第7話 “Chapter Seven”
あらすじ&ネタバレ
過去(1914年)
戦争の情勢は悪化し、軍は新兵器の開発を大学に依頼。科学界の面々は軍への忠誠を誓い始める。そんななかアルベルトだけは「科学を戦争に利用する」ことを拒む。
ミレヴァや子どもたちと離れたアルベルト、それでもエルザは「正式に離婚するまでは一緒になる気はない」と告げる。
スイスに移り住んだミレヴァだが、ドイツ(アルベルト)からの仕送りは戦争の影響で暴落し困窮していた。近くに住んでいたベッソ夫妻を頼りピアノの教師として働きだそうとする。事態を察したベッソは彼女にこっそりとカンパを渡すのだった。
それでも心配なベッソは彼女の家を訪ねるが、ミレヴァは幼い子どもたちの前で気を失い倒れていた。子どもたちによれば時折そのような症状があるらしいのだが。。。
アルベルトはなおも相対性理論の完成を目指していたが、彼の理論に興味を示した数学者 ダフィット・ヒルベルトも独自に理論研究をはじめ、手柄を横取りされるのではないかと焦り始める。
兵器開発に協力せず研究に没頭するアルベルト、彼の同僚で友人のフリッツ・ハーバーは次第にアルベルトを軽蔑しはじめる。
健康そっちのけで研究をするアルベルトは肝臓を病んでしまう。さらにベッソからはミレヴァが心臓病で入院したことを知らされるが子供はベッソが面倒見ていると知り、彼女のことを心配する素振りも見せず、研究への没頭を辞めない。
そんなアルベルトの努力もむなしく、彼に先んじてヒルベルトが理論を紐解く数式を完成させてしまう。失望するアルベルト。
研究に区切りをつけたアルベルトはスイスのミレヴァのもとを見舞いに行こうとするが、戦争の影響で国境を超えることが叶わなくなりアルベルトはドイツに引き戻されてしまう。
ドイツに戻り鬱屈とした日々を過ごしていたアルベルトだが、ふとした拍子にヒルベルトの数式に間違いがあることに気づく。同時に正しい数式も思いつき、アルベルトは相対性理論を自身で完成させる。
そのころハーバーは兵器開発に没頭し、ガス兵器を開発する。ハーバーの妻は恐ろしくなりアルベルトに相談してくる。
ハーバーは歪んだ愛国心に洗脳され、ガス兵器を使って敵国を倒せば「戦争は終わり平和が訪れる」と語る。アルベルトは彼がもはや手におえない精神状態になっていると察する。いっぽうで、大学の権威 マックス・プランクの息子が戦士したことが伝えられる、プランクは嘆き「アルベルトが兵器開発を拒んだ選択は正しかった」と伝える。
一連の悲劇を受けてアルベルトは、それまで断っていた反戦団体の表明分に署名する。「戦争に反対し売国奴と呼ばれても、戦争に反対することに意義がある」と。
しかしそんなアルベルトの思惑とは裏腹にハーバーは開発したガス兵器を使い大量の敵国兵を死に至らしめてしまう。ハーバーは英雄として褒めそやされるが、夫が大量殺人を犯したと嘆いた妻・クララは彼の前で拳銃自殺してしまった。
現在(1918年)
第一次世界大戦が集結する。
戦争が終わり、アルベルトの相対性理論の証明はもはや秒読みの段階に入っていた。
アルベルトはエルザと一緒になり暮らすようになっていたが、エルザは「理論が完成すれば、アルベルトの私生活=エルザとの関係が公になってしまう」と焦る。ふたりは未だ正式に結婚していなかったからだ。アルベルトはミレヴァに幾度となく離婚を迫っていたが彼女は答えようとしなかったのだ。エルザは何が何でもミレヴァと離婚するように求める。
アルベルトは「理論完成の暁にはノーベル賞の賞金を全額渡すから離婚してくれ」とミレヴァに申し出るが、彼女は受け入れずアルベルトを追い出してしまう。
息子たちもすでにアルベルトに愛想を尽かしていたため、ミレヴァに離婚するように勧め「あんな人のことは忘れよう」と諭す。
子どもたちの説得もあり、アルベルトとミレヴァは正式に離婚調停を行う、その条項には「アルベルトは息子たちとあってはならない」という項目も含まれていたが、アルベルトは悩んだ挙句、それを承認する。父親が自分たちと決別する言葉を吐いたことに息子たちは涙する。
相対性理論は正式に証明されるが、アルベルトを嫌っていたフィリップ・レーナルドはノーベル委員会に働きかけ賞の授与を阻もうとする。
フリッツ・ハーバーも受賞することになったが、アルベルトは彼が戦時中に犯した過ちを許す気に離れず、以来交友関係は断絶していた。しかしエルザに説得されたアルベルトはハーバーの授賞式に赴く。
レーナルドは当時の右翼であるドイツ人民党と手を組みアルベルトの賞だけではなく、彼の人格を攻撃する集会が開かれるようになる。
