ひさしぶりに平日休みだったので昼まで寝てしまった…。たまにはこういう自堕落さがよい感じ。そんで昼過ぎに出かけて映画をみたのでレビュー。「 noma ノーマ、世界を変える料理 」という映画です。
noma ノーマ、世界を変える料理 とは
デンマークのコペンハーゲンに実際に存在するレストラン「noma」とそのシェフである[actor][name]レネ・レゼピ[nname]([altname]René Redzepi[aaltname])[sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm3046771/”][image urls=”//motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2016/06/13062294_1003594276389284_8968049535240994768_n.jpg”][aactor]を追ったドキュメンタリー映画。
同作は、デンマーク・コペンハーゲンのレストラン「Noma」のシェフであるレネ・レゼピを追ったドキュメンタリー。Nomaでは地元の食材にこだわり、一般的に食材にしないアリや花、苔などを使用した独創的な料理を提供しており、イギリスの『レストラン』誌が選ぶ「世界ベストレストラン50」で4回にわたって第1位を獲得している。昨年に期間限定で東京に出店した際には、期間を通して約2千人の定員に対し、各国から6万人の予約が殺到したという。
映画では、レゼピに4年間にわたって密着。移民として差別を受けてきた生い立ちや、Noma立ち上げ当初の苦労が明かされるほか、20か国以上から集まった70人を超えるスタッフとレゼピの創作の現場に迫る。また2013年に「世界ベストレストラン50」で2位に落ちた同店が、翌年に再び1位を獲得するまでの過程も捉えられている。
シェフのレネをメインにその友人や、関係者のコメントを交えてnomaの立ち上げから受賞、ノロウイルスによる食中毒事件とその後の再起にわたる話がナレーションベースで描かれている。
単純にレストランの経営や料理に焦点をあてているというより、レネの職人としてのあり方や人間観、自身も移民であることから体験した人種差別など、さまざまな要素を絡めて話がすすんでいく。
意外と話題作なのか?
見る前は勝手な想像で、ニッチな需要向けの映画っぽいしお客さん少なそうだからノンビリ見れるなあ〜、とか失礼ながら思ってた。けど、平日の昼間だってのにけっこう人が入っていてびっくり。
ボクの隣でチケット買ってた人たち皆この映画見に来てたようだった。
予告動画やプロモーションのアートワークがなんとなく柔らか目の印象を受け、女性とか年齢層高めの人向けかな〜と予想していたが映画の作りは比較的若い印象をうけた。
シーン合間で料理や食材の接写表現がたびたび出てくるが、オシャレでクールでごく最近のトレンドを感じる。ドキュメンタリー作品だからこそ不自然さを感じないのかもしれない。音楽も冒頭からリフの聞いたロックが流れたり、レネの口の悪さも気になった。笑
もちろん字幕上にはもっとやわらかい洒落のきいた表現で訳されていたが、発音だけ聞いていれば「ファック」だの「マザファッカー」だの言ってるし何度か中指をたてるシーンも出てきた。
人を見た目で判断しちゃいけません!っていうけど、ゴリゴリにタトゥー入りまくったシェフが出てくるし、髭面でいかついシェフは手首から肘あたりまでストライプのように輪っか状の刺青入ってて「アンタいったいどんな罪を犯したんや…」とツッコみたくなる。
なんとな〜く予告動画から受ける印象とはギャップを感じる部分もあったけど、見た方はどう思ったんだろうか。
登場する料理がぶっとんでる
「北欧料理」といわれても日本人のボクにはあまりピンとこなかったのだけど、いったいどんなものなのか。
フランス料理とかみたいなコース料理?
北欧料理とは、その名の通り北欧諸国に伝統的に伝わってきた料理のことです。
焼き物や煮込み物などの家庭料理を中心とした北欧料理は、「ほっ」とする味わいのものばかりです。
おうちで作ってみよう!簡単でおいしい北欧料理レシピまとめ(キナリノ)より
所謂、家庭料理みたいなものなのか。もちろんレストランで出すものなので家庭で出されるものほどくだけてはいないだろうけど。
というか「北欧」って漠然としているが、いったいどの国とどの国が北欧なのか?
wikipediaをみたらノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランドに、バルト三国、ブリテン諸島、アイスランドを含む、とあったが作中に登場した現地人の言葉では「いったいどこまでを北欧に含めるか〜」みたいなニュアンスで話されていたので、明確に定義するのは難しいのかな?
