄い。
みんなありがとう。
— BOOM BOOM SATELLITES (@BBS_nakano) May 19, 2016
余談ですが、中野さんのツイートって人間味を感じる文章である一方で、すごく詩的に感じるのはボクだけだろか?
まさに “アーティスト” 所以でしょうか。
先日、NEWS ZEROでブンブンサテライツについての特集をやっていて、川島さんが体の自由がきかないながらにレコーディングしている様子が放送されていて、なんともいえず見入ってしまいました。これが最後、ということだけがどうしても惜しく感じますがこうやって特集が組まれて多くの人に作品が届くきっかけになるのは喜ばしいこと、でしょうかね。
聴いてみよう LAY YOUR HANDS ON ME
YouTubeの公式チャンネルには収録曲の中から表題の「LAY YOUR HANDS ON ME」と「STARS AND CLOUDS」のショートMVが公開されています。
「LAY YOUR HANDS ON ME」のMVに出演している女の子は川島さんの娘さんだそう、演技をしているわけではないにしもてカメラ慣れしてるというかスゴく自然にかわいい表情をしてる。女優の奥様の血を受け継いでいる故か…?
絵的な柔らかさとは対照的にスピーディかつフレキシブルなシーン展開がミスマッチで斬新。娘さんのいい表情を押させていてこのMVを見てると終盤に向かうにつれて笑顔になってくる。
MV撮影。このモデルちゃんは誰でしょう?
初公開、 川島くんのDNA。 pic.twitter.com/BB5ZD5zXUb
— BOOM BOOM SATELLITES (@BBS_nakano) May 13, 2016
またMVとは別にメンバー2人が登場しているティザームービーが公開されています。
この動画の撮影は昨年12月頃だそうで、すでに病気を発症されたあとの撮影ですが映像では自然にみえますね。川島さんと中野さんの笑顔がすごく印象的。
収録曲をレビューしてみる
独断と偏見で収録曲をレビューしてみます。
1,LAY YOUR HANDS ON ME
足音や水の滴るような環境音から入る表題曲。ブンブンらしい小気味いいテンポ感のビート、川島さんの声にかかるリバーブ感が気持ちいい。約6分もある曲なんだけど時間を感じさせないというか、まだ聴いていたい気持ちになるほど気持ちよく進んでいく曲。静と動の抑揚ある構成が連続していて、静から動に入っていく瞬間のゾクゾクがスゴイ…!
ただ、曲調もアップテンポだし、すごく希望に溢れた印象をうけるのに、「これが最後の作品」というファン心理と経過も相まってか寂しくも感じてしまうのも事実。
タイトル「LAY YOUR HANDS ON ME」は直訳だと「ボクに触れて」とか「ボクに手をのばして」てことなのかな。意訳したら「ボクをつかまえて」とか。
この曲はアニメ「キズナイーバー」のテーマ曲にもなっています。これまでにも数々のタイアップを担当してきた彼らですが、最後の作品となる本作もこのアニタイによって少しでも多くの人の目に、耳に届くきっかけになったらいいな、と思います。
https://www.youtube.com/watch?v=0Ep20ORL4p0
2,STARS AND CLOUDS
こちらもMVになっている曲。1曲目とは対照的にスローテンポでクリーントーン、1曲目よりもさらに空間的なボーカルと鍵盤の音が、波紋が広がるようなイメージで響く。
テンポ的にも印象的にも「静」のイメージな曲だと感じるけど曲終盤から歪んだシンセ(?)のような音が加わりサウンド的にはドンドン喧騒感ある音になっていく。が、音の壁に囲まれるような感覚がむしろ「静」のイメージを引き立てるような、そんな不思議な感覚。ヘッドホンで聞いていると尚更だ。
この曲に限ったことではないですが、川島さんのボーカルってのは「THE 川島」感がある。
声質自体は決して特徴的な方ではないと思うのだけど、音に乗っかってきたボーカルを聞くと不思議と「川島さんだ」とピンとくる、というか。新曲がCMタイアップなんかになったときに、ふと聴いたその時が初聴でも「あ、これもしかしてブンブンの曲?」ってなるというか。
これはファン補正ファン感情からくるものじゃないと思うんだけど、どうでしょう。
3,FLARE
シンセとバイオリン?ぽい弦楽器主体の楽曲、イメージ的には2曲目に近いかんじ。この楽曲も音の抑揚が何度も繰り返す。ボーカルの主旋律はない、コーラスぽい音声は入ってるけどこれも川島さんの声かな?