反ユダヤ主義の右翼思想者たちはユダヤ人であるアルベルトを糾弾しようとし、それを知ったアルベルトもまた対抗の姿勢をとる。学会に直訴しレーナルドの科学者としての資質を批判する文章を新聞に載せてしまう。
面と向かって喧嘩を売られたと感じたレーナルドは「私も手を組む同士を選んでおこう…」とアドルフ・ヒトラーの生地を眺めるが。。。
第8話 “Chapter Eight”
あらすじ&ネタバレ
現在(1921年)
レーナルドの思索と政治情勢によって、相対性理論を完成させたアルベルトへの風当たりは冷え込む一方だった。
そんな彼に化学者で後のイスラエルの大統領となる男 ハイム・ヴァイツマンは言いよる。ヴァイツマンは迫害されるユダヤ人のために「建国」すると明かすがアルベルトはやっかいごとに首を突っ込みたくないと関与を拒む。しかしヴァイツマンはユダヤ人が各国で大量虐殺されている記録写真を見せアルベルトを説得しようとする。
まんまと感化されたアルベルトはヴァイツマンに協力しようとするが、エルザはユダヤ批判を恐れ怪訝。
そんななかヴァイツマンに連れられアルベルトとエルザはニューヨークを来訪することになる。相対性理論によって有名になっていたアルベルトは歓迎される。が、移民の後にアメリカに同化した「同化主義者」のユダヤ人を批判しようとしたアルベルト、ヴァイツマンとエルザは彼の無計画な挑発を制する。
ヴァイツマンの計画の一旦である資金集めのために演説を行うアルベルト。彼はヴァイツマンとエルザの制止を聞かず、同化主義を蔑み「ユダヤの誇り」を語りなかば「選民思想」のような演説をしてしまう。同化主義のユダヤ人には呆れられてしまうが、いっぽうで同じくユダヤの血を誇りに考えていた人々には賛同を得る形になる。
ドイツに戻ったアルベルトは政治家のヴァルター・ラーテナウ(第1話で暗殺された人物)をヴァイツマンの計画に誘うのだが、ラーテナウは中立の姿勢を保ち続けた。
同じ頃、ノーベル委員会はレーナルドの反対を押しのけアルベルトにノーベル賞を与えることを決める。
さらにナチス圧政が進んだ頃、ミレヴァは次男 エドゥアルトが自殺未遂を犯し精神病院に入ったことを告げる。
アルベルトは息子を見舞い、かつて子守唄代わりに奏でたバイオリンを披露する。エドゥアルトは幼少期に聴いた曲を思い出し、アルベルトに笑顔を見せる。
(※お話は第1話の現在視点 1932年に戻る)
第一次大戦後、多くのユダヤ人がアメリカに移り住んでいたが、アメリカ政府は連邦捜査局(FBI)のジョン・エドガー・フーヴァーの指揮のもとユダヤ移民たちに暴力的な取り締まりを敷いていた。
ナチスのドイツ統治に恐怖を感じ始めたアルベルトとエルザはアメリカ亡命を申請したが、フーヴァーの指示でドイツ大使館員・ガイストの聴取を受けることになってしまう。
アルベルトは思想批判を示唆され激昂するがエルザがそれを諌める。FBIは前妻であるミレヴァの政治的思想に興味を持っているらしかった。ミレヴァの弟はアメリカの敵国・ソ連に移り住んでいたし、21年の演説が過激思想ととられ、「共産党員」であることを疑われていたのだ。
アルベルトは共産党員であることを否定する。中立を貫いたラーテナウですら「ユダヤ人だから」という理由で殺されてしまったためアルベルトは「ユダヤ人である異常、思想がどうであれドイツに残るのは危険」「ナチスのファシズムから逃れたいだけだ」と訴える。
ガイストはエルザを退席させ、アルベルトの「浮気性」について言及する。
ミレヴァと離婚しエルザと正式に婚約した後もアルベルトは秘書のベティと浮気していた。エルザはそれを知っていたが、浮気を許す代わりにエルザの望む「アメリカへの亡命」を実行に移すことになったのだ。
ガイストは聴取をしている間にアルベルトの人間性に面白みを感じ始める。聴取冒頭では攻撃的だったガイストもいつのまにかアルベルトの話を興味深く聞き入るようになっていた。
ガイストはフーバーにアインシュタイン夫妻の亡命を許可するよう申請するが、フーバーはそれを却下する。失望したアルベルトはエルザ経由で記者に連絡を取り、「世界的科学者が政治的尋問を受けた」とマスコミに記事を書かせる。フーバーは憤慨するが事態を鎮圧するため「共産党員ではないことを一筆かけば亡命を許可する」と妥協案を提示する。
しかしアルベルトはサインを拒んでしまう。彼の決断を見たガイスト、あるベルトに惚れ込んでしまた彼は一筆受け取らないままに、独断でパスポートを発行する。
職を失うかもしれない独断行為を犯してまで亡命を手助けしようとするガイストに心打たれたアルベルト。「人のためになることをしたい」と語るガイストに「職を辞める必要はない」とアルベルトは思い直し一筆サインすることを承諾する。
見どころ:
