ジーニアス:世紀の天才 アインシュタイン 第1話 あらすじ
原題は “Chapter One”
現在(1922年)
大学教授 アルベルト・アインシュタインは助手のベティと不倫関係に耽っていた。
妻帯者でありながら、ベティに愛をささやくアルベルト、ベティは身体を許しつつも彼の軽薄さに呆れ返っていた。
アルベルトの元には彼の元妻 ミレヴァ・マリッチから電話がかかってくるが、彼は電話には出ず、対応をベティに任せて講義へと出かけてしまう。
大学で講義をしていたアルベルトの元には、彼の友人でドイツの政治家であるヴァルター・ラーテナウが暗殺されたという一報が入る。
友人の突然の死に肩を落とすアルベルト。仕事に没頭して気を紛らわそうとするアルベルトを現妻・エルザが慰める。
この時代、ドイツではユダヤ人への迫害が加速度的に高まり、革命をうたう過激派たちによってユダヤ系の人物が殺される事件が起きていた。
警察はラーテナウの暗殺犯を逮捕し、彼らが過激派組織・コンスルに属している事が判明。
コンスルは複数のターゲットをリストアップしており、その中にはアルベルトの名前も上がっていた。「これ以上ドイツに滞在するのは危険」と警察に警告をうけるアルベルト。
恐怖したエルザはアルベルトともにドイツを離れようと提案するが、アルベルトは頑なにドイツに残ろうと考えを曲げようとしない。
それでもエルザの意を組んでアメリカに移ることを検討するアルベルト。
大学の知人 フリッツ・ハーバーは「心配しすぎだ」と笑うが、ナチスの統治が始まった時代にあり、ユダヤ人への風当たりは強まり始めていた。
科学者の中でも、ユダヤ人であるアルベルトを排斥しようとする動きが高まりつつあった。
アルベルトと過去に一悶着あったらしい物理学者 フィリップ・レーナルトもそのひとりだった。街なかではラーテナウの葬儀が大々的に執り行われるが、フィリップは葬儀には参加せず、学生たちに国家主義を説く。
いっぽうで、ユダヤ人差別をしない民衆もまだ多かった時代、葬儀に参加したアインシュタインは、個人の友人として民衆からお悔やみの言葉を投げかけられる。
しかし街なかにはナチスの兵士たちがデモを行い始める。エルザは怯えるが、民衆の言葉に触発されてしまったアルベルトは再び「ドイツに残る」意思を固めてしまうのだった。
ーーー10年後、1932年。
アルベルトとエルザはドイツに残り続け10年が経過していた。
ナチスドイツの勢力は広まりつつあったが、この年に行われたドイツ大統領選挙においてヒトラーは落選する。アルベルトはそれに安堵するが、依然ナチスは街中にはびこり、エルザは怯え続けていた。
タバコを買いに街に出たアルベルトは、ナチス党員によってユダヤ人がリンチにあっているさまを目撃してしまう。現実を目の当たりにしたアルベルトは、家に帰りエルザと共にアメリカに移住することを決意する。
ドイツを離れることになったアインシュタイン夫妻はアメリカ大使館から呼び出しを受ける。
大使館員はFBI長官 エドガー・フーバーの指示で、アルベルトの政治的思想について尋問を始める。
どうやら彼の前妻であるミレヴァ・マリッチは過激な政治思想をもっていたらしく、アルベルトもその活動に身をおいた過去があるらしい。
アメリカに移住するに辺り、その真偽をハッキリさせなければ移住は認められないというのだが。。。
過去(1894年)
ドイツ ミュンヘンの学校に通う若き日のアルベルトは、「時間」や「光の速度」、「宇宙の在り方」について思いを巡らせていた。
授業そっちのけで考えにふけるアルベルトに教師は不快感を露わにするが、天才であったアルベルトは、授業を片手間に聴いていたはずのアルベルトは教師が出題した難問をいとも簡単に解き明かし、教師を嘲笑して教室を出ていってしまう。
