【映画レビュー】神人(カミンチュ)Legend of ZAN 観てきた

あらすじ

沖縄に住む少女・ミナは友人のアスカとタケに連れられて海外へ遊びにやってくる。
育ての母・末子に幼いころから「海には近づくな」と教えられてきたミナは躊躇するのだが。。。

海外にある洞窟で、タケは石碑をみつける。
不審がって制止するミナをよそにタケとアスカが石碑に近づく、するとアスカは原因不明の激痛に襲われ、タケは何者かによって水底にひきずりこまれる。恐怖のあまりうずくまるミナ。

神人(カミンチュ)Legend of ZAN

タケは命を落とし、アスカは一命をとりとめるも入院する重傷を負う。
病院に駆けつけた末子はミナを責め、彼女を海に誘ったアスカも責めるのだが。。。ミナは献身的にお見舞いにやってくるが、アスカの母は「ミナとはもう遊ぶな」と彼女を遠ざけようとする。

島に住む有力者・イサトゥーはヤクザ・小島から「人魚(ザン)の肉」が欲しいと相談を受ける。ザンの肉を食べると不老不死となることができ、イサトゥーもまた大昔に不老不死となった人物であった。
イサトゥーはアスカがザンの末裔であると考え入院中のアスカをさらってしまう。

神人(カミンチュ)Legend of ZAN

ミナはさらわれたアスカを助けるため、ユタのハルを訪ね協力を請う。
ハルとミナはアスカの消息を追うのだが、イサトゥーの兄弟であるアタビーに捕らわれてしまう。アタビーはザンの末裔が実はアスカではなくミナであることを語り彼女を逃がす。(アタビーはイサトゥーと反目しあっている)

ハルとミナは小島に狙われるが、謎の老人によってピンチを救われる。
老人の正体は、もうひとりのザンの末裔。ミナ自身もザンの末裔であることを告げ、アスカが自分と間違えてさらわれたことを知るミナ。

神人(カミンチュ)Legend of ZAN

イサトゥーはアスカがザンの末裔だと考え彼女の肉を食べようとするが、そこにアタビーとミナが現れ「本物の末裔はミナ」だと告げる。
アタビーがミナを独り占めすると考えたイサトゥーは彼を殺そうとするが、そこに謎の老人もあらわれ三つ巴戦。さらにミナは自ら海に飛び込み、イサトゥーはそれを追って海に飛び込む。

ミナはザンの末裔として覚醒し、水の中でも死ぬことはなく、海流を操る(?)術を使ってイサトゥーを海の彼方へ吹き飛ばしてしまった。
(設定ではザンの肉を食べた人間は島から離れられない、離れると体が焼け焦げて死んでしまう。そのためイサトゥーはおそらく吹き飛ばされた後に死んだ、ってことだと思う)

神人(カミンチュ)Legend of ZAN

“ザ・地方制作” な仕上がり

申し訳ないけど、悪い意味でそう感じた。

地方制作のローカル局でやっているTV番組、というぐらいのクオリティなので高評価はつけがたい。“人魚伝説” というモチーフ事態には地域の独自性を感じるも、お話の内容的にはさほど目新しさもなく凡俗。焼き直しされつくした和製ホラー仕立てだ。
予告トレーラーはそれなりに期待感を煽れていたんだけど、本編中のさまざまな表現が陳腐すぎた。コスプレイヤーのようなカラーコンタクトや子供番組で使うようなレベルの低いCG合成はただただ残念。

登場するヤクザ・鈴木はそれっぽいスーツに見を包んでいるのに、子分のヤクザは何故か かりゆし 着てて笑ってしまった。かりゆし姿のおじさんがスゴんでる姿、どう見ても笑うしかなかった。

神人(カミンチュ)Legend of ZAN 神人(カミンチュ)Legend of ZAN

役者陣は多くが沖縄の現地で活動されている方、ということで方言はバッチリネイティブ(少なくともボクにはそう聞こえた)で変な違和感はなかった。ただ演技はやはり地方劇団色が強い。
また、イサトゥー役の小橋川よしと氏の演技が(役柄の所為もあるだろうけど)やたらアクが強いので、他出演陣との熱量差が見て取れてしまいソコも少し残念。
ゲストの千葉真一氏は、善くも悪くも「The ソニー千葉!」という演技だったのだけど、これが全体の稚拙さを悪い方向に後押ししてしまった感もある。

唯一、ハル役の城間やよいさんの演技は個性と地方色もありつつ、全国的に通用しそうな演技だな〜と個人的には感じた。

あとがき

[rating]

「全国上映作品じゃないしこんなもんか〜」っていうのが正直な感想。

ボクは沖縄旅行中に現地の劇場で観覧したのだけど、どうやら地元の方らしいおばちゃん2人組が見に来ていて「ホラーなのにこういう層の方もみるんだ…?」と少々驚いたのだけど、上映が始まって割りと早い段階で、おばちゃんたちは席を立って戻ってこなかった…。
「現地制作の映画」という1点に、地元愛から見に来た方だったのかもしれないが「心臓を抜き取り血しぶきをあびてそれを食べる」なんていう、あからさまな猟奇シーンがあったので、おばちゃんも面食らったのだろう。。

 

2D版は用意されておらず3D版のみの上映、3D強制される割にはそれが必要とされるようなダイナミックなシーンはほぼ皆無で「なぜ3D版オンリーにしたのか?」がナゾ。さらにホラー作品ということもあって、全編通して薄暗い画調で作られているため、不必要な3D仕様がヒジョーに目に悪い。観ていて尋常じゃないぐらい目が疲れた

こちら↓の記事では、先行上映の際の様子が書かれているんですが、監督が「3D映画が作りたかった。題材を探してザンの物語にした」とおっしゃっていたので、脚本の作り込みにはあまり力を使わなかったのかな?、とあるのですが、だとしたらそもそもミス設計な作品だと言わざる負えない。。。せめて2D版の選択肢は欲しかったなあ。

参考:特別招待作品「神人〜ザンの末裔〜」沖縄の人魚伝説を題材にしたホラー映画

 

ググッてみると監督さんはどうやら沖縄の映像会社の方らしく、どちらかといえば技術職なのかなあ…という感じ。
3D映画をやりたかった、という発言からも、もしかしてあまりシナリオは重視されていなかったんじゃないだろうか。

すでに上映終了がせまり、パッケージが発売されるのかどうかわからないけど、他人に薦められる作品かというと…う〜ん難しいかな。