作中に登場するレイモンド・H・ガイストは実在の人物であり、アルベルトの亡命後6年にわたり約5万人ものユダヤ人の亡命を手助けした。
ヴァイツマンを演じていたのはドラマ「Dr.HOUSE」などで知られる[actor][name]ピーター・ジェイコブソン[nname]([altname]Peter Jacobson[aaltname])[sameus urls=”http://www.imdb.com/name/nm0414772/”][image urls=”https://motetai.club/wdps/wp-content/uploads/2017/05/1500095461.jpg”][aactor]。
第9話 “Chapter Nine”
あらすじ&ネタバレ
現在(1933年)
レーナルドはナチス党に正式に参加し、ユダヤ人の排除に精を出す。アルベルトだけではなくユダヤ人であるフリッツ・ハーバーも彼の標的となっていた。
アルベルトがアメリカに亡命した後、ドイツの自宅や別荘はナチス党によってあら捜しされ科学書の類は焼き払われてしまう。エルザはドイツに残してきた娘・マルゴットのことを心配するのばかり。心労からか心臓を病んでしまう。
アルベルトはドイツに残してきた親族や知人を亡命させようと財務長官に直訴するが、戦犯であるフリッツと身体を病んだエルザの親族・イルゼ、そして精神を病んだアルベルトの息子エドゥアルトは亡命を認められなかった。
フリッツはドイツを追われパレスチナへと移るのだが、その先で病にかかり程なくして亡くなる。訃報を受け取ったアルベルトは彼に何もしてやれなかった無力感に襲われる。
アルベルトはアメリカ大統領に掛け合いナチスへの批判姿勢を公にするよう働きかけるが思うようにことは進まない。鬱屈とする日々の中、エルザの病状は悪化しもはや手に負えない段階になっていた。さらに落ち込むアルベルト。
アルベルトはエルザに求められるまま、病床の彼女に本を読み聞かせる日々を送るようになる。それまでの浮気性がウソのようにエルザに付き添うアルベルト。
ある火、アルベルトが読み聞かせする横でエルザは眠るように静かに息を引き取る。
1939年。
エルザが亡くなった後、アルベルトは友人の妻・マルガリータと不倫するようになる。
いっぽうドイツでは核分裂の実験が成功したと発表される、核反応を利用すれば「原爆」を作ることが可能になる。科学者達はナチスが原爆を現実化させる前に、アメリカがそれを実現スべきだと訴える。アルベルトはフリッツの過ちを思い出し、科学を戦争に利用すべきではない、と危惧するのだが。。。悩んだ挙句、アルベルトはアメリカ大統領に手紙を送る。
大統領は原爆製造に着手、国籍を取得したアルベルトは原爆開発のメンバーに推薦されるが、FBIのフーバーはアルベルトへの危険視を緩めておらず、彼の参加に異議を唱える。
アルベルトは原爆開発から外されたことに内心ホッとしていたが、ロシア人であったマルガリータとの関係を政府に詮索され、「原爆に関する情報はロシア人に流すな」と警告される。
万が一にもマルガリータが裏切るはずはないと考えていたアルベルトだが、その思いに反してマルガリータは不審な行動が増え始める。
1944年。
ドイツの科学者 ヴェルナー・ハイゼンベルクは原爆を完成に近づき始める。
フーバーは原爆の完成とドイツ・ソ連の結託を恐れ、アメリカのプロ野球選手でありスパイとしても活動していた人物 モー・バーグを刺客に送りハイゼンベルグを殺そうと考えたが、暗殺は未遂に終わる。
アメリカの科学会では原爆の恐怖が実現化し、爆弾を開発することを辞めるよう求める声が起こる。アルベルトはまたもや科学者たちに頼まれるカタチで大統領に「原爆開発中止を求める」手紙を送る。しかしアルベルトが手紙を送ったルーズベルトは翌年に他界。その手紙が読まれることはなかった。
同じ頃、ドイツではヒトラーの自殺によってナチスが崩壊。
アルベルトの思惑に反して、マルガリータはロシアからの諜報部員として送り込まれていた。米独両国の情勢が変わったことでマルガリータには帰国命令が下り、アルベルトへの別れを告げ彼女はアメリカを去る。
愛した女性との別れを終えたアルベルトのもとに衝撃の報が届く。アメリカが原子爆弾を完成させ日本の都市に投下したというのだ。。。
原爆の開発に関係したとされるアルベルトは新聞で「宇宙の破壊者」と揶揄されてしまうのだった。
見どころ:
ジョン・エドガー・フーヴァーを演じていたのはドラマ「グレイズ・アナトミー」でオマリー役を演じていたT・R・ナイトが客演。
モー・バーグを演じていたのは映画「リトル・イタリーの恋」などに出演していたアダム・ガルシアが客演。