第5話「傷」(原題:Wounds of Deadly Hate)
あらすじ&ネタバレ
ラーソン博士はスペクターの精神鑑定を開始する。が、スペクターの記憶は依然もどっておらず彼は事件の全容すら思い出すことができていなかった。
思春期の行動について問われたスペクターは窃視(覗き見)することで性的興奮だけではなく、幼少期に失った「家庭感」を垣間見、他人の生活を自分に重ねていたのだという。ラーソンは彼の幼少期の不足感や虐待の経験が、成人した後の犯行に影響を及ぼしていたのだろうと推測する。
ケイティは友人の顔に薬剤をかけたことや、保護観察違反を侵したことを問題視され収容施設へと送られることになる。しかしスペクターの言葉意外「意味がない」と考える彼女は判事や母親、自分の弁護士に対しても「みんな死んじゃえ」と悪態をつく。
スペクターの弁護士・ヒーリーは少しでも裁判を遅延させようと、警察とギブソンの倫理的な問題をあげつらい、彼女にありもしない男女関係の問題を結びつけて彼女の評判を落とそうと画策する。
ギブソンの捜査チームは過去にイギリスで起きた事件を再調査、トムはアルバレスという人物がおこした事件について調べ、彼が「警察の誘導尋問に乗せられ自白し、真犯人であったらしいスペクターが野放しになった」と考える。アルバレスの聴取を行うことを知ったバーンズは、スペクターが収容されていたゴートナクル養護施設にアルバレスも収容されていた事実を明かし、さらに彼らが施設で性的虐待を受けていたらしいことも判明する。
トムとフェリントンは収監されているアルバレスの聴取を行う。彼が警察に誘導尋問され犯人に仕立て上げられたことを問い詰めると、アルバレスはその理由を語る。ゴートナクルでの性的虐待を経験した者同士、彼らにはある種の絆があった。さらにアルバレスは「スペクターがゴートナクルで、1年間毎朝毎晩、神父(看守役)の慰み者にされていた」ことを告白する。
トムの報告を受けたギブソンはアルバレスの証言を元にスペクターに聴取を行うこととなる。
トムとギブソンは倉庫で見つかった日記や証拠品を提示するが記憶を失っているスペクターには心当たりもない。次いでトムはアルバレスの写真を提示、それには彼も心当たりがあった。記憶を失っているとされる帰還よりも以前に彼と会っているのだから…ギブソンたちはアルバレスの被った罪でスペクターを再逮捕しようとする。
自分の知らない情報が次々と出てきて焦ったヒーリーは聴取の中断を求める。
最終回 第6話「愛さない者」(原題:Their Solitary Way)
あらすじ&ネタバレ
スペクターは警察に突きつけられたアルバレスの証言を思い起こしヒーリーに語って聞かせる。
2002年にアルバレスと再会を果たしたスペクターは酒場で出会ったスーザンという女性を誘い3人で彼女の部屋へ。アルバレスとスーザンはセックスをはじめ、やがてアルバレスが買い物に出かけるとスペクターは彼女に「窒息プレイ」を試し死に至らしめる。しかしスペクターはこの件では逮捕されず、何故かその場にいなかったアルバレスが殺人容疑で収監されることとなった。
スーザンを殺してからスペクターとアルバレスは一度も連絡をとっていないにもかかわらず、アルバレスは自らスペクターの罪をかぶるような真似をした。
聴取にもどるとアンダーソンはその点を追求するが、スペクターにはその理由がわからなかった。
するとギブソンがクチを開き、ゴートナクルで神父の慰みものになっていた際に「アルバレスを後継者にすることから見逃した」こと(第5話参照)からアルバレスがスペクターに恩義を感じているのだと語る。
ギブソンはスペクターが記憶を失っていることを「茶番」と称し自白を迫る。スペクターはあくまで記憶を失っていることを強調しつつも、「ベルファスト絞殺魔であるスペクター」という人格に興味をいだきはじめた、と語る。もはやヒーリーは口出しできない雰囲気。
ギブソンは尚も「茶番をやめろ」と迫ると、スペクターは一瞬のスキをついてギブソンに襲いかかり彼女の顔面を何度も殴りつける。とっさにアンダーソンが止めに入るが凄まじい力で左手をおられてしまう。突然のことにヒーリーは身動きできず、遅れてやってきた看守によってスペクターは取り押さえられる。
聴取の様子を別室でモニターしていたジムは取り乱した様子で駆け寄るが他の捜査官たちによって制止される。
ヒーリーは尚も彼の弁護を続ける意志を見せ、彼の暴力性を「精神障害」として無罪を訴えようとするのだが、暴行の一部始終を目撃したヒーリーの助手・ウォレスはすっかり怯えてしまい「弁護士生命をたってでもスペクターの弁護から降りる」と言い出してしまう。ヒーリー困惑。
ギブソンは病院へ、スペクターは元いた精神病院へと送り返される。
神経学医はCTやMRIからもスペクターの脳に物理的な障害は一切見当たらなかったことから、ラーソンの精神鑑定が誤りだったと主張する。それでもラーソンはスペクターの精神鑑定を続け、彼の真意を見極めようとしていた。
そのころ少年収容施設に入れられたケイティは、食事に出た肉の骨を使って自傷行為に走る。ケイティに面会したギブソンはスペクターに襲われたことを明かし、彼女が抱え込んでいる「怒り」に理解を示そうとする。
スペクターは精神病院に入所している患者・ベイリーを懐柔し施設内で騒動を起こさせる。スペクターは彼が騒いでいる間に隔離エリアをすりぬける。道中ラーソンと鉢合わせしてしまったスペクターはためらうことなくラーソンの顔面を殴打、何度も殴りつけて気絶させ、彼の衣服からベルトを持ち去り、施設の中へと戻ってくる。
その足でベイリーの部屋に姿を潜めたスペクターは、看守たちによって部屋に戻されたベイリーにそっと近づきベルトで首を締めあげ殺してしまう。殺したベイリーをベッドに寝かせると、スペクターは自らビニール袋をかぶり、首にベルトを掛け窒息プレイに及ぶ。やがて気を失ったスペクターはそのまま絶命する。
その知らせを受けたギブソンはケイティとの面談を切り上げ精神病院へとやってくる。ちょうど虫の息のラーソンが搬送される最中だった。
施設に入りスペクターの遺体を目の当たりにしたギブソンには様々な感情がこみ上げ絶句する。
ベルファスト絞殺魔事件は容疑者死亡によって4件の殺害をスペクターの犯行と断定。ラーソンは一命をとりとめ、ジムは事件の責任者を辞することになる。
事件解明に尽力したギブソンには賛辞が送られるがギブソンがそれを喜ぶはずもなかった。
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