で、肝心の料理がどんなもんかっていうと
かなりぶっとんでる。
「地元食材にこだわって」というくだりがあったので、なんとなくおとなしめの伝統料理てきなものを想像してしまいがちだが、真逆。独創的なまでの創作料理。
ムースっぽいものに生きた蟻をまぶしたり、何かの骨に食材でデコレーションしたような料理だったり、森のなかで生えているコケを剥がしてきて皿にならべたり…。
なかばギャグか?って思うほどの仕上がりだ。
森の中で枯れ葉をかき分け大量の蟻を採取し、地面に生えているコケをはがし、樹木の皮をめくり…これ全部食材のつもりで採ってたのか!?ってびっくりした。
まあ世界各国に食虫文化はあるので料理の世界では別段珍しいことでもないのかもしれない。
もちろん、まともな料理もあるのだろうけど奇抜な料理ばっかりがアップで抜かれるので「あれれ…」と一瞬不安になった。笑
「地元食材で作る北欧料理」というのがレネの掲げるシェフとしての命題のひとつで、そこに言及するためのひとつの手法なのだろう。作中でも店で使う素材が100%デンマーク産ではない、と明示されていた。
「イギリス産のオリーブオイルを一滴たらしたからといって北欧料理でなくなるわけではない」ってね。
かといって、デンマークで栽培されたコリアンダー(パクチーのこと)は断固拒否するレネ。
コリアンダーの原産地はデンマークじゃなく、北欧料理に使うべきじゃないと考えたようだ。だけど同じくデンマーク原産でないジャガイモは料理に使うらしい。どないやねん。
映画のテンポ感が良いこともあって、ここらへんの食材判断の線引きについての表現を解釈するまえに次のシーンにいってしまったので、この辺りよくわからなかった。本人の中には良し悪しの判断基準が明確にあるのだろうけど…。
レネが吸ってるこの植物。
実はキャベツの中を繰り抜いたドリンク用の器なのだ。食前ドリンクとして花の蜜をつかった創作ドリンクを用意するスタッフ。けっきょくこのメニューはレネにボツにされてしまうんだけど、レネはこの器だけは気に入った模様。なかなかに個性的。
レネの “人間らしさ” が良い
料理やレストランについてもフォーカスされているが、メインはレネの人間観、職業観などパーソナリティに言及する部分なのだろうと映画を観て感じた。
職人(シェフ)としての料理やそれを提供するレストランとしての在り方。
マケドニア出身で父親はイスラム教徒、後にデンマークへやってきた彼自身が周りの人間から人種差別をうけてきたこと。本人はそれをバネにしつつ「気にしない」と言いつつも語り口調はどこか強がっているようにも見える。
移民でありながら「北欧」に誇りを持ち、極力地元の食材をつかい、自身の料理という手段をもって「北欧料理」の地位を高めることに貢献した実力と精神力。(実際2003年以前は「北欧料理」なんて検索してもなにも出なかったぐらい、当時はカテゴリーとしても弱い存在だったようだ)
ミシュラン2つ星、「世界ベストレストラン50」での1位連続受賞など、他社評価も高い。
本人は他人の評価などどうでもいい、と言葉では言っているが実際に賞をおとせば落胆し、ふたたび1位に返り咲くととても嬉しそうだ。
3人の娘の父親であること、70人ものスタッフをまとめる立場にいること、それらを支えていく責任もある。
そのためには人の評価も必要なことは充分理解しているんだろう。
それでもインタビュー形式で語る彼の言葉は強がりのような素直じゃなさがあり、それが愛らしくすら見えてくる。
2013年に実際にお店で起きた「ノロウイルス」による食中毒事件があり店の評判は落ち、その年の「世界ベストレストラン50」も2位に落ちてしまった。
それでも2位をとれるのはスゴイと思うのだが、彼の落胆は大きかったようだ。ストレスからか店のスタッフを叱責する様も理不尽さと嫌な上司感をしっかり醸し出していて、リアルを感じた。
「彼の態度で店を去ったスタッフ」がいたのかどうかは厳密には表現されていなかったが(元スタッフという紹介でコメントをよせた人物は何人か出てきた)、それを勘ぐるぐらい陰険な言い回しをしてるシーンもあって、ある意味、彼の人間らしい一面だと思えた。
ただただ天才シェフ、素晴らしい人物、成人君主、のようにレネを扱っていたらシラケてしまっていただろうけど、逆にこのネガティブにも見える部分も映していたことは、これぞドキュメンタリーと感じる部分でもあった。
ネタバレになるのであんまり詳しくかかないが、正直なとこ彼のパーソナリティにからむ話がいくつか登場するも、要素が多く矢継ぎ早にシーンが進んでいくような印象があって、ボクはちょっと消化しきれない部分があった。
録画番組のドキュメンタリーとかだったら、ちょっと巻き戻して見直すってこともできるが映画館じゃそうはいかない。
印象に残ったのは、再び賞に返り咲いたシーン。
「賞なんて…」という態度をとっていたくせに、授賞式に同行していたスタッフたちと興奮気味に抱き合って喜ぶ。「やっぱり嬉しいんじゃねーか!笑」って思いながらも、ほんとに皆がうれしそうに映っている。おもわずこっちもニンマリしてしまった。
このシーンは恐らくレネがスマホかなんかでとっていて画質が粗いんだけど、それも臨場感に一役買っていてすごく印象に残るシーンだった。
あとがき
[rating]
ボク自身がドキュメンタリー映画ってものに慣れていないって事もあって、咀嚼不良もあってのこの評価。
前項でも書いたように、絡めてくるレネの自伝的な要素が多いのでトータルでみると各種お話が散漫になってしまった印象をうけた。
評価点は、料理の接写表現や時折映る風景など。北欧ときいてイメージするきれいな色合いもあり、食材のアップやブラー効果を用いてシーンを繋いでる部分なんかはオシャレ映画独特のそれを感じさせて好みだった。食器やインテリアやシェフたちの仕事着も何気なそうに見えてスタイリッシュ。日本人にも好ましい北欧感が映しだされている。
見た後にクリエイティビティーを刺激されるような感覚も残り、料理をする人はもちろん、モノ作りをする人なんかはボクが見るよりもっと得るモノがあるんじゃないかとも思えた。
この手のドキュメンタリー作品ってのちにパッケージ化して売ったり(今は配信かな?)するのも需要量的にどうなんだろう、って思うしテレビ放映もされなそうな気がするので興味がある人は劇場公開している間に見に行ったほうが良いと思います。
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