アルベルトの父親・ハーマンは、息子の教師に対する無礼を謝罪させようとするが、アルベルトは記憶と反復を繰り返すだけの退屈な授業は「教育」とは言えない、と語る。
ハーマンは街頭技師の仕事をしていたが破産してしまった末に、家族を連れてイタリアへ移住することを考えていた。
事あるごとに問題を起こすアルベルトはドイツに残したまま。。。アルベルトは自分だけ見捨てられたような気分に苛まれ肩を落とす。
ひとりドイツに残されたアルベルトは父親の諭すように、他の生徒と同じように環境に順応することを求められるが、その生活に耐えられなくなったアルベルトは原因不明の発作に襲われるようになる。
アルベルトはドイツの学校を辞め、イタリアで家族と一緒に生活しながらスイスのチューリッヒの学校に通う、と勝手に決めてしまう。
突如イタリアにやってきた息子をハーマンは叱責する。
アルベルトはチューリッヒの学校に移るために試験をうけるが、数学と物理意外はまったくもって散々たる結果。
それでも諦めきれないアルベルトはハインリヒ・ウェーバー教授に直談判し、彼の知り合いのもとで学位を取るに値する勉強をする資格を得る。
スイスのアラートに移ったアルベルトはウェーバーの知人 ヨスト・ウィンテラーの家に厄介になることに。
大家族のウィンテラー邸は終始にぎやか、権力を忌み嫌うアルベルトの主義にヨストは同調する。
なれない環境での暮らしに緊張するアルベルトだが、教師であったヨストの娘・マリーに心惹かれていくことになる。
いっぽうでアルベルトは講義中に例のごとく、自身の持論をまくし立て教師とクラスメートたちを圧感してしまう。
いつもなら怒鳴られ教室を叩き出されるところだが、イタリアの大学では彼の持論の発表は好意的に受け入れられる。
アルベルトの発言を聴いた教師は「どうやら今年はおもしろい年になりそうだ」と微笑む。ドイツの学校との待遇の違いに驚くアルベルト。
スイスで生活を続けていたアルベルトの元には、ドイツに申請していた「ドイツの市民権放棄」が認められた旨が知らされる。
国家主義に反発していたアルベルトは正式に「無国籍」状態になったわけだが、ヨストはそんな彼を誇らしく思う、と褒める。
語学が苦手なアルベルトはマリーに語学を教えてもらうようになっていた。徐々にお互いを思い合うようになっていたふたりは、夕日の指す丘の上で結ばれる。
イタリアで街頭技師として生計を立て直しつつあったハーマンだが、アルベルトは持ち前の科学力で機転をきかせ彼の仕事を助けるようになっていた。
アルベルトの成長ぶりにハーマンは誇らしげ、アルベルトも父親に認められたことが嬉しそう。
彼の家族はマリーとの結婚を待ち望んでいたが、求婚し家庭を持ち父親の跡をついで技術者になる、なんてことはアルベルト自身が望んでいなかった。
科学の発展に貢献し教授になりたいんだ、と訴えるアルベルトは父親の口論した末に、家を飛び出していってしまう。
不得意分野をマリーに教わり、ふたたびチューリッヒの大学の試験を受けることになったアルベルトは、今度は見事入学試験をパスする。
はれて大学へ入学することとなったアルベルトは、アラートを離れてチューッリヒに移ることになる。
アルベルトとの別れに涙するマリー。
チューリッヒの工科大に入学したアルベルトは、大学の講義室でひとりの女学生に出会う。
高圧的ながら当時の女性では考えられないほど知的な彼女に圧倒される。教師ウェーバーに「入学試験で唯一アルベルトより数学の成績がよかった」人物が彼女だと聴かされさらに驚くアルベルト。
彼女こそ後にアルベルトが結婚することになる女性 ミレヴァ・マリッチだった。