所謂インスト曲(ボーカルのない楽曲)になるのかもしれない。インスト曲ってフツーのアーティストのアルバムに入ってると頭数合わせというか、ちょっとしたガッカリ感があったりもするんだけど、ブンブンがやるとただの帳尻合わせじゃない作り込みがソコにあって、むしろ圧倒される。この曲もそんな印象をうけた。
4,NARCOSIS
3曲目のコーラス音に似た導入が3曲目との連作を思わせるような入り。低音で動くビートと中域のシンセが絡む。曲中盤ぐらいから環境音のリフレインのような展開にシフトする。目を閉じると心象風景が浮かぶような変な感覚。それが徐々に1曲目冒頭の環境音とシンクロしていく。いわゆる歌モノ的な曲でラストを飾らないのもなんだかすごくシックリくるから不思議だ。
そして、曲の最後の最後に収録されたブレスに何かしらの意味を見出したくなったのはボクだけではないはず…。
本作についての中野さんのコメント
僕たちの作品はここ数作品、CDの枚数を上回るほどデジタル配信の数が伸びています。この流れは必然だと思うし選択の自由はあったほうがいいのですが、今回の作品はCDを非圧縮で、できれば初回盤のハイレゾ音源を聴いてもらいたいという気持ちがとても強いです。
やはり、情報量が全く違うのです。— THE SPELLBOUND BOOM BOOM SATELLITES (@BBS_nakano) June 18, 2016
すごくよくわかる。
昭和生まれのボクはやはりパッケージ買ってこその音楽ファンだ!という古い思考の持ち主なのだ。(中野氏の言いたいことは多分そこじゃない←)
パッケージ版もすっごい豪華。
初回生産限定盤には平間至撮影の写真集、ポスター型ディスコグラフィー、「LAY YOUR HANDS ON ME」「STARS AND CLOUDS」のMUSIC VIDEOとHi-Res、MP3音源が入ったBlu-rey Discが収録されています。
オフィシャルサイトより抜粋
DVD付きのCDは昔からあったが今時分はブルーレイが付いているのか…!制作コストすごそう。そして我が家には未だにブルーレイ再生機器がないのだ!
配信ですでに購入済みなのだがパッケージ版…買いに行こかな。
あとがき
[rating]
中学生のころ周りで流行っていたメロコアとかパンクばっかり聴いていたボクは「生音こそ正義!電子音使ってるのはバンドじゃねえ!」と偏った嗜好をもっていたんですが、当時付き合っていた彼女がBBSのファンで彼らのアルバム「PHOTON」を貸してくれて、それを聴いてからというものBOOM BOOM SATELLITESにドハマりしました。自分のなかにあった音楽に対するちっちゃいジャンル感をぶっこわしてくれたのがブンブンサテライツでした。
もちろん同期系のバンドとかは当時からいたんでしょうけど、ボクの感覚では日本のロックバンドでバンドサウンドと電子音楽をいい具合にミックスしてやっているのって、ブンブンやマッド・カプセル・マーケッツとかがパイオニア的な存在に感じるんですよね。
CMソングになって大衆的にも認められる側面をもち、映画やアニメのサントラにもなって、フェスにも出て、海外でも認められていて。いろんな意味でジャンルレスな存在でしたね。
川島さんは現在、ミュージシャンとしての役目を終え、ご家族と穏やかな日常をおくっているそう。中野さんは今後はなんらかの音楽活動をするのだろうか?…いまはまだそんなことを考える段階じゃないのかもしれないけど。今後、中野さんが某かの活動をなされて、それを川島さんとともに見守ることができたら、そうできたらそう思えたらファンとしては嬉しいかな、と感じる次第です。
ブンブンサテライツ、本当にお疲れ様でした。
僕と川島は作品を作り終えて自分達史上最高の充実感を噛み締めています。
だから、どうか悲しまないで下さい。作品を手にとって貰える日が楽しみです!
— THE SPELLBOUND BOOM BOOM SATELLITES (@BBS_nakano) May 18, 2016
長い間、楽しんでくれてありがとうございました。
19年間中野と頑張ってきましたが、こんなにもひとつのことを長く続けられたのは、聴いてくれる人達が居てくれたからです。最後のライブができなかったことが残念でした。ありがとう。ありがとう。。— BOOM BOOM SATELLITES (@BBS_kawashima) June 22, 2016
追記:2016/10/11
ボーカルの川島さんが10月9日に逝去されました。
こころよりご冥福をお祈りします。ほんとうにほんとうにお疲れ様でした。
川島道行が旅立ちました。この日が来るのを何年も前から覚悟して、とっくに心の準備ができていた筈なのに、何かが僕の心を締め付けて胸が痛くて痛くてたまりません。
でも皆さん、どうか川島道行の人生のゴールを祝福してあげてください。そして長い間支えてくださって本当にありがとうございました。 https://t.co/IKVbUy3jHt— THE SPELLBOUND BOOM BOOM SATELLITES (@BBS_nakano) October 11, 2016
BOOM BOOM SATELLITES official website
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